役立つコンテンツ

役立つコンテンツ
HOME 役立つコンテンツ 司法書士による相続相談ガイド!メリットや注意点・費用を解説

司法書士による相続相談ガイド!メリットや注意点・費用を解説

被相続人が亡くなったので、相続の手続きを開始しなければいけないが、自分で手続きを進められないといった場合には、司法書士などの専門家に相続の相談をすることとなるでしょう。

そこで、司法書士に相談をすることで、どのようなメリットがあるのか、注意点や費用について知りたいといったご質問をいただくことがあります。

当記事では、司法書士に相続相談を検討されている方に役立つ情報について、詳しく解説をしていきます。

SAKURA司法書士

目次

  1. 司法書士に相続相談をするメリット
    1. (1)法的な専門知識によるサポート
    2. (2)手続きのスムーズな進行
    3. (3)相続手続きの負担軽減
    4. (4)トラブルの予防と解消
  2. 司法書士に依頼できる相続関連手続き
    1. (1)相続登記や名義変更
    2. (2)遺言書の作成と検認
    3. (3)遺産分割協議書の作成サポート
    4. (4)相続放棄や限定承認の申請支援
    5. (5)成年後見制度の利用相談
  3. 司法書士と他の専門家の違い
    1. (1)弁護士と司法書士の役割の違い
    2. (2)税理士と司法書士の役割の重複と分担
    3. (3)行政書士との協力体制について
  4. 司法書士の相続相談にかかる費用
    1. (1)基本的な料金体系
    2. (2)具体的な費用事例
    3. (3)費用が変動する要因
  5. 信頼できる司法書士の選び方
    1. (1)経験豊富な事務所を選ぶポイント
    2. (2)信頼性と実績を確認する
    3. (3)他の専門家とのネットワーク・連携の有無を確認
    4. (4)相談時の対応や相性
  6. 相続相談の流れと必要書類
    1. (1)相談の初期準備
    2. (2)具体的な相談の流れ
  7. トラブル防止のための相続対策
    1. (1)生前贈与や遺言書作成のメリット
    2. (2)家族信託の活用方法
    3. (3)相続税対策の基本と重要性
  8. 司法書士への依頼の注意点
    1. (1)相続争いがある場合の対応の制限
    2. (2)税務申告業務は税理士が担当
    3. (3)法的範囲外の業務は対応不可
  9. 相続に関するよくある質問と回答
    1. (1)相続手続きはどのくらい時間がかかる?
    2. (2)司法書士と弁護士・税理士の違いは?
    3. (3)相続登記を放置するとどうなる?
    4. (4)遺留分はどのように計算される?
  10. まとめ

司法書士に相続相談をするメリット

司法書士に相続相談をするメリットは多数あります。

司法書士は法律の専門家であることから、法的な観点からのアドバイスを受けられたり、手続きのサポートを受けられたりするというものがあります。

下記にて、具体的に解説をしていきます。

(1)法的な専門知識によるサポート

相続が発生した際には、被相続人の財産の中に借金などの債務があり、どう対応すれば良いのかわからないといった相談をいただくことがあります。

時折役場で「限定承認の手続きを利用すれば借金を相続せずに済む」というアドバイスをされることがありますが、これが100%正しいというわけではありません。

役場で働かれている公務員の方の中には、法律科目で公務員試験を受験された方もいるため、多少相続に関する知識があり、上記のようなアドバイスをすることがありますが、限定承認をすべきか否かについては、一度法律の専門家に相談をしておいた方が良いでしょう。

(2)手続きのスムーズな進行

相続に関連する手続きでは、さまざまな書類を収集した上で、法務局や役場に向かわなければならず、非常に煩雑なものとなっています。

司法書士に相談をすることによって、収集しなければいけない書類には何があるか、どこに請求することで収集をすることができるかなどを、教えてもらうことができるため、自身で調べるよりもスムーズに手続きを進めることが可能となります。

(3)相続手続きの負担軽減

上記でも触れましたが、相続手続きは書類の収集や法務局などの公的機関での手続きといったように、被相続人が亡くなった直後で忙しい時期に行わなければならないため、非常に負担が大きいものとなっています。

