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相続で借金を引き継ぐ前に。司法書士のサポートと相続債務に関するQ&A

2023年12月15日

 

 

遺産の整理をしていたら、亡くなった方に多額の借金があることが判明し、どう対処するのがいいのかわからず、不安に思っている方も多いでしょう。

相続財産に借金がある場合には、そのまま相続して借金の返済をするか、相続放棄をして借金が相続されないようにするのかを、早めに決める必要があります。

また、相続人が複数いる場合には、遺産や借金を誰がどれくらい相続するのかについて、遺産分割協議をおこなって決定する必要があるでしょう。

このコラムでは、相続財産に借金がある場合の対処法について、わかりやすく解説していきます。

亡くなった方の借金は相続するのが原則

相続人は、預貯金や不動産だけでなく、借金も相続するのが原則です。

そのため、相続放棄の手続きや遺産分割協議などで借金の引受人を決めていない場合には、自動的に借金を支払う義務が生じてしまいます。

ただし、生活保護の受給権や公営住宅の使用権など、亡くなった方固有の権利については相続されません。

また、葬儀費用は、相続が開始したあとの債務となるため、相続債務には含まれません。

相続財産に債務がある場合の3つの対処法

相続財産に借金がある場合の対処法は、次の3つです。

相続財産に債務がある場合の3つの対処法
● 借金を相続して支払う|単純承認
● 借金や資産全てを相続しない|相続放棄
● 一定の財産だけ相続する|限定承認

以下、それぞれ確認していきます。

借金を相続して支払う|単純承認

借金額よりも相続財産の額のほうが大きい場合には、そのまま相続して借金を返済していくことも有効です。

亡くなった方の一切の財産を相続することを「単純承認」と呼びますが、この単純承認であれば、面倒な裁判所の手続きや、公的な書類の提出等は必要ありません。

なお、家族や親戚であれば誰でも相続人となるわけではなく、法律で定められた一定の人のみが、相続人として財産を相続する権利を持つことになります。

法定相続人と相続する割合は、次のとおりです。

相続人 順位 法定相続分
子・配偶者 第1位 子(全員で)2分の1 配偶者2分の1
直系尊属・配偶者 第2位 直系尊属(全員で)3分の1 配偶者3分の2
兄弟姉妹・配偶者 第3位 兄弟姉妹(全員で)4分の1 配偶者4分の3

たとえば、子どもが1人いる3人家族で、夫が亡くなってしまったケースであれば、妻と子どもが相続人となり、法定相続分は妻と子どもがそれぞれ2分の1ずつとなります。

もし、亡くなった夫が多額の借金をしていて、妻と子どもが相続放棄をした場合には、相続する権利は第2順位である夫の両親に移ることになります。

借金や資産全てを相続しない|相続放棄

相続放棄をすることも、相続財産に債務がある場合の対処法としては有効です。

相続放棄とは、借金も含めた全ての財産を相続する権利を放棄する手続きです。

亡くなった方の借金額が、相続財産をあきらかに上回る場合には、相続放棄をすることで、借金を相続せずに済むことになるでしょう。

相続放棄は、「相続開始を知ったときから3ヵ月以内」に、家庭裁判所で手続きをおこなう必要があります。

この相続放棄は、たとえ相続人が複数いたとしても、それぞれ単独でおこなうことができるので、他の相続人に許可をとる必要はありません。

一定の財産だけ相続する|限定承認

限定承認とは、プラスの遺産の範囲内でのみ債務を相続する手続きです。

限定承認は、相続財産と債務のどちらが大きいかが判明しない場合に有効な方法です。

限定承認をおこなった結果、相続財産の方が大きければプラスになりますし、債務の方が大きければ、相続財産の分しか債務を相続しないため、プラスマイナス0に抑えることができるからです。

限定承認は、相続放棄と同じく裁判所を通した公的な手続きであり、相続人全員が共同しておこなわなければなりません。

手続き自体も複雑で、かつ相続放棄よりも費用がかかることから、実務上はほとんどおこなわれない手続きとなっています。

相続人が複数いる場合には遺産分割協議をおこなう

相続人が複数いる場合には、相続財産の分配や債務を誰が支払うのかについて、話し合いで方針をまとめる必要があります。

遺産分割協議は、法律上、必ずしもおこなわなければいけない手続きではないので、とくに話し合いの期限などは決まっていません。

しかし、相続税の申告を「相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」にしなくてはいけないことを考えると、なるべく早めに協議をまとめておくのが良いでしょう。

なお、遺産分割協議の内容は、「遺産分割協議書」として書面にまとめておいてください。

できれば、公正証書として残しておくと安心ですが、通常の書面の取り交わしであっても、不動産の相続登記や、相続に関する手続きの場面で使用することができます。

債務を遺産分割する際の注意点

そもそも、相続財産と違い、債務そのものは遺産分割の対象とはならないのが原則です。

しかし、相続財産と同じように債務を分割できた方が、相続人にとって有意義であることから、実務上は、法律上の「債務引受」を利用して債務の分割を認めることになります。

相続における「債務引受」とは、相続人が負担する債務と同一の内容の債務を、他の相続人が負担する制度です。

この債務引受を利用することで、債務についても遺産分割協議で分割することが可能ですが、分割する際にはいくつか注意点があります。

債務を遺産分割協議で分割する際の注意点は、次の3つです。

債務を遺産分割する際の3つの注意点
● あらかじめ債権者の承諾を得る
● 債務控除のためにも相続債務は正確に記入する
● アパートローンに関する記載も忘れずに記載する

