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相続で争いが発生したときの対策!事例と合わせて悲惨な末路を避ける方法を解説

もし相続争いが発生した場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。適切な対応を取らないと、最悪の場合には家族との絶縁状態になる場合があります。交渉が長期化すれば、裁判にまで発展する場合もあるでしょう。話がこじれて取り返しがつかなくなる前に、早めに対策を施すことをおすすめします。

この記事では、相続争いでよくある事例や相続争いを防ぐための予防策などについて、わかりやすく解説します。

1 相続争いとは?

相続争いとは、相続人同士で遺産の分け方について揉めることを指します。

・相続人同士で遺産の分配方法について揉めている

・相続人の1人が遺産を使い込んでいる

・遺留分を侵害する遺言書を無効にしたい

などが相続争いの代表例です。

遺言書がない場合、亡くなった方の財産をどのように分配するかは、相続人全員で話し合って決めることになります。民法に規定されている法定相続分に従って分配するのが基本ですが、さまざまな事情で法定相続分とは異なる分配を望む相続人もいます。例えば、「生前に多額の財産をもらっているのだから、その分、遺産相続でも考慮すべきだ」「10年以上も介護を続けてきたのだから、私が多めに遺産をもらうべきだ」など、その主張は千差万別です。

また、不動産を相続する場合には、売却益を相続人で分配するのか、相続人全員の共有名義にするのかなどで話がまとまらないケースも多いです。会社の事業承継などが絡む場合には、意見が対立する可能性も高まります。

さらに、遺産を相続する相続人は家族や親族です。過去の揉めごとを持ち出してくるなど、お互い感情的になりやすいのも話し合いがまとまりにくい理由の1つです。


2 相続争いでよくある事例とは

相続争いはさまざまなケースで発生しますが、よくあるケースは以下の6つです。

  •  ・不動産の相続でスムーズにいかずに揉めるケース
  •  ・相続割合が不平等で揉めるケース
  •  ・亡くなった人の介護・世話・同居などを理由に寄与分を主張するケース
  •  ・特定の相続人にのみ生前贈与がされていたケース
  •  ・遺言書の有効・無効で揉めるケース
  •  ・知らない相続人が登場して揉めるケース

各ケースの特徴を把握すれば、相続争いを予防する対策を取りやすくなるでしょう。ここでは、相続争いでよくある事例をご紹介します。

(1)不動産の相続でスムーズにいかずに揉めるケース

遺産の中に土地や建物などの不動産が含まれている場合、その不動産をどのように分けるかで揉める場合があります。不動産は、預貯金のように簡単に分配することができないのがその理由です。

不動産を相続する方法はいくつかあります。不動産を売却してその利益を法定相続分に従って分配するのが揉めにくいですが、それでも不動産の評価額で揉める場合があります。不動産会社や社会情勢によって不動産の価格は変動するからです。

また、不動産を相続しない代わりに預貯金を多めに相続する方法もありますが、いくら預貯金を相続させるかで揉めるケースが多いです。そもそも十分な預貯金がない場合には、相続人間の公平性を実現するのは難しいでしょう。

さらに、相続する不動産に特定の相続人が住んでいた場合には、その不動産を簡単に売却できない場合も多いでしょう。その場合、「不動産に住む人の相続分を減らすべきだ」と主張する相続人との間で揉めるケースも多くなります。

相続人全員の共有名義にする方法も考えられますが、誰が不動産を管理するのか、固定資産税は誰が支払うのかなどで揉めるかもしれません。そもそも、共有名義にすると「不動産の売却の際に共有者全員の同意が必要になる」「その後相続が発生すると権利関係が複雑になる」「小規模宅地等の特例などが使えない恐れがある」などのデメリットがあります。

(2)相続割合が不平等で揉めるケース

相続割合が不平等だと主張する相続人がいると、話し合いが長期化する可能性が高いです。法定相続分どおりに分配するのが原則ですが、実際には話し合いによって相続分を決めるケースがほとんどです。

たとえば、「長男である自分が多く遺産を相続すべきだ」などと主張してくるケースです。長男が全ての遺産を相続する家督相続は、すでに廃止されている制度です。それにもかかわらず、このような主張をされると他の相続人としては納得できないことが多いでしょう。