しかしながら、司法書士に依頼をすることによって、書類の収集や手続きの進行を代理してもらうことができるため、手続きを進める上での負担を軽減することが可能となっています。

また、相続の際には、相続財産の調査もしなければなりませんが、この手続きも非常に煩雑なものとなっており、負担が大きいものですが、財産調査についても司法書士に依頼をすることが可能となっております。

(4)トラブルの予防と解消

専門家である司法書士に依頼をすることによって、トラブルの予防や解消をすることができることがあります。

例えば遺産分割協議については、相続人全員で行わなければなりませんが、相続人の1人が行方しれずとなってしまっている場合があります。

このような場合に、司法書士に相続手続きの依頼をすることで、行方知れずとなっている相続人と連絡が取れる可能性があります。

また、相続人の中に不仲の兄弟がいるような場合であっても、司法書士を通して相続に関する連絡をとってもらうことも可能となっています。

このように相続手続きに関連するトラブルの予防や解消が可能となっています。


司法書士に依頼できる相続関連手続き

では、実際に司法書士に依頼することができる相続関連の手続きにはどのようなものがあるのかについて解説をしていきます。

司法書士は法律の専門家の中でも、特に登記手続きや書類作成の専門家であり、基本的にはこれらの業務を依頼することとなります。

(1)相続登記や名義変更

司法書士は登記を専門的に取り扱う法律専門家となっております。

登記自体は弁護士でも可能となっていますが、相続登記については相続人が複数人いる場合などには、非常に複雑なものとなってしまうため、司法書士でなければ対応が難しい場合があります。

登記は被相続人の名義のままにしていると、勝手に無関係の人に譲渡されてしまう危険があるため、しっかりと相続登記をすることで、相続を原因とする権利の変動が起こったことを公示しておく必要があります。

(2)遺言書の作成と検認

遺言書を作成する際には、しっかりと法律で定められた方式で作成をしなければ、遺言書の効力が生じないため、注意が必要となります。

形式不備が起きないように、専門家である司法書士に作成の依頼もすることが可能となっています。

遺言書には主に3つの種類があり、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

公正証書遺言と秘密証書遺言については、公証人という検察官や裁判官を退任、退官した法律の専門家が作成に立ち会うため、形式の不備が発生しにくくなっていますが、自筆証書遺言については、専門家の立ち会い無くして作成をすることができるため、注意が必要となります。

そこで司法書士に作成した自筆証書遺言について形式の不備がないかの確認、作成自体を依頼することが可能となっています。

また、自筆証書遺言は家庭裁判所にて検認の手続きを踏まなければなりません。検認を経ていなくても遺言書の効力は否定されませんが、過料を支払わなければならない可能性があります。

もっとも、被相続人の死亡後に多忙となっているため、なかなか検認手続きを行うことができないという場合もあるため、検認手続きを司法書士に依頼することも可能となっています。

(3)遺産分割協議書の作成サポート

被相続人が死亡し、遺言書に相続分の指定がない場合には、遺産分割協議を行うこととなります。

遺産分割協議の結果については、のちに言った、言ってないとトラブルの原因になってしまう可能性があるため、遺産分割協議書でまとめておくことを推奨しています。

遺産分割協議書の作成については、法的な義務はなく、作成していない場合でも遺産分割協議の結果に影響はありませんが、トラブルの防止には非常に有効なものとなっています。