それぞれについて詳しく解説していきます。

あらかじめ債権者の承諾を得る

 

債務を遺産分割協議で分割する場合、債権者に事情を話して承諾を得ておく必要があります。

債権者としては、相続人同士の勝手な話し合いで、本来の相続人よりも資力がない相続人に借金を肩代わりされてしまうと、借金の回収ができなくなってしまうおそれがあります。

そのため、債務を分割する場合には、誰がいくらの債務を負担するのかを決めたうえで、あらかじめ債権者から同意を得ておくことが重要です。

もし、債権者から承諾を得られなかった場合には、債務引受の効果を債権者に対して主張することができないため、各相続人は、それぞれの法定相続分の割合に応じて、債務を負担することになります。

債務控除のためにも相続債務は正確に記入する

相続財産には相続税がかかりますが、借金を相続した場合には「債務控除」の対象となり、相続税を減らすことができます。

遺産分割協議書に、誰がどの債務をいくら負担するのかを明確に記載しておくことで、節税対策をしっかりおこなっておくことが、”賢い相続”だといえるでしょう。

なお、葬儀費用は相続債務には含まれませんが、債務控除の対象となるため、忘れずに遺産分割協議書に記載しておきましょう。

【遺産分割協議書への記載例】
・相続人Aは、消費者金融からの借り入れ300万円を全額負担する。
・相続人BおよびCは、銀行からの借り入れ500万円を、それぞれ2分の1ずつ負担する。
・相続人Dは、葬式費用全額を負担する。

アパートローンに関する記載も忘れずに

亡くなった方が、投資用の不動産としてアパートローンを組んでいたような場合には、そのアパートローンを負担する相続人についても、忘れずに遺産分割協議書に記載しておくようにしてください。

アパートローンの債権者である金融機関から、今後の返済について説明を求められた際に、詳細が記載された遺産分割協議書があれば、スムーズに引き継ぎの手続きをすることができます。

また、亡くなった方が、マンションやアパート等の賃貸物件を経営していた場合、契約者(入居者)から敷金を預かっていることが多く、この敷金は、契約者(入居者)が退去する際に返還する可能性がある「敷金返還債務」となります。

敷金を引き継ぐことに対して、契約者(入居者)の承諾は不要ですが、のちのちのトラブルを避けるためにも、遺産分割協議書で敷金についても触れておくことをおすすめします。

相続トラブルを司法書士に依頼するメリット

相続に関するトラブルは、法律の専門家である司法書士に相談することをおすすめします。

相続トラブルを司法書士に依頼するメリットは、次の2つです。

相続トラブルを司法書士に依頼する2つのメリット
● 複雑な手続きをスムーズに進められる
● 相続放棄や相続登記、遺産分割協議書の作成も

それぞれ具体的にどのようなメリットがあるのか、確認してみましょう。

複雑な手続きをスムーズに進められる

法律の専門家である司法書士なら、複雑な相続に関する手続きをスムーズに進めることができます。

相続の場面では、相続財産の種類や数が多く、全てを把握するだけでも相当な時間がかかってしまったり、複数の相続人の予定を調整して遺産分割協議をおこなうのは、思っている以上に大変です。

また、相続放棄や遺産分割、相続登記や相続税の計算など、日常生活ではあまり聞き馴染みのない手続きを一定の期限内におこなう必要があるため、1人で手続きを進めていくのは難しいケースも多いでしょう。

その点、相続トラブルに慣れている司法書士であれば、複雑な手続きもスムーズにおこなえるだけでなく、相続財産の調査や、相続財産の調査をスムーズにおこなうことができます。

相続放棄や相続登記、遺産分割協議書の作成も

また、司法書士であれば、相続放棄の手続きや遺産分割協議書の作成も任せることができます。

遺産分割協議書に特定の書式はありませんが、記載事項に不備があると、あとあとトラブルに発展してしまうおそれがあります。

また、3ヵ月という短い期間の間に相続放棄をするかしないかの判断をするためには、豊富な経験から最適な選択ができる、法律の専門家のアドバイスをもらうのがベストであるといえるでしょう。

まとめ

亡くなった方の借金は相続するのが原則ですが、相続放棄や遺産分割協議をおこなうことで、借金を相続することを避けることできます。

債務を遺産分割する場合、とくに債権者とあらかじめ交渉し、相続した借金の債務引受について同意を得ておくことが重要です。

また、葬式費用も含めた遺産分割の内容を正確に記載しておき、債務控除をうまく利用することで節税対策をおこなうことも忘れずにおこないましょう。

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