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「相続」戸籍謄本(抄本)とは?必要な場面や取得方法、取得場所を解説

2024年2月2日

 

 

今回のコラムでは、戸籍謄本とは何か、戸籍謄本が必要となる場面はどういった時か、取得するにはどうしたらいいかなど、読者の皆様が気になるポイントを中心に解説していきます。

戸籍謄本とはなにか

Ⅰ 戸籍謄本とは簡単に説明するとどういうもの?

戸籍は、夫婦と結婚していない子供で構成されます。
戸籍謄本は、このような戸籍に記載されている家族構成の身分について証明するものです。

例えば、夫婦と結婚していない子供が3人の場合は、その5人全員の身分を証明するものが戸籍謄本になります。

 

図1

 

Ⅱ 戸籍抄本や戸籍全部事項証明書との違いは?

戸籍謄本と似ているものとして、戸籍抄本や戸籍全部事項証明書があります。

まず、戸籍抄本とは、戸籍に記載されている人の中から、一部の人の身分について証明するものです。例えば図1では、子である Sakuraはな とその両親についてのみ証明したい場合などに戸籍抄本を利用します。

なお、戸籍謄本と戸籍抄本で証明される内容に違いはなく、証明される範囲だけが変わることになります。

また、戸籍全部事項証明書とは実質的には電子化された戸籍謄本です。
実務では戸籍全部事項証明書も戸籍謄本と呼ぶことがあります。

本籍 氏名 東京都千代田区大手町◯◯丁目 Sakura太郎
戸籍事項 戸籍改製 改製日:令和◯年◯月◯日 改製事由:・・・・・・
戸籍に記載されている者 名:太郎 生年月日:平成◯年◯月◯日
父:Sakura 三郎
母:Sakura 花子
続柄:次男
身分事項 出生 出生日:平成◯年◯月◯日
出生地:東京都千代田区
届出日:平成◯年◯月◯日
届出人:父
婚姻 婚姻日:令和◯年◯月◯日
配偶者氏名:田中 なな
従前戸籍:東京都港区◯町・・・
・ ・ ・
(戸籍謄本の記載事項のイメージ)

相続の手続に必要な戸籍謄本

戸籍謄本にはいくつか種類がありますが、ここでは相続の手続に必要な戸籍謄本について解説していきます。

相続で戸籍謄本が必要になる場合はいくつかありますが、代表的な場面は相続放棄や相続の限定承認をする場合、亡くなった方の預貯金の払い戻しを金融機関でする場合不動産の相続登記や相続税の申告をする場合です。

このような相続手続で必要になる戸籍謄本は、基本的には次の2つです。

① 被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等(除籍謄本・改正原戸籍謄本)
② 相続人全員の現在の戸籍謄本

まず、相続の手続で必ず必要になるのが①の「被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等」です。これには後ほどご説明する除籍謄本や改正原戸籍謄本も含まれます。

被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本には、誰が親でいつ生まれたのか、兄弟はいるのか、結婚相手は誰か、子供はいるか、いつ亡くなったのかという被相続人に関係するすべての身分についての事項が記載されています。

除籍謄本とは、戸籍に誰も入っていないことを証明したものです。最初に解説しましたが、戸籍は夫婦と結婚していない子供で構成されます。結婚や死亡した人は戸籍から除れるため、最終的に戸籍には誰もいなくなります。戸籍に誰もいなくなったことを証明したものが除籍謄本になります。

また、戸籍は戸籍に関する法律が変わると、新しい様式の戸籍に作り変えられることがあります。その際に法律が変わる前の古い戸籍は除籍されたことになり、改正原戸籍謄本と呼ばれます。

最新の戸籍謄本では、新しく作り替えられる前の戸籍情報の一部が記載されないことがあります。そのため、過去の身分を見たい場合は除籍謄本や改正原戸籍謄本を見る必要があります。

次に、②の相続人全員の現在の戸籍謄本ですが、これは相続人が今も生きていて、故人の財産を相続することができることを確認するために利用します。

今現在、生きていることがわかればよいため、故人の戸籍謄本のように出生時の記録などは必要ありません。

※相続人が亡くなっていて代襲相続が起こる場合は、③被代襲者(子)の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本や④代襲相続人(子の子)全員の戸籍謄本が必要になります。また、兄弟姉妹が相続人になる場合は、故人の両親それぞれの生まれてから死亡までの戸籍謄本が必要になることに注意が必要です。

戸籍謄本はどこで手に入れることができる?

それでは、戸籍謄本はどこで手に入れることができるのか、費用はいくらかかるのかについてみていきましょう。

Ⅰ 戸籍謄本の入手方法

戸籍謄本を手に入れるためには、本籍のある市区町村の役所に請求する必要があります。必ずしも役所に直接行く必要はなく、郵送でも取り寄せることが可能です。

また、被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を手に入れる場合で、被相続人の本籍地が変わっている場合は、前の本籍地の役場で戸籍謄本を請求する必要があることに注意が必要です。

なお、法律が変わり、令和6年3月からは本籍地以外のどの役所でも戸籍謄本を取得することができるようになります。

Ⅱ 戸籍謄本を請求する時に必要になるもの

まず、市区町村の役所に直接行き、戸籍謄本を請求する場合に必要となるものについて見ていきましょう。主要なものは次の通りです。

① 戸籍謄抄本等交付申請書
② 印鑑(シャチハタは不可)
③ 本人確認書類(マイナンバーカードやパスポート、運転免許証等)

 


(戸籍謄抄本等交付申請書のイメージ:東京都千代田区ホームページ
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/26766/seikyusho-sozoku_1.pdf)より抜粋)

 

なお、本人や、妻といった同じ戸籍の人、直系尊属(父母や祖父母)、直系卑属(子や孫など)以外の代理人が請求する場合には委任状や代理人の本人確認書類も必要になります。

委任状の形式は基本的に決められていませんが、市区町村ごとにホームページで様式を載せている場合もあります。

 


(委任状のイメージ:東京都千代田区のホームページ
https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/26766/ininjo_1.pdf)より抜粋)

 

次に、郵送で請求する場合に必要となる主要なものは次の通りです。

① 戸籍謄抄本等交付申請書
② 本人確認書類(マイナンバーカードやパスポート、運転免許証等)の写し
③ 手数料分の定額小為替
④ 返信用の封筒・切手

郵送の場合も、代理人が請求する場合には委任状や代理人の本人確認書類も必要になります。<

Ⅲ 戸籍謄本を手に入れるために必要になる費用

戸籍謄本等を役所から発行してもらうためには、次のように発行手数料が必要になります。

戸籍謄本 450円
除籍謄本 750円
改正原戸籍謄本 750円

戸籍謄本等を発行してもらうために必要な発行手数料は、全国共通です。しかし、各自治体ごとに条例で定めることができることになっているため、事前に請求をしようと思っている市区町村に確認をしましょう。

おわりに

今回のコラムでは、相続が発生したときに必要になる戸籍謄本の取得方法、取得場所を解説してきました。

従来は戸籍謄本を手に入れようとした場合に、本籍のある市区町村の役所に請求する必要がありました。

しかし法律が変わり、令和6年3月からは本籍地以外のどの役所でも一定の範囲の戸籍謄本については、取得することができるようになります。この改正は重要な変更ですので、必ず覚えておきましょう。

確かに、急に戸籍謄本が必要になった場合に焦る必要はなくなりましたが、事前準備は必要です。自分の両親などの法定相続人が誰でどこに住んでいるかといったことは事前に把握しておくようにしましょう。

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