フォーマットについてはネットで公開されていますが、複雑なものとなっているため、どうしても作成が難しい場合には、専門家に依頼することも可能となっています。

また、専門家が作成することによって、形式的な不備をなくすことができ、なおかつ第三者の目線で作成がされるため、協議の内容と違った書類が作成される恐れもありません。

(4)相続放棄や限定承認の申請支援

司法書士には、相続放棄や限定承認の申請支援を依頼することも可能となっています。

まず相続放棄をするか否かの判断の前に、被相続人の財産を調査する必要がありますが、この財産調査の段階から司法書士に依頼することが可能となっています。

そして、被相続人の財産状況から、相続放棄や限定承認などいずれの手続きを利用すべきかについてのアドバイスを受けることも可能となっています。

相続放棄もしくは限定承認をすることとなった場合には、書類の収集や作成など非常に煩雑な手続きを経なければなりません。

そのため、財産調査から相続放棄等の相談に引き続き、手続きを代行してもらうことも可能となっています。

(5)成年後見制度の利用相談

被相続人が死亡する前に、認知症などによって判断能力を喪失してしまうことがあります。

このような状況となった場合には、被相続人の保護のために成年後見制度の利用を推奨しています。

成年後見制度を利用すると、被相続人の代理人として成年後見人が選任され、被相続人の財産が減少するような不利な取引などについて、取消権を行使することが可能となっています。

親族の方が成年後見人となることも可能となっていますが、遺言書の偽造や財産の横領などが心配な場合には、司法書士などの専門家に成年後見人を依頼することも可能となっています。

また、成年後見制度を利用する際には、家庭裁判所にて手続きを行う必要がありますが、その際に収集しなければならない書類などがあるため、手続き面でのサポートを受けることも可能となっています。


司法書士と他の専門家の違い

司法書士の利用を検討されている方の中には、弁護士や行政書士といった、他の法律を専門的に取り扱っている士業との違いについて、疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

そこで、司法書士と士業との違いについて、詳しく解説をしていきます。

(1)弁護士と司法書士の役割の違い

弁護士と司法書士は取り扱っている分野は重複しますが、役割については大きく異なっています。

弁護士は書類作成や交渉などの司法書士も取り扱っている業務のほかに、訴訟代理人という弁護士にしか許可されていない訴訟手続きを取り扱うことが可能となっています。

他方で司法書士については、登記業務を専門的に取り扱っています。この登記業務は弁護士でも法律上は行うことが可能となっていますが、弁護士で登記業務まで専門的に取り扱っている方はほとんどいないため、不動産登記、商業登記、相続登記などに関しては、司法書士に依頼をするのが一般的となっています。

相続に関連する業務を取り扱っている弁護士であっても、相続登記については対応ができないため、司法書士と連携しているという法律事務所も少なくありません。

(2)税理士と司法書士の役割の重複と分担

税理士と司法書士は取り扱っている専門分野については、全くの別物となっていますが、相続の場面に関しては、一部重複している役割もあります。

それが相続人の調査と遺言書の作成となっています。

この2つはそれぞれの専門分野である登記と税に関して、密接に関連する場面があるため、他分野の士業であるにもかかわらず、重複している役割となっています。

司法書士には相続登記については依頼することが可能となっていますが、不動産を相続したことにより発生する相続税については相談をすることが不可能となっています。

そこで、相続をした不動産の価額に応じて、申告しなければいけない相続税の計算などを税理士に依頼することとなります。

そのため、相続が発生した場合には、司法書士だけではなく、税理士に相談をしなければならない場面がある点に、注意が必要となります。

(3)行政書士との協力体制について

司法書士と行政書士についても、手続き面で異なる専門性があります。

司法書士については、上述したように登記業務を主に取り扱うこととなっていますが、行政書士については、許認可申請や書面の作成などのサポートを取り扱っています。

司法書士と行政書士が連携することによって、司法書士が1人で書類作成や許認可申請を行うよりも、行政書士と分担して業務を行うことで、よりスムーズにクライアントのサポートをすることが可能となっています。

相続の場面においては、行政書士は名前にある通り官公庁などの行政機関での手続きを専門的に取り扱い、司法書士は登記や相続人間の交渉を取り扱い、よりスムーズに手続きを進めることが可能となります。