また、「法定相続人以外の親族全員で話し合うのがうちの決まりだ」などと、発言権の強い親族が主張してくるケースもあります。こうしたケースでは、こちらが法定相続人や法定相続分について説明しても、「これはうちの決まりだ」などと話し合いにならないケースも多いです。

(3)亡くなった人の介護・世話・同居などを理由に寄与分を主張するケース

生前、亡くなった方を長年介護してきた相続人がいる場合には、その分、遺産を多めに相続できるはずだと主張してくるケースがあります。特に、相続人間であまり仲がよくなかった場合には、遺産を多めに受け取ることは許せないため、法定相続分通りに分配すべきだと揉める可能性があるでしょう。

また、亡くなった人と長年同居している人がいた場合には、「これまで生活費などを負担してきたのだから多めに相続する」などと主張して、自身の取り分を多めに主張してくるケースもあるでしょう。

亡くなった人の介護・世話・同居などを理由に増加した分の遺産を「寄与分」といいますが、法律上の要件が厳しいこともあり簡単には認められません。仮に認められたとしても、それに納得できない他の相続人と揉めてしまい、スムーズに相続手続きが進まないケースも多いです。

(4)特定の相続人にのみ生前贈与がされていたケース

生前、特定の相続人にだけ多額の贈与がなされていた場合、それを好ましく思わない他の相続人が「多額の財産をもらっているのだから、その分、相続分を減らすべきだ」と主張してくる場合があります。

生前贈与を受けた相続人としては、「これは自分がもらったものだから、相続とは関係ない」と考えるでしょう。しかし、他の相続人としては、相続の開始前後でもらった譲り受けた財産についても相続で考慮すべきだと考えるでしょう。特に、亡くなった方と生前贈与を受けていない相続人の関係性が悪かった場合には、「自分はもらっていないのに」と相続人に八つ当たりしてくるケースも多いです。

また、亡くなった人から贈与の話を聞いたことがあるだけだった場合、生前贈与の明確な証拠がないとして揉める可能性が高いです。場合によっては、裁判にまで発展するケースもあります。

なお、生前贈与ではないですが、特定の相続人による遺産の使い込みが発覚して揉めるケースや、被相続人と同居していた親族が遺産を開示してくれないことで揉めるケースもあります。使い込みが発覚した場合には、通帳の履歴などから相続人による遺産の使い込みを証明する必要があります。また、相続人が遺産に関する情報を開示してくれない場合には、弁護士を通して情報の開示を促したり、裁判所の調査嘱託などを利用して開示を求めることになります。

(5)遺言書の有効・無効で揉めるケース

遺言書が残っている場合、その遺言書の通りに遺産を分配するのが原則です。ただし、一部の相続人が遺言書の無効を主張してきた場合、遺産の分け方で揉めることになるでしょう。

たとえば、遺言書に「財産を全て長男に相続させる」などと書かれていた場合で、他の相続人が「この遺言書は、亡くなった母が認知症になったあとに作成されたものだから無効だ」などと主張してくるケースです。このケースでは、遺言書が有効なら他の相続人が遺留分について主張することになり、無効であればどのように遺産を分配するのかについて揉めることになるでしょう。

遺言書の有効・無効次第で相続人が得られる遺産は大きく変わるので、不審な点があれば遺言書の有効性について争うメリットが大きいです。そのため、自身に不利な内容の遺言書が発見された場合には、遺言書の有効性につき相続人間で争いになるケースが多いのです。

遺言書の有効性で争いになる場合、裁判にまで発展するケースも多いです。遺言書の偽造が疑われる場合には、弁護士を通して徹底的に争われるケースも多いからです。

(6)知らない相続人が登場して揉めるケース

亡くなった人だけが知っている相続人が自身の権利を主張してきた場合、話がこじれる可能性が高いです。

たとえば、亡くなった人が知らない間に養子縁組をしていた場合です。法律上、養子は実子と同じ立場で相続人になることができます。養子は相続人として当然自身の取り分を主張してきますが、養子がいることを知らなかった他の相続人としては、「これまで関わりのなかった人間がいきなり遺産を相続するのは許せない」と考えるでしょう。この場合、お互いの権利を主張し合うことで話し合いが長期化するケースが多いです。

