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いい相続とは何か?相続税の節税対策と遺言書の重要性

2023年10月4日

 

 

亡くなった方が生前に築いた財産を、パートナーや子どもが引き継ぐことを「相続」といいますが、相続する場合、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐのが原則です。

そのため、誰が財産を相続するかで揉め事が起こるケースや、遺言書に書かれている内容を巡って、親族間で争いが起こるケースも少なくありません。

本来争う必要のない親族間で争うことなく、亡くなった方の想いを反映した相続を実現するためには、相続税の節税対策も含め、あらかじめできる対策をおこなっておくことが重要です。

この記事では、生前にしておくべき相続対策や節税対策、遺言書の重要性や遺産分割で揉めないための対処法などについて、わかりやすく解説していきます。

 

いい相続とは?

いい相続とは、亡くなった方が自分の想いを伝え、相続人同士で揉めることもなく、スムーズに手続きを進められたケースを指すことが多いのではないでしょうか。

たしかに、人によって何が「いい相続」であるかの定義は変わるかもしれません。

しかし、生前自分が築き上げてきた財産を残しておきたい人に残し、遺言書を作成しておくことで、自分がいなくなってしまったあとの不安を解消できれば、残りの人生を心軽やかに明るく生きていくことができるでしょう。

また、せっかく残しておいた財産を相続する際に、必要以上に相続税として回収されてしまうことがないよう、事前に節税対策をしておくことも重要でしょう。

いい相続をおこなうためには、相続税まで考慮したうえで、遺言書を作成しておくことが重要なのです。

生前にしておくべき相続対策

人生の終わりについて考え、備えるための「終活」は、亡くなった後の不安を解消し、残りの人生を前向きに考えるためにはとても重要な活動になります。

相続について生前にしておくべきこととしては、次の2つです。

生前にしておくべき2つの相続対策
● 相続財産をリスト化しておく
● 相続人を確認しておく

それぞれについて、詳しく解説していきます。

相続財産をリスト化しておく

相続は、現金や預金、不動産といった「プラスの財産」だけでなく、借金や、未払い金などの「マイナスの財産」も相続の対象となります。

本人が亡くなってしまったあとに、相続人だけで全ての財産を把握するのは困難なので、生前に全ての財産をまとめておくことが重要です。

相続の対象となる財産の一例は次の通りです。

【相続の対象となる財産】

プラスの財産・現金や預貯金
・株式などの有価証券
・車、貴金属、絵画や骨董品などの動産
・土地、建物、駐車場などの不動産
・貸借権、特許権、著作権などの各種権利
マイナスの財産・消費者金融からの借り入れやローンなどの借金
・リボや分割払いなどのクレジットカードの利用残高
・未払いの税金、未払費用など

一方、次に挙げるものは、相続の対象とはなりません。

【相続の対象とならない財産】

・国家資格、生活保護受給権、親権、扶養義務など
・生命保険金(※) 
・死亡退職金(※)
・遺族年金(※)
・葬儀にかかった費用全般、香典、弔慰金
・墓地、墓石、お仏壇など

※相続人かどうかに関係なく、受取人固有の権利となる。

これらの財産を全てリスト化してまとめておくと、相続人が改めて相続財産を調査する必要がなくなり、相続するか相続放棄をするかの判断を、スムーズにおこなえるようになります。

不動産や株式など、価値が変動する財産の場合には、日付と基準を記載しておき、その時の評価額を算出しておくと良いでしょう。

なお、生命保険金や死亡退職金については、相続財産とはならず遺産分割の対象にはなりませんが、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になるため、注意が必要です。

相続人を確認しておく

相続人が誰なのかを、戸籍謄本等を基にしっかり調査しておくことも重要です。

相続人は、親族であれば誰でもなれるわけではなく、相続する順番や相続できる割合が、法律で細かく定められています。

法定相続人とも呼ばれるこの相続人は、民法では次のように定められています。

【法定相続人】

相続人 順位 法定相続分
子・配偶者 第1位 子(全員で)2分の1 配偶者2分の1
直系尊属・配偶者 第2位 直系尊属(全員で)3分の1    配偶者3分の2
兄弟姉妹・配偶者 第3位 兄弟姉妹(全員で)4分の1 配偶者4分の3

たとえば、亡くなった方が結婚していて、子どもが1人いる場合には、配偶者と子どもが相続人になり、それぞれ2分の1ずつ相続することになります。

また、子どもや両親がすでに亡くなっている場合には、配偶者および兄弟姉妹が相続人となり、配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟全員で等分することになります。

相続する子どもは全ての子どもが対象となっているため、離婚歴があり、前婚の配偶者との間に子どもがいる場合には、その子どもも相続人となります。

また、子どもがすでに亡くなっている場合であれば、孫やひ孫も相続する権利を持っており、兄弟姉妹の子どもも、相続の対象となります。

通常の相続であればあまり問題にならないかもしれませんが、とくに先祖代々受け継がれている不動産が相続財産にある場合、先代が遺産分割をしっかりおこなう前に相続人が亡くなっているケースもあり、その場合、知らない間に相続人の数が膨大になってしまっているケースも少なくありません。

相続登記や遺産分割の際に揉めないためにも、あらかじめ戸籍謄本を役所で取得し、相続人が誰なのかをしっかり確定しておくようにしましょう。

相続税の節税対策とは?