司法書士の相続相談にかかる費用

司法書士への依頼を検討されている方の中には、どれくらいの費用がかかるのかが気になっている方もいらっしゃると思います。

費用相場をあらかじめ把握しておくことで、しっかりと対応できるようにしておくと良いでしょう。

(1)基本的な料金体系

相続関連の依頼に関しては、どの段階から何を依頼するかによって、費用が変動します。

基本的な費用の相場については、5〜15万円程度となっており、依頼する範囲や不動産の評価額、相続人の人数によって変動することとなります。

依頼する範囲とは、単に相続登記だけを依頼するのか、相続人や遺産の調査から遺産分割協議書の作成、相続まで相続手続きのほぼ全てを依頼するのか、ということを指します。

それぞれの手続きでどれくらいの費用がかかるのかについては、次に説明をいたします。

(2)具体的な費用事例

司法書士に相続手続きを依頼する際の費用事例は以下のとおりとなっています。

・相続登記 → 金5万円 〜 金15万円

・相続人調査(戸籍謄本などの収集) → 金2万円 〜 金3万円

・遺言の作成サポート → 金6万円 〜 金10万円

・相続放棄の申述書作成 → 金4万円 〜 金5万円

・遺産分割協議書の作成 → 金1万円 〜 金10万円

・預貯金の解約払い戻し → 金3万円 〜 金5万円(金融機関1つにつき)

(3)費用が変動する要因

上述しましたが、費用が変動する要因は、手続きの複雑さがどの程度であるかという点が挙げられます。

相続人が多ければ多いほど、その分申請しなければならない事項や、書面でまとめなければならないものが多くなるため、費用が増加する要因となります。

相続の際には、司法書士だけではなく、税理士にも依頼をしなければならない場面が出てくるため、少しでも費用を抑えたいという場合には、必要書類の収集など、自身でも対応できそうな部分については、司法書士に依頼せずに自身で行うことによって、報酬を節約することが可能となっています。


信頼できる司法書士の選び方

では、実際に司法書士に依頼をすることになった際に、どのように司法書士を選べば良いのかという点について気になっている方もいらっしゃると思います。

司法書士といっても、すべての司法書士分野に対応をしているわけではなく、特定の分野に集中しているという場合がほとんどとなっています。

そこで、信頼できる司法書士を選ぶ方法について詳しく解説をしていきます。

(1)経験豊富な事務所を選ぶポイント

経験豊富な司法書士や事務所に仕事を任せたいといった方もいらっしゃるかと思います。

そのような司法書士や事務所を選ぶ際には、司法書士のホームページが参考になるでしょう。

経験豊富という点では、単純に司法書士としての活動が長い方を選ぶというものも考えられますし、事務所全体で見る場合にはその事務所がいつ設立されたのかという点にも注目をすると良いでしょう。

(2)信頼性と実績を確認する

司法書士に依頼をする際には、自身が依頼したいと思っている分野について精通されている方を選ぶのも重要となります。

経験が豊富であっても、自身が依頼したい分野についてはほとんど手をつけたことがないといったこともあるため、当該分野について専門的に対応をしているか、信頼性と実績を確認する必要があります。

実績についてもホームページに記載をされていることが多くなっています。

どのような事例の手続きを解決したのかについて、軽く紹介をしている事務所も多くあるため、司法書士を選ぶ際の参考になることもあるでしょう。

また、一般の方に向けて、専門的に取り扱っている分野の法制度や手続きの流れを解説しているページを設けている事務所もおすすめすることができます。

(3)他の専門家とのネットワーク・連携の有無を確認

上述しましたが、特に相続手続きの際には司法書士だけではなく、税理士にも依頼をしなければならない場面があるという説明をしました。

また、司法書士だけでは対応が難しくなる場合には、訴訟も対応することができる弁護士に最終的に依頼をしなければならなくなることもあります。

そのため、他の専門家と連携ができているか、また、連携をしていない場合であっても、すぐに他の専門家に依頼者を繋ぐことができるネットワークがあるかどうかという点についても、司法書士を選ぶ際の重要な要素となります。

こちらについてもホームページに記載されていることがほとんどとなっています。

(4)相談時の対応や相性

ホームページを見ただけでは、自身の希望にマッチする司法書士かどうかは判断することができません。

実際に相談をしてみて、その際の対応がどのようなものであるか、相性を見極めることも重要となります。

司法書士を利用される方の中には、親身になって相談を聞いて対応してもらいたいという方もいらっしゃれば、淡々と依頼した業務をこなしてほしいといった方もいらっしゃいます。

