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死亡保険金に税金はかかる?相続税、贈与税、所得税についてパターン別に解説

2024年1月19日

 

 

保険に加入している人が亡くなった場合に遺族に保険金が支払われることを「死亡保障」といいます。

このような死亡保障がついている保険に加入している人が亡くなった時に支払われるお金である「死亡保険金」を遺族などが受け取った場合に、税金はかかるのでしょうか?

今回のコラムでは、死亡保険金と税金の関係について解説していきます。

死亡保険金に税金はかかるのか

死亡保険金を受け取った方にとって一番気になることといえば、その保険金に税金がかかるのか、かかるとしたらどの程度なのかということだと思います。

結論から先にお伝えすると、死亡保険金の受け取りには税金が発生します

しかし死亡保険の契約者(保険料を支払う人)や受取人、被保険者(保険に加入している本人)によって、「相続税」、「所得税」、「贈与税」のどれが課されるのかが変わってきます。

具体的には次の図の通りです。

相続税 契約者が被保険者で、受取人が相続人の場合
所得税 契約者本人が受取人の場合
贈与税 契約者と被保険者、受取人それぞれが別の人の場合

それでは、それぞれの場合について具体的なCaseをもとに順番に詳しくみていきましょう。

相続税がかかる場合

まずは次のCase1を見てみましょう。

【Case1】
AさんとBさんは夫婦でCさんという子供が1人いました。2人は将来のことを考え、死亡保険に加入することにしました。
その時の契約者と被保険者はAさん、受取人はBさんでした。
ある日Aさんが他界し、Bさんは急きょ死亡保険金3,000万円を受け取ることになりました。なお、相続人はBさんとCさんの2人のみでした。

このようなCaseでBさんが受け取る保険金に課される税金は図①の「相続税」です

本来であれば死亡保険金は相続の対象となる「相続財産」ではありません。
しかしCase1のような場合、Aさんという被相続人の死亡が原因でBさんがお金を手にいれるため、死亡保険金は相続財産とみなされ(みなし相続財産)、相続税がかかります。

Ⅰ そもそも相続税とは?

ある人が亡くなったときに、その人のお金などの財産を妻や子など(相続人)が引き継ぐことを相続といい、相続することになった財産(相続財産)にかかる税金のことを相続税と言います。

相続では、相続人が手に入れた財産の評価額によって相続税が課せられますが、財産の総額が基礎控除額である「3,000万円+6,00万円×法定相続人の人数」の範囲内であれば相続税がかかりません。

Case1のような場合であれば、法定相続人がBさん、Cさんの2人であるため、基礎控除額は、3,000万円+6,00万円×2で、4,200万円となります。

※相続税の対象となるのは現金だけでなく、金銭的な価値があるもの全てです。具体的には、土地や建物、株式や社債などの有価証券、みなし相続財産等も含まれます。詳細は国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm)をご覧ください。

Ⅱ 具体的にはどれくらい税金がかかる?

死亡保険金にかかる相続税は、「受け取った死亡保険金−非課税額(500万円×法定相続人の人数)」で計算します。

Case1のような場合、法定相続人がBさん、Cさんという2人であるため、
非課税額は500万円×2の1,000万円です。

上記の計算式に当てはめると、死亡保険金のうち2,000万円が相続税のかかる範囲になります。

※ Ⅰで説明したように、死亡保険金が非課税額より多い場合でも、相続税の基礎控除である「3,000万円+6,00万円×法定相続人の人数」の範囲内であれば相続税はかかりません。Case1の場合であれば、他の相続財産と死亡保険金を合わせた金額が基礎控除額である4,200万円以下であれば、相続税がかからないことになりますね。

Ⅲ 控除などが使えない場合があるって本当?

相続税の非課税枠や控除といった制度は、死亡保険金を受け取った人が法定相続人である場合しか使うことができません。

そのため、①内縁の妻のような事実婚の配偶者、②同性婚の配偶者、③相続放棄をした人等は、控除などを利用できません。この点は注意が必要です。

所得税がかかる場合

次に、所得税がかかる場合です。今回も具体的な事例をもとに考えてみましょう。

【Case2】
AさんとBさんは夫婦でCさんという子供が1人いました。2人は将来のことを考え、死亡保険に加入することにしました。その時の保険会社との契約内容は次の通りです。
①契約者は夫であるAさん
②保険料を支払う被保険者は妻であるBさん
③受取人は契約者であるAさん
④払込保険料の総額は300万円
ある日Bさんが他界し、Aさんは急きょ死亡保険金3,000万円を受け取ることになりました。

Case2のような場合では、契約者と受取人が共にAさんであり、保険料を支払っているのがBさんであるため、Aさんが保険料を受け取った場合にはAさんの所得として扱われます。よって、今回のCase2の死亡保険金には図②の「所得税」がかかります。

なお、Aさんが受け取った死亡保険金は所得の中でも「一時所得」となります。

Ⅰ そもそも一時所得・所得税とは?

それでは、一時所得や所得税とはどのようなものでしょうか。

所得税とは、会社からの給料などの収入全般に対して課せられる税金のことです。この所得税は、これから解説していく一時所得に対しても課せられます。

一時所得とは、会社で働いたりして手に入れた(営利目的で継続した事業等の)給料などの所得ではなく、一時的に手に入れた所得のことを言います。

具体的には次のようなものが一時所得にあたります。なお、詳細は国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm)をご覧ください。

懸賞や福引きの賞金品
競馬や競輪の払戻金
生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等
法人から贈与された金品
遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

一時所得がかかる範囲と、税金額の基本的な計算方法は次の通りです。

①収入金額の合計−特別控除額=一時所得の金額

②一時所得×2分の1=一時所得に所得税がかかる範囲

Ⅱ 具体的にはどれくらい税金がかかる?