いい相続をおこなうためには、相続税をできる限り節約することが重要です。

相続税の節税対策はたくさんありますが、ここでは主に【生前贈与】【小規模宅地等の特例等の制度】について解説していきます。

生前贈与をおこなう

相続税の節税対策として有効な方法として、生前贈与をおこなうことで相続する財産そのものを減らすことで、そこにかかる税金も減らすというものがあります。 生前贈与とは、亡くなる前に自分の財産を無償で渡すことを指します。5000万円の財産がある場合に、その財産をそのまま相続するよりも、亡くなる前に3000万円贈与しておく方が、相続税の対象となる財産自体を減らすことができます。 ただし、生前贈与で節税対策をおこなう場合には、次の点に注意してください。

【生前贈与で節税対策をおこなう場合の注意点】

● 年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる
● 現金手渡しでも贈与税は支払う必要がある
● 贈与ごとに贈与契約を結んでおき、「贈与契約書」を作成しておく
● 亡くなる前3年以内の生前贈与は相続財産に加算される

とくに、生前贈与の場合には、贈与税の基礎控除額である110万円の枠を利用した「暦年(連年)贈与」が、「定期贈与」であるとみなされないように注意する必要があります。

たとえば、合計1000万円の財産の相続税を節税するために、10万円の贈与契約を毎年結んでいたような場合には、暦年贈与とみなされ贈与税はかかりません。

しかし、同じように毎年10万円づつ贈与する契約であっても、「100万円を10年間にわたって継続して贈与をする」という契約を交わしてしまった場合には、定期贈与とみなされて贈与税が発生してしまいます。

そのため、贈与契約をその都度交わすのが面倒であるからという理由で、一度にまとめて契約してしまうと、思いもよらぬ税負担が生じてしまう可能性があります。生前贈与は早いうちから、長期間にわたり行う事が重要なのです。

小規模宅地等の特例等の制度を利用する

小規模宅地の特例とは、亡くなった方が自宅や事業用に使用していた宅地を相続した場合に、相続税評価額を最大で80%減額できる特例のことです。

参考:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

この制度をうまく利用すれば、限度面積330㎡で80%の減額を受けることができるため、たとえば評価額が4000万円の宅地であれば、最大で評価額を800万円まで下げることができるため、大きな節税対策となるでしょう。

また、相続財産が不動産の場合、現金を相続する場合よりも、評価額が7〜8割程度低く評価される傾向にあるため、現金をそのまま残すよりも、不動産を残した方がそれだけで節税対策になることもあります。

自分が小規模宅地等の特例に該当するか判断できない場合には、専門家である司法書士に相談してみることをおすすめします。

その他

その他、相続税の節税対策になるものとしては、次のようなものがあります。

続税対策一覧
・生命保険の非課税枠を利用する
・死亡退職金等の非課税枠を利用する
・解約返戻金が低いうちに子どもに生命保険をかける
・生命保険を一時所得として受け取る
・養子縁組などで法定相続人の人数を増やす
・小規模宅地等の特例のうち「家なき子特例」を利用する
・「地積規模の大きな宅地の評価」制度を利用する
・更地ではなく評価額の安い賃貸アパートを建築する
・タワーマンション節税
・相続税の非課税財産である墓地や仏具を購入する
・相続税申告のための税理士報酬を生前に支払う
・会社に対して貸しているお金を回収する
・教育資金贈与信託を利用する
・相続時精算課税制度を利用する
・賃貸マンションや駐車場などの収益不動産を贈与する
・不要な不動産を早めに処分する

それぞれメリットやデメリット、利用できる条件などが異なるため、詳しくは相続手続きを熟知している司法書士に確認して、できる限り支払う相続税を減らす対策を施しておきましょう。

相続における遺言書の重要性

相続する財産が大きければ大きいほど、親族間で争いになるケースも増えるでしょう。

本来であれば争う必要のない相続の場面で、無用な争いをしないためにも、亡くなる前に遺言書を作成しておく事が非常に重要です。

遺言書は法的な効力を持っており、他の相続人が何と言おうと、原則遺言書通りに相続手続きが進んでいきます。相続人や相続する財産を、遺留分に配慮しながら細かく指定しておくことで、相続人同士での争いを避ける事ができます。