この点については、実際に相談をしてみないとわからない点となっていますので、何件か候補を見つけて、ご相談されることをおすすめしています。


相続相談の流れと必要書類

司法書士に相続関連の相談をする場合には、どのような流れになるのかを把握しておくと、スムーズに手続きを進められることがあります。

また、相談の際に必要となる書類についても事前に把握しておくことで、相談から手続きの開始までがスムーズになるため、大変おすすめとなっています。

(1)相談の初期準備

相続に関連する相談をする際には、あらかじめ相続人や相続財産に関する資料を用意しておくと、スムーズに話し合いが進みます。

これらの資料は公的機関に発行を申請するものもあれば、預金通帳のコピーや遺言書のように簡単に準備することができるものもあります。

①必要な情報と書類の収集

相続の相談をする際に重要となる情報が相続人と相続財産についてです。

相続人に関連する書類としては被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本に加えて、相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

相続財産に関連する書類の中には、遺産目録、不動産の登記簿謄本、株式や投資信託の残高証明書、生命保険証書、被相続人の最新の確定申告のコピー、借入金の残高証明書などがあります。

相続する財産はプラスとなるものだけではなく、借金などの債務についても相続の対象となるため、債務を証明する書類についても忘れないように準備をしておくと良いでしょう。

②相談時によく聞かれる質問

相続関連の相談時によくいただく質問としては、仲の悪い兄弟や音信不通となっている兄弟が相続人にいる場合には、どのように対応すれば良いかというものがあります。

仲の悪い兄弟に関しては、しっかりと話し合いを重ねていく必要がありますが、双方が感情的になってしまう可能性が高くなっています。

そのため、司法書士が話し合いの場を設けることで、第三者の目線で冷静に協議を進めることも可能となります。

音信不通となっている相続人がいる場合であっても、司法書士が相続人調査の過程で現在の居所を確認することができる可能性があります。

最終的に発見することができなかった場合には、別途失踪宣告などの制度を用いて対応していくこととなります。

(2)具体的な相談の流れ

必要な書類等を収集し、実際に司法書士に相談する段階となって以降は、どのような流れとなっているのかについても解説をしていきます。

①初回相談の内容

初回相談の段階では、相続手続きをどこから依頼したいかの話し合いとなります。

相続人や相続財産の調査、遺産分割協議といったような初期段階から依頼をするのか、遺産分割協議等は終了しており、あとは相続財産の登記や申請作業のみを依頼するのかによって、相談内容が異なります。

初期段階から依頼をする場合には、必然的に司法書士と話し合う内容が多くなる可能性が高くなっています。

多くの司法書士事務所が初回相談につき、時間制限付きで相談料を無料としているところもあるため、なるべくスムーズに話し合いが進むように、伝えるべき事柄をまとめておくと良いでしょう。

②相続人調査と遺産分割協議の場合

相続人調査の場合には、戸籍などを調べることとなるため、相談後に契約を締結することで、すぐに司法書士が取り掛かることが可能となっております。

他方で遺産分割協議については、相続人全員で行う必要があるため、相続人全員が揃うか現場に赴くことのできない相続人からあらかじめ意思を確認しておく等の対応をしなければならないため、相談から多少時間がかかってしまう場合があります。

また、遺産分割協議で揉めてしまい、紛争に発展する場合には司法書士は法定代理人となることができないため、弁護士に依頼をすることとなります。

そのため、紛争の可能性がある場合には、相談の段階で司法書士から弁護士への相談を推奨されることもあります。

③相続登記や申請作業の場合

相続登記や申請作業の場合でも、相談後に契約を締結することで、司法書士が即時に必要書類の収集や公的機関での手続きを行うこととなります。

事前に自身で収集した書類を持ち込むことで、よりスムーズに手続きを進めることが可能となっています。


トラブル防止のための相続対策

被相続人が亡くなる前に、死後の相続人間のトラブルを防止するための対策をすることも可能となっています。

そして相続対策についても、司法書士に依頼をすることで、サポートをしてもらうことができます。

近年では終活をしていらっしゃる方も多いため、相続対策の依頼を多くいただくことがあります。

では、相続対策としてはどのようなものがあるのかについて、それぞれ解説をしていきます。

(1)生前贈与や遺言書作成のメリット

相続対策として代表的なものとして挙げられるのが、生前贈与や遺言書の作成です。

生前贈与は被相続人が存命中に、相続人等に財産を贈与するものとなっています。生前贈与の1番のメリットは相続税の対策になるという点でしょう。

贈与税は110万円の限度で基礎控除が認められているため、毎年110万円を相続人に各々分配することで、相続が発生した際の税金対策となり得ます。

また、生前に財産を承継することによって、相続の際のトラブルを避けることも可能となっています。さらに特定の人に財産を残すということもできるため、大変おすすめとなっています。

