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遺言書の保管方法はどこがいい?自宅や保管制度のメリット・デメリットについて解説

2024年3月5日

 

 

1遺言書の種類と特徴について

遺言書には法律で定められたいくつかの種類がありますが、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つが一般的なものです。

①自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、まさに自筆で作成した遺言書になります。
証書のすべての文、日付、氏名を自書したうえで、印鑑を押して作成します。なお、相続財産の目録を添付する場合には、その部分はコピーでも問題ありませんが、コピーした書面に署名と捺印が必要となります。
自筆で作成するため費用がかかりませんが、記載方法など方式の不備などにより無効となってしまうおそれもあります。

②公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場において作成する遺言書になります。2名以上の証人の立会いのもと、遺言者が公証人の前で口授し、公証人が文章にまとめて作成します。遺言書の原本は公証役場に保管され、家庭裁判所の検認手続きは不要です。
公証人が作成するため、方式の不備で無効になることや、破棄・変造のおそれもありません。

③秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の存在と内容を秘密にできる遺言書になります。遺言者がその証書に署名、捺印をし、その証書に封をしたうえで、証書に用いた印章で封印します。そして、それをもって公証役場においてその存在を証明してもらいます。
公証役場の手続きがあるものの、公証人は遺言書の内容を確認しないため、方式の不備により無効となってしまうおそれがあります。また、作成した証書は公証役場で保管されるわけではないため、作成後は自身で保管する必要があります。

ワンポイント:家庭裁判所の検認手続き
遺言者が死亡したら、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、直ちに家庭裁判所へ提出して検認を受けなければなりません。
検認を受ける必要がある遺言書は、「公正証書および法務局で保管された自筆証書遺言を除くすべての遺言書」です。
保管者または相続人は、相続開始地(遺言者の住所地)の家庭裁判所に申し立てをします。申立後、相続人立会いのもと遺言書を開封し、遺言の方式等を調査し、検認調書を作成します。 手続き終了後は、申立人に対して検認済証明書を付した遺言書を返還し、検認に立ち会わなかった相続人者利害関係人などにその旨を通知します。
検認手続き自体は、遺言の有効無効を判断するものではなく、あくまで証拠保全の効果が生じるだけになります。

2遺言書の保管方法について

公正証書遺言に関しては、原本が公証役場に保管されるため、保管方法を気にする必要はないでしょう。公正証書遺言が存在することだけ相続人に伝えておけば問題ありません。
公正証書遺言以外の自筆証書遺言や秘密証書遺言については、特に保管場所について決まりがないため、遺言書作成者自身でどのように保管するかを考える必要があります。

①自宅

自宅で保管する場合、費用が一切かからない点が大きなメリットと言えます。しかし、自宅の分かりやすいところに保管してしまうと、遺言書作成者の知らないうちに、相続人によって破棄や内容を改ざんされるおそれがないとも言い切れません。なるべく、鍵付きの耐火金庫のような「簡単に開けられない場所」に保管するとよいでしょう。ただし、あまりに分かりづらい場所にしてしまうと、そもそも遺言書が誰にも見つからず、結局効果が発揮されなかったということにもなりかねません。自宅という身近な場所であるがゆえに、その保管方法は意外と難しいかもしれません。

②銀行などの貸金庫

銀行などの貸金庫であれば、生前であれば第三者から守ることができ、死後に預貯金の解約と併せて相続人が貸金庫の中を確認することになるため、遺言書の保管場所として最適です。貸金庫には利用料がかかるため、確認が必要です。利用料は銀行や貸金庫のサイズによって異なりますが、年間1万円から4万円が相場のようです。
自宅での保管が不安な場合は、銀行の貸金庫での保管も候補の一つと言えます。

③専門家などの第三者に預ける

司法書士や行政書士といった専門家に相談しながら遺言書を作成した場合、保管場所についても相談してみましょう。取扱業務の一つとして遺言書を保管してくれる場合もあります。保管料がかかる可能性が高いですが、遺言書の作成段階から専門家に相談しておけば、遺言書の有効性や相続発生後の遺言書の実現に関しての心配はなくなるでしょう。

④自筆証書遺言を法務局で保管する

令和2年7月10日より、法務局による自筆証書遺言保管制度が開始されました。この制度を利用することで、銀行の貸金庫などよりも安価で保管することができるほか、相続人への通知制度もあるため、破棄や改ざん、発見されないなどのおそれがなくなります。くわえて、家庭裁判所の検認手続きを省略することができる点も大きなメリットになるでしょう。