また、遺言書で指定すれば、法定相続人以外にも財産を残すことができるため、生前お世話になった人に対して財産を残す事ができるでしょう。

とくに、いわゆる"おひとりさま"の場合には、遺言書で財産を相続させる人物を指定しておかないと、相続財産が全て国庫に帰属することになってしまいます。法定相続人がいない場合には、お世話になった人に財産を相続させるためにも、遺言書を作成しておくことをおすすめします。

なお、遺言書を作成する際には、次の3つの方法のいずれかで作成する必要があります。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

それぞれの遺言書で特徴やメリット・デメリットが異なり、要件を満たさないと遺言が無効になってしまうおそれもあるため、詳しくは専門家である司法書士に相談することをおすすめします。

遺産分割で揉めないための対処法

相続では、莫大な遺産を引き継いだり、逆に莫大な借金を背負ってしまう可能性があるため、相続をきっかけにして、それまで仲のよかった親族や兄妹間で争いになってしまい、その後、絶縁状態になってしまったというケースも少なくありません。

相続で揉める大きな原因の一つに、誰がどれだけの財産をもらうのかについて、相続人同士で意見が一致しない点があります。

そこで、生前に「遺言書」を作成し、あらかじめ「誰にどのような財産を与えるか」を明確におくことで、遺産分割で揉めるのを防ぐことができるでしょう。

ただし、遺言書があったとしても、相続人全員が合意しているのであれば、遺言書の内容に従う必要はありません。つまり、すべての相続人が納得できるような公平な遺言書の内容でない限り、相続人の中で不満が出てきてしまう可能性があります。

また、法律上、法定相続人には「遺留分」が認められており、たとえば「次男に全財産を相続」させるとの遺言があったとしても、配偶者や長男には最低限の取り分が認められています。
遺言を作成する際に、遺留分を無視して相続の内容を決めてしまうと、感情的なもつれがより激しくなってしまい、争いが激化してしまうおそれがあるでしょう。
相続で揉めないためにも、全ての相続人の感情に配慮した遺言書の作成をすることが重要になるでしょう。

相続税の納税資金を確保するための方法

相続税の節税対策は、"いい相続"をするためには欠かせませんが、相続税の支払い資金を確保することも、”いい相続”をするためには重要です。

苦労して相続税を下げることはできても、その支払いができなかった場合には、追徴課税になってしまい、節税対策が水の泡になってしまうからです。

相続財産の中から支払いができれば問題ないですが、預貯金が少ないケースや、遺産分割協議がなかなかまとまらずに預金が引き出せない場合など、相続税の支払いが難しいケースも少なくありません。

相続税の納税資金を確保するための方法としては、次の対策を試してみてください。

【相続税を払えないときの対処法】
● 延納や物納制度を利用する
● 相続した不動産を売却して現金化する
● 金融機関からお金を借りる

相続税は一括払いが基本ですが、分割払いにしてもらう延納制度や、不動産などの一定の財産で代わりに納めることができる物納制度を利用することで、効率良く相続税の支払いをすることができます。
参照:「相続税・贈与税の延納の手引」 国税庁
参照:「相続税の物納の手引 (手続編)」 国税庁
また、不動産や株などを売却し現金化することで、相続税の支払い資金を確保する方法もあるでしょう。

ただし、不動産や株などは、すぐに現金化するのが難しいことも多く、場合によっては相続税の納税期限までに間に合わないケースも少なくありません。そのため、可能であれば、生前のうちから不動産や株などを整理して、相続した後すぐに現金化しやすいように対策しておくと良いでしょう。

ここに挙げた以外の方法でも、たとえば生命保険をうまく活用し、家族が受け取る保険金で相続税を支払えるようにしておくことも、有効な資金確保の一つであるといえるでしょう。

まとめ

”いい相続”とは、亡くなった方の思いを実現し、円満に全ての手続きを終了できる相続です。
生前できる限りの対策をとっておくことで、相続後に揉める可能性を少しでも減らすことができるでしょう。

相続後、遺産分割協議で揉めないようにするためには、遺留分にも配慮した遺言書を作成しておくことが重要です。
生前自分が築き上げてきた財産を残しておきたい人に残し、無用な争いが生まれてしまうことを避けるためにも、自分の財産をしっかり整理しておくよう心がけてください。

もし、何から手をつけていいかわからない場合には、財産の整理や遺言書の作成など、当事務所までお気軽にお問合せください。

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