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遺産分割協議における不動産評価の重要性と方法-相続人全員が納得する評価のポイント

2023年7月5日

 

 

不動産を相続する場合、現金のように単純に分割することができないため、相続人の間でどのように分割するか、揉めてしまうことも多いでしょう。
不動産を分割して相続する方法はいくつかありますが、そのうちのいくつかは、不動産をどう評価するかが非常に重要になります。
不動産は高額なため、評価方法によっては数百万から数千万円ほど値段が変わることも珍しくありません。不動産の評価により相続する金額や相続税が変わってくることを考えると、相続人にとって、不動産をどうやって評価するかは非常に重要なことなのです。

この記事では、遺産分割における不動産の評価の重要性を解説したうえで、それぞれの評価方法や、評価方法の決め方などをわかりやすく解説していきます。

相続人同士でのトラブルを避けるためにも、この記事を参考にして、不動産評価の基礎知識をしっかり確認しておきましょう。

 

遺産分割協議における不動産評価の重要性

そもそも、遺産分割協議において、不動産を適切に評価することはなぜ重要なのでしょうか。
それは、不動産を相続人間で分割する方法に由来しています。

不動産評価が重要なのは「現物分割」や「代償分割」のケース

相続した不動産を分割する方法は、以下の3通りです。

不動産の分割方法
現物分割
換価分割
代償分割

「現物分割」は、相続人のうち1人が不動産をそのまま相続する方法です。たとえば、長男が預貯金を、次男が不動産を、長女が有価証券をそれぞれ相続するような場合や、1筆の土地に境界線を入れて分筆するような方法のことをいいます。

「換価分割」は、不動産を売却して現金化し、それを相続人の間で分配する方法です。

「代償分割」は、相続人の1人が不動産を単独で相続する代わりに、ほかの相続人に対して、不動産を相続しない分の代償金を支払うことで、話をまとめる方法です。たとえば、長男が土地を単独で相続する代わりに、次男と長女に金銭を支払って話をまとめるような場合を指します。

どの分割方法においても、不動産がいくらで評価されるかは重要ですが、とくに「現物分割」や「代償分割」の場合では、不動産の評価額次第でほかの相続人にも影響が出てきます。

たとえば、以下のような例を想像してください。

相続人:長男、次男
相続財産:不動産、預金5000万
相続方法:長男が土地、次男が預金を相続する
不動産の評価額が3000万円だった場合
財産総額:不動産3000万円+預金5000万円=8000万円
本来もらえるべき財産:それぞれ4000万円
現実に相続する金額:長男が不動産、次男が預金
➡︎長男は次男に差額分1000万円請求できる

不動産の評価額が8000万円だった場合
財産総額:不動産8000万円+預金5000万円=1億3000万円
本来もらえるべき財産:それぞれ6500万円
現実に相続する金額:長男が不動産、次男が預金
➡︎次男は長男に差額分1500万円請求できる

不動産を相続する人(長男)にとっては、評価額が低い方がメリットが大きいですし、逆に不動産を相続しない人(次男)にとっては、評価額が高い方が有利になります。

このように、不動産の評価方法次第でお互いの相続する金額が変わってくることから、相続人間で不動産の評価方法について揉めてしまう可能性があるといえるのです。

 

法定相続分や遺留分を計算するために、不動産を含めた遺産総額を確定する必要がある

法定相続分とは、民法で定められている相続割合のことで、とくに遺言などがない場合には、法定相続分どおりに相続されることになります。

相続人順位法定相続分
子・配偶者第1位子(全員で)2分の1配偶者2分の1
直系尊属・配偶者第2位直系尊属(全員で)3分の1配偶者3分の2
兄弟姉妹・配偶者第3位兄弟姉妹(全員で)4分の1配偶者4分の3

法定相続分を確定するためには、相続財産を確定させないと、割合どおりに分割させることができません。

また、一定の相続人が持つ、遺言によっても奪うことのできない相続分である遺留分に関しても、相続財産全体が決まっていないと計算することができません。

つまり、不動産の価値が判断できない段階では、遺産相続の手続きを進めるうえで弊害が出てきてしまう可能性が大きいと言えるのです。

遺産分割における不動産の評価方法

 

遺産分割における不動産の評価方法には、大きく分けて以下の6つの方法があります。

遺産分割における不動産の評価方法
✔︎ 不動産鑑定士に鑑定してもらう
✔︎ 不動産会社による査定
✔︎ 相続税評価額を基準に計算
✔︎ 固定資産税評価額を基準に計算
✔︎ 地価公示価格を基準に計算
以下、それぞれ解説していきます。

不動産鑑定士に鑑定してもらう

不動産を評価する方法としてもっとも信頼度が高い方法は、国家資格を持つ不動産鑑定士による鑑定を利用する方法です。公的な場面でも多く利用される方法で、法的な拘束力を持っていることから、不動産の適正な価値を把握するのに役立ちます。

しかし、鑑定費用は30万円〜50万円ほどかかるのが相場で、鑑定評価額や不動産の種類によってはさらに費用がかかってしまう可能性もあります。10万円程度で依頼できる簡易査定というものもありますが、法的拘束力がなく、通常の鑑定結果よりも、正確性に劣るものとなってしまうため、利用するかどうかは慎重に判断する必要があります。

高額な費用をかけて鑑定をしてもらっても、相手が鑑定結果に納得しない場合には、結局調停や裁判を起こすしか無くなってしまうため、のちのちのトラブルを避けるためにも、「不動産鑑定で出た結果に従う」ことを、あらかじめ相続人間で合意しておくことをおすすめします。