次に遺言書作成のメリットです。

遺言書では財産の中から、誰に何を相続させるかという意思を反映させることができ、こちらも相続でのトラブルを回避することが可能となっています。

また、遺言書によって相続人以外の方に財産を承継することも可能となっています。

そのほかにも遺言によって特定の相続人の排除や、生前に廃除していた場合には、その排除を取り消すことも可能となっています。

このように相続でのトラブルを防止するだけではなく、自身の意思を反映させやすいものとなっています。

(2)家族信託の活用方法

家族信託とは、認知症などで判断能力が低下した時に備えて、自身の財産を信頼できる家族等に託し、特定の目的のために管理、処分をさせることができる制度のことをいいます。

もっともこの制度を利用する場合には、誰が受託者となるかで揉めてしまう場合があるため、受託者の選択は慎重にならなければなりません。

家族信託と似た制度に任意後見というものがあります。

任意後見では身上監護権も認められているため、生活での介護をしてもらうことも可能となっています。

また、家族信託の場合には、認知症となる前から財産の管理等を任せるのに対して、任意後見では認知症を発症してから財産管理が始まるといった違いがあります。

(3)相続税対策の基本と重要性

生前贈与で少し触れましたが、相続税の対策をしておくことも非常に重要となっています。

生前贈与などを用いて少しずつ相続人に財産を譲渡しておくことによって、相続税を減らすことができ、相続人の負担を減らすことが可能となります。

生前贈与以外でも相続対策をすることが可能となっています。

例えば生命保険であれば「500万円×法定相続人の数」まで相続税が非課税となっています。生前贈与や生命保険を組み合わせることによって、納税資金にすることで相続税問題を解消することが可能となります。

また、更地や空き家については収益物件にすることによって節税対策となります。

賃貸アパートやマンションは、自宅や別荘よりも相続税評価額が下がるため、大変おすすめとなっています。

他にも墓地や仏壇などを生前に購入しておくことも相続税対策となります。これらの祭祀財産については、相続税の対象外となっています。

相続後に相続人がお墓を購入すると非課税の対象となりませんが、生前に購入したお墓であれば非課税財産となります。


司法書士への依頼の注意点

ここまで司法書士に依頼をすることができる、相続関連事項をご紹介してきましたが、司法書士には対応することができない業務もあるため、注意が必要となります。

冒頭でも少し触れましたが、内容によっては他の士業に依頼をしなければならない場面があります。

具体的にはどのようなものがあるのかについて、ご紹介をしていきます。

(1)相続争いがある場合の対応の制限

相続人の間で相続財産について争いがあるような場合や、相続財産につき第三者が権利を主張しているような場合には、訴訟へと発展する可能性が高いため、司法書士ではなく弁護士に依頼をしなければなりません。

認定司法書士であれば140万円までの事件であれば、簡易裁判所において訴訟代理人となることができますが、相続争いの場合には140万円の額を超えてしまっているケースが非常に多く、また複雑なケースとなっていることもほとんどであるため、訴訟リスクがあるような場合には、弁護士に依頼をするようにしておきましょう。

(2)税務申告業務は税理士が担当

司法書士は税務申告業務についても対応をすることができません。

特に相続争いがないような場合には、司法書士に依頼をすることで法的な手続きを終わらせることができますが、税務申告については対応範囲外となっているため、税理士に依頼をすることとなります。

(3)法的範囲外の業務は対応不可

司法書士が対応することのできる業務の範囲はあくまで、書面の作成や登記手続きがメインとなっています。

それ以外の業務については、対応することができないため、司法書士の方から他の士業への依頼をしなければならない旨をお伝えすることとなります。

司法書士事務所の中には、税理士や弁護士などの他の士業と連携をしている事務所もあるため、特に他の士業が関わる場面が多くなっている相続の相談をされる際には、連携体制についても確認しておくと良いでしょう。


相続に関するよくある質問と回答

最後に相続手続きに関してよくいただく質問をご紹介し、それぞれに回答をさせていただきます。

(1)相続手続きはどのくらい時間がかかる?