また、亡くなった人が離婚後に再婚していた場合、前妻との間に生まれた子どもは法定相続人になります。後妻家族が再婚を知らなかった場合、いきなり権利を主張してくる前妻の子どもとの間で揉める場合があるでしょう。

これらのケースでは、相続が発生したあとの手続きで戸籍を取り寄せた際に初めて発覚するケースも多いです。亡くなった方とこれまで暮らしていた家族としては、いきなり現れた相続人に対して財産を譲れないと考えるのが通常だといえるでしょう。


3 相続争いのデメリットとは?悲惨な末路や絶縁などのリスクも

相続争いが長引くと、次のようなデメリットがあります。

  •  ・相続自体が長引く
  •  ・親族間の関係性が悪化し、最悪の場合には絶縁も
  •  ・相続争いが悪化すると遺産を有効に活用できないリスクが高まる
  •  ・訴訟などの法的手続きに発展する場合も
  •  ・相続税を抑えられる特例を受けられないリスクが高まる

話し合いに納得できないのであれば、妥協せずに自身の権利を主張すべきです。一方で、相続争いが長引くとその分、さまざまなリスクがあることを頭に入れておく必要があります。

(1)相続自体が長引く

相続人間での話し合いがまとまるまでは、遺産を相続できません。相続自体が長引くと、預貯金に手をつけられなかったり、不動産を売却できないなどのデメリットが生じます。

また、遺産分割協議がまとまるまで定期的に相続人で集まって話し合いをしなければいけないので、特に遠方に住んでいる場合には、肉体的にも精神的にもストレスがかかるでしょう。移動費などの交通費もかかるので、金銭的なデメリットも大きいです。

さらに、相続開始から10年を経過した場合、特別受益や寄与分を主張できなくなります。生前、献身的に介護に務めていた相続人にとっては、話し合いを長引かせるデメリットが大きいといえるでしょう。相続争いで権利関係が複雑になっていたり、多額の遺産を相続する場合には、話し合いが数年間まとまらないケースも多いです。1度話し合いがまとまらず絶縁関係になってしまった場合には、そのまま放置されていて10年間経過してしまうケースも考えられます。

(2)親族間の関係性が悪化し、最悪の場合には絶縁も

相続人間での話し合いが長引けば長引くほど、話は平行線を辿り落とし所が見えなくなります。お互いに感情的になり言い合いになった場合には、関係性が悪化し、最悪の場合には絶縁関係になってしまう場合もあるでしょう。

1度関係性が悪化してしまうと、もはや修復が困難になってしまうケースも多いです。絶縁になると話し合いもできなくなるので、遺産分割協議は進まないまま時間だけが経過してしまいます。絶縁しても相続権がなくなるわけではないので、問題の解決は先送りにされ遺産に手をつけられない状態が続きます。 

(3)相続争いが悪化すると遺産を有効に活用できないリスクが高まる

話し合いがまとまるまでは、遺産である不動産も相続できません。不動産を相続できない状態が続くと、その不動産を有効に活用できなくなる恐れがあります。

たとえば、遺産分割協議が終了しないと、不動産を売却することができません。タイミングを逃すと不動産の買い手がスムーズに見つからず、管理費・維持費だけがかかり続けることになります。

また、預貯金や他の財産にも手をつけられないため、投資に回したり、子どもの学費に回したりするなど、遺産を有効活用することもできません。

話し合いがまとまらないうちに新たな相続が発生してしまった場合には、権利関係がさらに複雑になり、いつまで経っても遺産を有効活用できないことになってしまいます。

(4)訴訟などの法的手続きに発展する場合も

話し合いが長期化し、もはや相続人同士では解決の糸口が見えなくなってしまった場合には、調停や訴訟などの法的手続きに発展するケースもあります。

裁判所を通す法的手続きにまで発展した場合、解決までに数年かかってしまうケースも珍しくありません。証拠を揃える手間もかかりますし、弁護士などの専門家に依頼する費用もかかります。個人で対応することも可能ですが、相手が弁護士をつけてきた場合には、適切に対応するためにも弁護士への依頼が必須でしょう。

