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空き家を放置してはいけない理由。相続した空き家の管理義務とリスクを解説

2024年2月21日

 

 

親元からすでに離れて生活している場合でも、親が亡くなって所有していた家を相続することもあります。
例えば、自分は東京都心にある会社近くにマンションを購入して住んでいるが、実家は千葉県南部にあるような場合、わざわざ実家に引っ越しして東京都心まで通勤しようとは考えにくいと思います。そのため、実家を相続しても誰も住まなければ空き家として放置されてしまいます。

そこで今回は、相続した空き家を放置するリスクや相続した空き家の活用法などについて解説します。

■ここ数年、空き家が増えている

先ほど、相続しても誰も住まなければ空き家になるという解説をしましたが、空き家の数は年々増加しています。
「平成30年住宅・土地統計調査・特別集計」(総務省統計局)で全国の空き家の数をまとめていますので紹介します。
全国の空き家の数は848万9,000戸で過去最多となっており、全国の住宅の13.6%を占めています。この数字は、2008年の空き家の数が757万戸に対して、その後10年間で約100万戸空き家が増えていることになります。
空き家は、少子高齢化や地方から都市部への人口の一極集中などにより増加し続けています。そして、空き家を放置することで様々な問題も発生しています。

■空き家を放置すると様々な問題が起きる

空き家を放置すると次のような問題が発生します。

①空き家の老朽化による倒壊

日本の家屋は木造が多いですが、空き家を放置して老朽化すると、「屋根の瓦が落ちて歩いている人がケガをする」「台風で空き家の外壁が崩れて、隣りの家の車庫においてある車が押しつぶされた」などの問題も起こりえます。

②放火される可能性がある

空き家は、枯れ草、ゴミが家の周りにおいてあったり、ドアを施錠していないと家の中に簡単に入ることができるので、放火される可能性もあります。

③不審者が侵入することもある

空き家のまま放置すると、不審者がドアの鍵を壊して侵入し、寝泊まりの場所にされることもあります。

このように、空き家を放置すると様々な問題があり、また近年、空き家が社会問題化していることから、2023年12月13日から改正空き家対策特別措置法が施行されました。
2015年に空き家対策特別措置法が施行されましたが、この法律は空き家の情報収集をするために立ち入り調査を行う権限を自治体に認めたり、倒壊の可能性がある「特定空き家」には撤去や修繕を所有者に命じたり、もし応じない場合は行政代執行を可能にするというものです。

なお、改正空き家対策特別措置法では、次の4つが改正ポイントになります。

① 重点地域を定めて空き家の活用を拡大する

街の中心市街地などを「空き家等活用促進区域」にすることができるようになり、用途変更や建て替え等を促進することが可能になりました。具体的には、「空き家等活用促進区域」に指定されると、建築基準法等で規制があった空き家の建て替えや用途変更などが可能になります。

②NPO法人、社団法人などを「空き家等管理活用支援法人」に指定することが可能になった

空き家に対して専門知識が少ない市町村もありますが、今回の改正では空き家の活用などの実務知識があるNPO法人、社団法人などを「空き家等管理活用支援法人」に指定することが可能になりました。

③管理不全建物管理制度の活用が可能になった

倒壊や衛生的な危険性が高い状態の空き家(特定空き家)の前段階の管理不全建物が新設されました。管理不全建物は、窓や屋根、壁の一部が壊れていたり、雑草が生い茂ったりしている状態をいいます。
管理不全建物が新設されたことで、市町村長は、「特定空き家」になるおそれのある「管理不全空き家」の所有者に対して、管理指針に即した措置を「指導」できます。また、指導しても改善しない場合は「勧告」が可能となります。勧告を受けると、当該空き家の固定資産税などの住宅用地特例が解除され、所有者は空き家に関する税金の軽減が受けられなくなります。

④緊急時の特定空き家の取り壊しが可能になった

今回の改正では、緊急時に取り壊す必要がある特定空き家に対して、市町村長の命令などの手続きを省略した緊急時の代執行が可能になりました。なお、空き家の解体費用は、所有者不明の略式代執行や緊急時の代執行でも、国税滞納処分の例により所有者の財産から強制的に費用を徴収することが可能になりました。

■空き家を相続した場合の活用法は?

