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【相続】相続におけるトラブル回避方法―相続手続の注意点やポイント

2023年8月21日

 

 

                   

相続手続はトラブルが生じやすい。このようなイメージのお持ちの方は多いのではないでしょうか?

ドラマや小説、漫画などでも、相続トラブルで骨肉の争いが繰り広げられているということがよくありますよね。

このような身近な相続トラブルの大きな原因の1つが、相続人でどのように遺産を分けるかという「遺産分割」に関する問題です。

今回は遺産分割手続とそのトラブルについて、身近な具体的な事例をもとに、解説していきます。

◎今回のコラムのポイント
・相続トラブルの代表格、遺産分割の手続は数年にわたる事例が多い。
・遺産分割の手続本来の役割を理解することが円滑な相続に繋がる。
・トラブルを回避し、スムーズに手続を進めるためには、現状の立ち位置を把握する。

 

長期化する遺産分割の典型的な事例

故人の遺産を相続人で分割しようとした際に、議論が紛糾し数年に渡って手続が行われることは少なくありません。

実際に、遺産分割の手続である遺産分割調停は、極めて長期化するタイプの法的手続の1つと言われます。

2019年のデータでは、遺産分割の手続の総数9800件のうち、2年~3年に渡るものはなんと3000件を超えています!

長引く遺産分割手続が全体の3割弱もあるのは驚きですよね。

このように遺産分割が長期化する原因にはどのようなものがあるのでしょうか? 具体的な事例をもとにみていきましょう。

遺産分割の手続が揉める身近な事例としては、次のようなものが挙げられます。

①A(故人)の子供のうちの一人であるBが、Aの介護や実家の保全に尽力したのは自分一人であることから、他の兄弟等はAの相続権を主張するに値しないといったことを述べ、際限なく議論が続いたような事例。

②A(故人)の子供のうちの一人が、Aの預金の一部を遺産分割が始まる前に使い込んだ疑惑があったことから、他の相続人と議論が対立し、言い合いになったような事例。

③A(故人)名義の家を建てる際に、その資金を出したのはBのみだった場合に、Bがその家は自分の財産であり相続の対象ではないと主張したような事例。

なぜ長期化する?遺産分割手続と問題点

事例①~③でみたように、議論が紛糾してしまい、遺産分割の手続がなかなか先に進めなくなる原因は主に2つあります。

(1)1つ目は、相続(遺産分割)手続になじまないような論点が議論に含まれていることが挙げられます。

どういうことか?というと、本来の遺産分割の手続は、事例①~③でのA(被相続人)が、持っていた(相続の開始時点で持っており、かつ、遺産分割を行うときに行うときに存在している)財産が確定しているという前提のもとで行われます。

つまり、相続財産が何か?といったことや、どこからどこまでか?といった前提問題はあらかじめ判明しているという状態からスタートします。

このような時系列を忘れてしまうと、相続トラブルが起こりやすくなってしまいます。

(2)2つ目は、ある特定の財産がA(被相続人)の「遺産」であるのか、Bやその兄弟といった人たち(相続人)の「固有財産」であるのかをあらかじめ定めず、議論をごちゃ混ぜで進めていることが挙げられます。

遺産分割の手続きは、何が相続の対象か?といったことを争う手続ではないことは必ず覚えておきたいですね。

遺産分割の手続を行うにあたっては、予め一定の準備が必要です。

相続トラブルを回避し、遺産分割を迅速に進めるためのポイント

遺産分割の手続本来の機能を十分に発揮させるにはどうしたら良いのでしょうか?

迅速に手続を進め、トラブルを回避するためには、今自分が置かれている立ち位置をしっかりと把握することが大事です。

相続の手続での時系列は、大まかに5段階に分かれます。この点について詳しく見ていきましょう。

相続トラブルを回避するための5つの時系列

(1)まず第1段階は相続の範囲の確認です。

ここでは、そもそも相続人が誰か?を確認します。

第1段階の注意点としては、戸籍が事実と違っているなど、相続人の範囲に問題がある場合や、相続人の中に認知症などで判断能力に問題がある人がいる場合は、成年後見や、人事訴訟(夫婦や、親子についての問題を解決するための訴訟)を行うといった別途の手続が必要です。



(2)相続の範囲の確認が終わると、遺産の範囲の確定を行います。

遺産の範囲は、原則としては故人(被相続人)が亡くなった時点で所有していて、現在も存在しているものが、遺産分割の対象となります。

ここでは、遺言書や遺産分割協議書で分け方がすでに決まっている財産は遺産分割の対象とはならず、誰かが財産を隠してしまったり、使い込んでしまった場合には、遺産分割以外の手続が別途必要なことを押さえておきましょう。

遺言書や遺産分割協議書については、他のコラムで解説しています。
【遺言とは?】遺言書の種類・効力・メリット・デメリットを簡単解説
遺産分割協議の流れー遺産分割協議でもめ事が発生した時の解決方法

(3)遺産の範囲が確定したら、遺産の評価を行います。

遺産の評価では、遺産分割の対象の中で、不動産等がいくらか?といった評価額を確認します。

合意ができない場合には、鑑定という手続が必要で、鑑定費用はあらかじめ相続人に納めてもらう必要があります。

(4)次に、相続人それぞれの取得額を決定します。

これまでのプロセスで、遺産の範囲と評価の確定が終わっています。
ここでは、範囲と評価を確定した遺産について、法定相続分に基づいて、それぞれの相続人が具体的にいくら貰えるのか?という取得額を決定します。

ただし、事例①のような場合に、Bが故人を介護したことが考慮されると、その事実をもとに相続人の取得額が修正される可能性があることに注意が必要です!

(5)最後に、遺産を分割します。

(4)で決定した取得額をもとに、それぞれの相続人に遺産を分割します。

遺産を分割する際には、遺産そのものを分ける方法の他に、遺産を売却し、その売却代金を現金で分割するといった方法などもあることは押さえておきましょう。

この5つの段階を意識することで、①何が相続財産か?といった前提問題と本来の遺産分割に関する問題を峻別し、②遺産分割に向けて進んでいる議論の蒸し返しを防ぐことができると言われています。

スムーズな遺産分割のために必ず覚えておきたいこと

相続で頻繁に起こるトラブルである遺産分割の揉め事は、揉め事の全てを遺産分割の手続で解決できると勘違いしていることが主な原因です。

これまでみてきた、①相続人は誰か?②何が遺産か?③遺産の評価④取得額⑤遺産の分割方法といった順序は、前者を確定しない限りは、次の論点には移れません。

そのため、目の前のことを片付けないと先に進むことができない構造になっています。

このような5段階のプロセスを常に意識することによって、自分自身が関わっている相続は、相続人が誰か?といった問題と何が遺産か?といった前提にある問題を解決しなければ、遺産分割の手続を前に進めることができないことを明確に意識することができます。

今回のコラムでは、相続におけるトラブルとその回避方法として、遺産分割の手続の問題点と、5段階に分かれる遺産分割の進行プロセスについて解説しました。

相続人が誰か?といった問題と、何が遺産か?を解決しない限りは、相続手続が先に進まないことは必ず覚えておきましょう。

参考文献

山川一陽ほか編『実務から見た遺産分割と遺言・遺留分』(青林書院、2022)

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