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【相続不動産】農地を生前贈与や相続した時は届出が必要!

2024年3月1日

 

 

建物が立っている土地である宅地とは異なり、畑などの農地はその売買が難しいという話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?

農地は国が農業を保護するために法律によって厳しく制限されていて、自由に売ったり買ったりすることができません。

それでは、農地を生前贈与や相続するような場合はどうでしょうか。一般的な売買と同じように厳しい制限があるのでしょうか。この点について気になる方も多いと思います。

今回のコラムでは、農地を生前贈与や相続した場合の手続について解説していきます。

一 農地を相続したいけど、農業委員会の許可は必要?

日本の地方自治体には「農業委員会」という組織があります。これは日常生活ではあまり聞き馴染みのない言葉ではないでしょうか。

農業委員会は、農地がどのように利用されているかといった農地に関する事務的な管理を行なっている行政委員会で、農地を売買するときは、農業委員会の許可が必要です。

農地を相続したした場合、このような一般的な売買と異なり、農業委員会の許可は必要がないケースがほとんどであると言われています。

しかし、農地を相続した場合、相続人はそのことを農業委員会に届け出る必要があります。

これは、相続などで農地の権利を取得した人が誰か分からないと、農地を適正で効率的に利用することができないだけでなく、農業委員会が農地の利用方法といった農地に関する事務的な管理を行うことができなくなってしまうためです。

二 農地を相続した時の手続は?農業委員会への届出はいつ行う?

Step1 農地の登記名義を故人(亡くなった人)から相続人に変更する。
Step2 農業委員会へ届出を行う

Ⅰ Step1

まず、農地を相続した際に行うことは、農地の登記名義を故人から相続人に変更することです。このような相続登記は法務局で行うことができます。

※遺言書や遺産分割協議書といった、農地を相続する人が分かる書類がない場合は、相続登記をすることができません。遺産分割を行なっている場合は、まず遺産分割協議を成立させましょう。

Ⅱ Step2

法務局で相続した農地についての相続登記を終えたら次に行うのは農業委員会への届出です。農業委員会への届出は、農地がある市町村役場で行うことができます。

なお、農地を相続した相続人は、農地を手に入れたことを知った日から10ヶ月以内に農業委員会に届け出をする義務があります。

この届出をしない場合、10万円以下の過料(お金)をペナルティーとして払う必要があります。

届出の期限を考えると、なるべく早めにStep1の相続登記を行う必要がありますね。

それでは、遺産分割協議が長引き、10ヶ月以上かかる場合はどうすれば良いのでしょうか。

遺産分割協議が10ヶ月以内にまとまらない場合は、一度、相続人全員で農業委員会へ届出を行う必要があります。

このことは必ず相続人間で共有しておきたいですね。

三 農業委員会への届出をする際に必要なもの

農業委員会に届出を行う場合、必要になるものは主に次の2つです。

① 届出書
② 相続をしたことが確認できる書類

まず、届出書ですが、これは地方自治体のホームページからダウンロードすることができます。例えば、練馬区の農地を相続した場合は、次のような届出書になります。

 

(練馬区のホームページ(https://www.city.nerima.tokyo.jp/dl/sangyo/jigyo/nochitodokede.html)より抜粋)

次に、相続を確認することができる書類は、遺産分割協議書や登記事項証明書といったもので大丈夫です。なお、農地がある場所に住んでいない人が届出をする場合は、本籍を記載した住民票が必要になる場合があります。詳細は各自治体のホームページで確認するようにしましょう。

四 生前贈与の場合の手続は相続とは違うって本当?

自分の財産を後継者に引き継がせる方法は相続以外にも生前贈与などがあります。

それでは、農地を生前贈与する場合も相続の場合と一緒でしょうか?