司法書士に相続手続きを依頼した場合には、書類の収集や登記申請などを含めて、おおむね1〜2ヶ月程度で完了します。

依頼される際に必要となる書類をいくつか収集しておけば、さらにその期間を短縮することも可能となっております。

もっとも、遺産分割協議で話し合いがなかなか進んでいない状況の場合には、さらに時間がかかることもあるため、注意が必要となります。

(2)司法書士と弁護士・税理士の違いは?

司法書士は登記を専門的に取り扱う士業となっています。

弁護士は法律実務全般について取り扱うことができ、訴訟での代理人も担当することが可能となっています。もっとも相続の場面においては、相続登記は司法書士に依頼をする必要があります。

税理士は税務に関する実務を取り扱う専門家であり、相続手続きを依頼する際には、最低限司法書士と税理士に依頼をする必要があります。

遺産分割協議などで相続争いが起きる可能性がある場合には、さらに弁護士に依頼をすることとなります。

(3)相続登記を放置するとどうなる?

相続登記を放置したままにしておくと、勝手に自身に登記を移してしまったり、登記を移した不動産を第三者に売却してしまったりする可能性があります。

そうなると訴訟関係が複雑になってしまう可能性があり、最悪の場合には敗訴判決を受けて、当該不動産の権利を失ってしまうという事態も考えられます。

そのため、不動産を相続した場合には、忘れずに司法書士に登記の依頼をしておきましょう。

(4)遺留分はどのように計算される?

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に認められている、最低限の割合の相続財産のことを指します。

配偶者子ども祖父母が遺留分を請求することができます。

被相続人が生前贈与や遺言などで相続人に財産を配分した結果、法定相続分を下回る財産しか取得することができなかった相続人を保護するための制度となっており、不足分を他の相続人に金銭で請求することが可能となっています。

遺留分の計算方法は、相続人が何人いるのか、誰が相続人となるのかで変わってきます。

・相続人が配偶者のみの場合

相続人が配偶者のみの場合には、2分の1が遺留分となるため、被相続財産の2分の1を下回る財産しか承継できなかった場合には、2分の1になるように、他の承継人に対して遺留分を請求することが可能となっています。

・相続人が配偶者と2人の子の場合

配偶者と子が2人の場合には、以下のようになります。

  配偶者 = 被相続人の財産 × 2分の1 × 2分の1                       

  子ども = 被相続人の財産 × 2分の1 × 2分の1 × 2分の1

子どもについては人数に応じて割合が変動します。3人の場合には、2分の1×2分の1×3分の1となります。

・配偶者と被相続人の直系尊属(父母や兄弟姉妹)の場合

  配偶者 = 被相続人の財産 × 3分の1

  父母 = 被相続人の財産 × 3分の1 × 2分の1 × 2分の1


まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続は誰にでも起こる法的な手続きとなっていますが、初めて相続する方にとっては慣れないことが非常に多くなっています。

また、専門家に依頼をせずに相続手続きを進めることによって、後になってトラブルへと発展してしまう可能性もあります。

そのため、相続が発生した際には、ひとまず専門家に相談をした方が良いでしょう。

SAKURA司法書士法人では、東京都内を中心に相続関連の法務を専門的に取り扱っています。

また、弁護士や税理士などの他の士業との連携体制も整っているため、スムーズに手続きを進めることが可能となっております。

現在相続でお困りの方は、SAKURA司法書士法人にぜひご相談にお越しください。

ご依頼からご契約までカンタン4ステップ

STEP1
無料相談のご予約
(事前予約制)
STEP2
無料相談
STEP3
お見積りのご提示
STEP4
ご契約