不動産会社による査定

不動産会社に売却見込み額を査定してもらうことも可能です。査定は無料でしてくれるため、簡易的な金額を出したい場合には十分ですが、不動産鑑定士ほど正確な査定をしてくれる訳ではなく、法的拘束力もありません。
また、業者によって査定額にバラつきがあり、どの評価で話を進めるのかを、相続人間で揉める可能性があります。

あまりないケースですが、不動産鑑定士のように、国家資格に基づき査定をおこなう訳ではないので、依頼者と何らかの繋がりがあり、恣意的な査定価格を出されてしまう危険性がないともいいきれません。
もし、不動産会社の査定を利用するのであれば、複数社から査定をとって、その平均値で遺産分割を進めるのが良いでしょう。

相続税評価額を基準に計算

「相続税評価額」とは、相続税や贈与税等の算出の基準となる価格のことで、毎年、国税庁から公表されます。「路線価」とも呼ばれるこの基準は、公示価格の80%を目安に設定されています。
つまり、相続税評価額から、土地については0.8を割り戻すことで、おおよその実勢価格を算出することが可能です。

たとえば、相続税評価額が8000万円の場合、土地の実勢価格は以下のような計算で算出することができます。

【計算式】
8000万÷0.8=1億円

なお、建物については0.6、マンションについては0.5を割り戻すと、おおよその金額を算出することができます。

固定資産税評価額を基準に計算

固定資産税の課税明細書や固定資産評価証明書などで、固定資産税評価額を確認し、それを基にして、土地の実勢価格を算出する方法もあります。
固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安に設定されているため、固定資産税評価額から、0.7を割り戻すことで、おおよその実勢価格を算出することが可能です。

地価公示価格を基準に計算

地価公示価格は、毎年3月に国が公示する土地の価格のことを指します。国が発表するものなので情報の信頼性は高く誰でも無料で時価に近い金額を知ることができるのは大きなメリットであるといえます。

ただし、土地の状況や、その時点の経済状況の変化などの個別的な事情にまで対応できず、リアルタイムの時価を反映できない点は、頭に入れておかなければいけない点であるといえます。

参照:国土交通省地価公示・都道府県地価調|国土交通省

遺産分割における不動産の評価方法はどうやって決めるの? 

これまで挙げてきた不動産の評価方法について、実際どの方法を使って不動産の評価額を算出すべきなのでしょうか。

相続人全員の同意があれば評価方法はどれでもいい

不動産の評価方法について何か決まりがあるわけではないので、相続人同士で同意しているのであれば、どの方法を選択しても問題ありません。

不動産の金額があまり高額でない場合には、時価公示価格や相続固定資産税評価額などを利用して簡易的に調べることもありますし、不動産の金額が高額であれば、固定資産税と時価の金額差が大きくなる傾向にあるため、不動産鑑定士を利用することもあります。

ここで、それぞれの評価方法のメリットやデメリットを簡単にまとめましたので、参考にしてみてださい。

不動産の評価方法のメリット・デメリット
メリットデメリット
不動産鑑定国家資格を持つ不動産鑑定士は鑑定をおこなうため、鑑定結果に信頼性がある。・鑑定費用が鑑定費用が高額になるおそれがある
・鑑定結果が出るまで時間がかかる
不動産会社による査定・不動産鑑定よりも、簡単に客観的な評価を確認することができる
・複数社から査定をとれば信頼度も増す
・不動産鑑定士よりも、信頼性・正確性に欠ける
・大手の業者やそれ以外の業者で、査定額にバラつきがある
相続税評価額を基準に計算簡単に算定できて、かつ情報の客観性も高いとくに都市部では、時価評価よりも低い金額になってしまう可能性が高い
固定資産税評価額を基準に計算
地価公示価格を基準に計算客観性も信頼性も高く、時価に近い金額を確認できる土地の状況や、その時点の経済状況の変化などの個別的な事情にまで対応できない

なお、どの方法を選択するにしても、不動産鑑定士以外の方法であれば無料で確かめることができるため、参考程度にあらかじめ調べておくことをおすすめします。

 

遺産分割協議における不動産評価についてよくある質問(FAQ)

 

遺産分割協議における不動産評価や、その方法についてよくある質問をまとめました。

相続した不動産を評価する方法にはどんなものがあるの?

遺産分割協議における不動産評価のおもな方法は、以下の5つです。

① 不動産鑑定士による鑑定
② 不動産会社による査定
③ 相続税評価額を基準に計算
④ 固定資産税評価額を基準に計算
⑤ 地価公示価格を基準に計算

どの評価方法を選択するかは、相続人同士の話し合いで決めることになります。

遺産分割協議で不動産の評価方法について揉めた場合はどうすればいい?

相続人同士で揉めてしまい、どうしても不動産の評価方法が決まらないこともあるでしょう。
その場合、「遺産分割調停」や「遺産分割審判」など、裁判所を通して評価方法を決めることになるでしょう。遺産分割調停では、話し合いでの合意を目指して手続きが進みますが、それでも話はまとまらない場合には、不動産鑑定士による鑑定がおこなわれることになります。

まとめ

相続や不動産の評価方法でお困りであればお気軽にご相談ください

遺産分割協議において、不動産をどのように評価するかは非常に重要なポイントです。

相続人全員が納得し、スムーズに遺産分割協議を進めるためにも、それぞれの評価方法の特徴を事前に把握しておき、いざという時に相続人を説得できるようにしておくと良いでしょう。

もし、不動産の評価方法や相続に間する手続きに関してお悩みであれば、SAKURA司法書士法人までお気軽にご相談ください。些細なことでも、親身になってご相談に乗らせていただきます。

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