空き家を放置すると様々な問題があること、改正空き家対策特別措置法によって空き家を放置することが厳しくなることについて解説してきましたが、空き家を相続した場合どのように活用すれば良いでしょうか。
具体的な活用法について解説する前に、空き家を相続した場合にどのような費用が発生するかを解説します。
まず、固定資産税と空き家が市街化区域にある場合は都市計画税がかかります。税率は、固定資産税評価額に対して、固定資産税が1.4%(標準課税)、都市計画税が0.3%(制限税率)となります。なお税率は市町村によって異なりますので、市町村のHPなどで確認してみてください。
さらに、実家に行くための往復交通費、家のメンテナンス費、水道、電気、ガスなどの公共料金、火災保険料、地震保険料などが発生します。 それでは、具体的な活用法について解説していきます。

①空き家の売却

先ほど、空き家を所有していると様々な費用が発生することについて解説しましたが、家も老朽化して、今後住む予定がない場合は売却するのが良いでしょう。
ただ、築年数が古いと、水回りの問題や新耐震基準を満たしていないなどの理由で買い手がなかなか見つからないこともあります。そうなると、費用は発生してしまいますがリフォームをするか、売却価格をできる限り下げるなどの方法があります。
また、空き家バンク制度がある市町村もあるので調べてみると良いでしょう。

②空き家を貸し出す

空き家を賃貸する場合は、借主に貸す前のリフォーム費用、定期的な住居のメンテナンス、借主からの苦情対応、さらに、空き家を管理委託する場合は管理費などが発生しますが、定期的な賃貸収入を得るメリットもあります。
なお、空き家を賃貸する場合は、賃貸管理業務が発生します。賃貸借契約を結び、家賃の徴収などもしないといけません。初めてですとなかなか大変ですので、不動産会社に依頼するのが良いでしょう。

③寄付する

近年、空き家を認定NPO法人や慈善団体などに寄付するケースも少しずつ増えてきています。これらの団体に空き家を寄付すれば、相続した空き家が地域のギャラリーや古民家ホテルなどになり、地域活性化にも役立つというメリットもあります。また、一定の要件はありますが、認定NPO法人や慈善団体など特定の公益法人に寄付した場合は相続税が非課税になる場合もあります。
ただ、寄付する場合の相続税対策は複雑ですので、寄付を検討する時に専門家に相談してみると良いでしょう。

④空き家を取り壊す

先ほど、空き家を放置することは様々な問題が発生すると解説しましたが、空き家を取り壊して更地にする方法もあります。老朽化した空き家が建っているよりも更地にした方が売却しやすいというメリットがあります。ただ、固定資産税の小規模宅地等の特例が適用されなくなるので、更地にすると空き家がある時よりも固定資産税が最大で6倍になるといわれています。 そのため、更地にすることを検討する場合は土地の売却の目途を付けてから空き家を取り壊すことをおすすめします。

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が自宅として使っていた宅地などである特定居住用宅地等の場合は、その宅地などを相続または遺贈によって財産を取得した親族は、一定の要件を満たせば、その宅地などのうち330平方メートルまでの部分について評価額を80%下げることができます。

■まとめ

空き家を放置した場合の様々な問題や空き家を相続した場合の活用法などについて解説してきました。相続した空き家を自分自身で対応することは難易度が高いということがご理解いただけたかと思います。
相続した空き家の対応でお困りの際は、司法書士など専門家に相談することをおすすめします。

ご相談お待ちしております。ご相談ご希望の方は、電話やメールフォームなどからご連絡ください。

《参考文献》


・『空き家にしないために‼ 戸建てのオーナーが知っておきたい 家のルールと税金』(税務研究会出版局)
・「平成30年住宅・土地統計調査・特別集計」(総務省統計局HP)
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tokubetsu.html
・「改正空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)」(総務省HP)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html

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