所得税がかかる一時所得の計算は、Ⅰで説明した基本的な計算方法とほとんど一緒です。

まず、「受け取った死亡保険金+配当金−払い込んだ保険料−特別控除額(50万円)」という式で一時所得を求め、それを半分にした額が所得税のかかる一時所得の範囲になります。

例えば、Case2の場合では、受け取った死亡保険金が3,000万円、支払った保険料が300万円であるため、「3,000万円−300万円−50万円=2,650万円」が一時所得の金額で、「その半分の1,325万円」に所得税がかかることになります。

※所得税がかかる場合はそれとともに住民税もかかることになります。住民税の存在は忘れがちなので、必ず覚えておきましょう。
所得税の控除には、基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除等があります。詳細は国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm)でご確認ください。

贈与税がかかる場合

最後は、「贈与税」がかかる場合です。死亡保険金に贈与税がかかるのは次のようなCaseが代表的です。

Case3
AさんとBさんは夫婦でCさんという子供が1人いました。2人は将来のことを考え、死亡保険に加入することにしました。その時の契約は、契約者が夫であるAさん、保険料を支払う被保険者がBさん、死亡保険金を受け取るのが子供であるCさんという内容でした。
ある日Bさんが他界し、Cさんは急きょ死亡保険金3,000万円を受け取ることになりました。

Case3では、契約者と被保険者と受取人がそれぞれ異なります。このような場合、実質的には契約者本人であるAさんから他人であるCさんにお金が移ることになるため、贈与の扱いになります。

Cさんは息子であるため相続ではないか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。今回のCaseでは契約者であるAさんは生きているため、相続にはならないことを覚えておきましょう。

Ⅰ 贈与・贈与税とは?

そもそも贈与とは、まだ生きている人からお金などの財産を受け取ることです。そのような場合には「贈与税」がかかります。

贈与の場合は、とても幅広い範囲の財産が贈与税の対象となります。例えば、お金などの現金や預金のほか、土地や建物、もちろん死亡保険金も対象になります。

贈与税には非課税となる基礎控除という枠があり、この基礎控除の額を超えた部分に対して贈与税がかかることになります。

基礎控除額は、1月1日〜12月31日を基準として1年間で110万円です。

贈与税の対象となる金額に税率をかけたものが、最終的に納税者が払う贈与税額になります。税率は、父母や祖父母といった直系尊属から18歳以上の子や孫といった直系卑属へ贈与する「特例贈与」と、それ以外の「一般贈与」で変わってきます。

特例贈与の場合は、一般贈与よりも税率が低めに設定されています。具体的には次の通りです。

【一般贈与】

最終的に税金のかかる額 税率
200万円以下 10%
300万円以下 15%
400万円以下 20%
600万円以下 30%
1,000万円以下 40%
1,500万円以下 45%
3,000万円以下 50%
3,500万円超 55%

【特例贈与】

最終的に税金のかかる額 税率
200万円以下 10%
400万円以下 15%
600万円以下 20%
1,000万円以下 30%
1,500万円以下 40%
3,000万円以下 45%
4,500万円以下 50%
4,500万円超 55%

Ⅱ 具体的にはどれくらい税金がかかる?

死亡保険金には相続税、所得税、贈与税のどれかが課されることはこのコラムの最初で説明しましたが、税額が最も高くなりがちなのは贈与税です。

Case3をもとに考えてみましょう。贈与税は「1年間に受け取った贈与の額の合計−基礎控除110万円」で計算します。

このCaseの場合、Cさんが受け取った死亡保険金は3,000万円であるため、基礎控除額110万円を引くと、贈与税の課税額は2,890万円となります。

それでは、一般贈与、特例贈与それぞれの場合について最終的な贈与税額を計算・比較してみましょう。

まず一般贈与の場合は、課税額2,890万円に対して税率が50%であるため、「2,890万円×50%」=1,445万円から、一定の控除額(250万円)を引いた金額である1,195万円が最終的な課税額となります。

これに対して特例贈与の場合は、課税額2,890万円に対して税率が45%であるため、「2,890万円×50%」=約1,300万円から、一定の控除額(265万円)を引いた金額である1,035万円が最終的な課税額となります。

Ⅲ 相続時清算課税制度は使える?

「相続時清算課税制度」というものを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。この制度は、相続が発生した時に、相続財産と贈与財産を合算して相続税を課すものです。

この制度を選択できるのは、60歳以上の父母や祖父母等から18歳以上の人が贈与を受ける場合で、贈与者1人ごとに2,500万円までが非課税となります。

※もし2,500万円を超えてしまった場合、20%の贈与税がかかりますが、これを支払った場合には、支払った額が相続税額から控除されます。

おわりに

今回のコラムでは、死亡保険金にまつわる税金について解説してきました。

死亡保険金は、その時その時の状況に応じて、相続税、所得税、贈与税がかかります。

これら3つの税金のうち、一番課税額が大きくなるのは贈与税になるのは、ここまで読んでいただいた方には一目瞭然だと思います。

死亡保障のついた保険を契約する場合には、「節税」といった点も視野に入れて検討した方が良いでしょう。

今回のコラムでは解説することができなかった税金の優遇制度などもあるため、ご自身の状況に合わせて契約をお考えください。どの制度が最適か分からない方は、税理士等の専門家に相談してみましょう。

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