3法務局の遺言書保管制度のメリット・デメリット

ここでは法務局の遺言書保管制度について、メリット・デメリットを紹介します。

<遺言書保管制度のメリット>

①法務局が保管するので紛失等のおそれがない

遺言書の原本と画像データは、法務局において長期間保管されます(原本:遺言者死亡後50年、画像データ:遺言者死亡後150年)。そのため、書いた本人が紛失してしまったり、発見した第三者に不正に破棄、改ざんされたりするおそれがなくなります。自筆証書遺言を書いたのはいいが、適切に保管できるかわからない、といった不安を解消できます。

②家庭裁判所の検認手続きが不要となる

自筆証書遺言の場合、相続開始後、遺言書の保管者又は発見者は、直ちに家庭裁判所へ遺言書を提出し、検認手続きを受けなければなりません。しかし、法務局で保管された自筆証書遺言に関しては、この検認手続きが不要となります。
自筆証書遺言のデメリットの一つが、法務局の保管制度により解消できることになります。

③比較的安価で保管してもらえる

遺言書の保管申請手数料として、3,900円(収入印紙)がかかります。銀行の貸金庫や、公正証書遺言の作成費用と比較しても、非常に安い費用で保管してもらえるといえます。

④死亡時に通知してもらえる仕組みがある

通知には、「関係遺言書保管通知」と「指定者通知」という2種類の通知があります。 これらの通知の仕組みにより、作成した自筆証書遺言が忘れ去られてしまうことを防ぐことができます。

◆関係遺言書保管通知とは
相続発生後に、相続人のうちの誰かが遺言書保管所において遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けた場合に、その他の相続人全員に対して、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが通知されるという仕組みです。
相続発生を知る誰かが、法務局にて保管された遺言書を確認する手続きをした場合に、他の相続人にもお知らせが届き、結果的に全相続人が相続の発生を知ることができるようになります。
◆指定者通知とは
遺言者があらかじめこの通知を希望した場合、その通知対象とされた方(遺言者1名につき1人のみ)に対して、法務局側が遺言者の死亡の事実が確認できた時に「関係遺言書保管通知」とは関係なく、遺言書保管所に遺言書が保管されている旨のお知らせが通知されるという仕組み。
「関係遺言書保管通知」と違い、相続発生の確認をもって通知がされるので、この通知によって遺言書が法務局に保管されていることを知ることができます。

<遺言書保管制度のデメリット>

①この制度特有の様式にしたがって作成する必要がある

この制度を利用するには、自筆証書遺言の要件を満たすことに加えて、この制度特有の様式に沿って、遺言書を作成する必要があります。
サイズをA4にしなくてはいけない、決められた幅の余白をとらなければいけない、など、いくつかの様式を守る必要があるため、注意が必要です。

②必ず本人が法務局に行く必要がある

管轄の法務局(遺言者の住所地、本籍地、所有不動産の所在地)に予約を取り、遺言者本人が直接法務局に赴いて、保管申請をする必要があります。親族等が遺言者本人の代わりに、遺言書を持って行って申請することはできません。

③法務局はあくまで形式面のチェックしかせず、内容の確認はしてくれない

公正証書遺言における公証人のように、複数回打合せをすることはありません。完成した自筆証書遺言を持って行き、形式面(自筆で書いているか等)のチェックを行うのみでその日のうちに保管となります。財産の記載方法の不備や、財産の記載漏れ等はチェックされないため、結果的に無効な遺言書となってしまう可能性は十分に考えられます。

④登録した内容に変更が生じた場合は、届出をする必要がある

この制度を利用する際の申請書には、遺言者の住所・氏名はもちろん、受遺者、遺言執行者、死亡時通知対象者がいる場合には、その者の住所・氏名を申請書に記載します。
これらの者の住所や氏名に変更があった場合は、その旨を届け出る必要があります。

4まとめ

いかがでしょうか。今回は遺言書の保管方法を中心に解説しました。
公正証書遺言であれば、作成後の保管に関してはあまり大きな問題にはなりませんが、自筆証書遺言などの場合は保管方法についてしっかりと検討する必要があります。
自筆証書遺言の保管に関するデメリットに対しては、法務局の遺言書保管制度を利用することが大変有益であると言えるでしょう。しかし遺言書の保管制度が完璧であるというわけではありません。遺言書の作成について少しでも疑問や不安があるのであれば、専門家へ相談することをおすすめします。

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