農地の生前贈与は相続よりもメリットがある場合もあるため、気になる方も多いと思います。

そもそも生前贈与とは、自分が生きている間に土地といった財産を他人にあげることをいいます。自分が亡くなることによって発生する相続とはこの点が大きく違いますね。

生前贈与で農地を他人にあげる場合は、あげる人(贈与者)と貰う人(受贈者)で合意をする必要があます。

また、生前贈与を行う場合は、農業委員会か知事の許可が必要になり、相続よりもハードルが高くなっています。

生前贈与な場合には届出といった簡易的な手続だけでなく、農業委員会と知事の許可が要求されることは必ず覚えておきたいですね。

五 なぜ手続が大変なのに農地を生前贈与する人が多いの?

農地を生前贈与する場合は、相続と比べて手続が大変です。

しかし、農地を生前贈与する場合は、税金の特例があるため、相続と比べて手続が大変でもそれ以上のメリットがある場合も多いです。

生前贈与をする際の税金の特例を使うと、まず贈与税の支払いが猶予され、贈与者が亡くなった場合には贈与税が免除されます。

広大な農地を持っている農家の方にとってはとても魅力的な制度といえます。なお、この特例を使うためには、農地を贈与する人と贈与を受ける人に一定の要件があります。具体的には次の通りです。

 

 

六 農地を生前贈与するために必要な手続は?

それでは、農地を生前贈与するために必要な具体的な手続について解説していきます。

農地を生前贈与するには次の5つのステップがあります。

Step1 生前贈与をすべきかについて検討する
Step2 農業委員会あるいは知事に農地を贈与するための許可申請をする
Step3 農地贈与契約書を作成する
Step4 農地の贈与登記を行う
Step5 特例のために贈与税の申告等を行う。

Ⅰ Step1

まずすべきは、生前贈与をすべきかどうかの検討です。

先ほどご説明したように、生前贈与をする際に税金の優遇を受けるためには、贈与をするひとや贈与を受ける人の要件があり、自分の置かれている立場に基づいて生前贈与をするか決める必要があります。

このステップが一番のハードルであるため、司法書士や税理士といった専門家に相談するのも一案です。

Ⅱ Step2

生前贈与を行うことを決めた後は農業委員会あるいは知事に、農地を贈与するための許可申請を行いましょう。

許可を受けるためには、農地をあげる人と貰う人が連署して必要書類を農業委員会か知事に提出します。

生前贈与の許可がされると、許可書をもらうことができます。

なお、申請に必要な書類は許可申請書と添付書類の2種類がありますが、それぞれの自治体によって書類の内容や形式が異なるため、各地域の市役所のホームページ等で確認するか、直接農業委員会に問い合わせましょう。

Ⅲ Step3

そして、農地を生前贈与するためには「贈与契約書」を作成する必要があります。

贈与契約書は、誰が、何を、いつ贈与したのかといったことを記載することで、農地をあげた人と貰う人がお互いに同意の上で贈与契約を行なったことを証明します。

贈与契約を確実にするためには、贈与契約書を作成後に、公証役場で公正証書としておくことをおすすめします。

Ⅳ Step4

4つ目のステップは、農地の贈与登記です。

農地を贈与したことで、農地の所有者が変わることとなりますが、その際に農地の名義変更を行う必要があります。

農地の名義を変更するためには法務局で贈与登記が必要になります。

この手続では、Step2で手に入れた許可書が必要になるため、必ずあらかじめ許可申請をするようにしましょう。

Ⅴ Step5

最後のステップは、贈与税の申告等を行うことです。

贈与税の特例を受けた場合でも、贈与によって農地を手に入れた人は申告が必要になります。

贈与税の特例を受けるには、申告期限(贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日)までに税務署に必要書類を提出します。

七 おわりに

今回のコラムでは、農地を生前贈与や相続した際の手続について、両者を比較しながら解説しました。

農地を貰った場合には、農業委員会への届出や許可が必要になります。

特に生前贈与の場合は手続が複雑で、ご自身では難しい場面も多々あると思います。

確実に生前贈与で農地を後継者に譲り渡すには、専門家に相談すると確実です。

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