話し合いでの解決を目指す調停では、お互いの妥協点を見つけられないことも多いです。相続争いで交渉が長期化した場合には、裁判にまで発展するリスクがあることを頭に入れておく必要があります。

(5)相続税を抑えられる特例を受けられないリスクが高まる

相続までの期間が長引けば長引くほど、相続税を抑えることができる特例を受けられないリスクが高まります。特例を利用できないと、その分、多めに相続税を支払うことになってしまいます。

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、相続税にはさまざまな減税措置があります。これらの特例を利用するためには、原則として相続税の申告期限内(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内)に話し合いがまとまっていなくてはなりません。つまり、話し合いが長引けば長引くほど、相続税の減税措置が受けられなくなるリスクが高まるのです。

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで特例適用期間を伸ばすこともできますが、不動産を誰が相続するかが決まっていない状態では、この手続きを誰が行うのかで揉める可能性もあるでしょう。


4 相続争いをできるだけ防ぐための予防策

相続争いをできるだけ防ぐためには、次の予防策を取っておくことが重要になります。

  •  ・相続トラブルや争いが発生したらすぐに弁護士に相談する
  •  ・法的効力を持った遺言書を用意しておく
  •  ・遺産や相続物が多い場合には、生前から家族観で共有・相談を行っておく

相続争いはお互い感情的になってしまうことも多く、1度でも揉めてしまうとなかなか妥協点が見つからないケースが多いです。予防策をしっかり取っておくことで、そもそも相続争いに発展させないようにするのがよいでしょう。

(1)相続トラブルや争いが発生したらすぐに弁護士に相談する

相続人間で揉めごとが発生した場合には、なるべく早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

いったん争いが生じてしまうと、もはや相続人同士での解決は困難であるケースも多いです。お互い感情的に証拠のないことを主張し合うと、建設的な話し合いはできません。交渉が長期化すると、遺産を有効活用できなかったり、特別受益や寄与分の主張ができなくなるなどのリスクもあります。

遺産相続トラブルに精通している弁護士であれば、遺言書の作成や家族信託などの方法で相続争いを未然に防ぐことが可能です。また、すでに生じている争いに対しても、柔軟な方法で適切な対処をすることが可能です。冷静に法的見解を述べることができるので、相続人全員が納得できる解決になるケースも多いです。

また、主張の裏付けとなる証拠収集のサポートや各種相続手続きのサポートなどもできるうえ、依頼することで心理的なストレスからも解放されます。他の相続人と直接やり取りをしなくても済むのは、相続人に取っては非常にメリットが大きいといえるでしょう。

早めに相談することで弁護士が対応できる幅も広がります。話がこじれる前に早めに相談することをおすすめします。

(2)法的効力を持った遺言書を用意しておく

相続争いを予防したいのであれば、法的効力を持った遺言書を用意しておくことをおすすめします。遺言書があれば、原則としてその内容通りに遺産を分配することになります。相続人間での争いを避けたいのであれば、あらかじめ誰がどのくらいの財産を引き継ぐかを決めておくのがよいでしょう。

ただし、遺言書を作成する際には、相続人の取り分である遺留分を侵害しないよう注意が必要です。たとえば、「生前介護をしてくれた長女に全ての財産を相続させる」という内容の遺言書を作成した場合、ほかの相続人から「遺留分を侵害している」として訴訟を起こされる可能性があります。

また、遺言書の作成方法を間違えると遺言書自体が無効になってしまうリスクもあるでしょう。

遺言書は相続争いを未然に防ぐ方法として有効ですが、作成を検討しているのであれば、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するのがおすすめです。法定相続分ではない割合で相続させる場合には、その理由を遺言書に付言事項として記載しておくとよいでしょう。

なお、生前であれば民事信託(家族信託)を利用して財産の帰属先を決めておくことも有用です。家族信託とは、家族や親族に財産管理を任せる契約のことです。「信用して財産を託す」ことから信託契約と呼ばれています。

家族信託をしておけば、自分が亡くなった際に財産を誰に引き継がせるかをあらかじめ決めておくことができます。また、民事信託なら二次相続についても受益者を指定できるので、たとえば「自分が死んだら自宅は妻に譲る。もし妻も死んだら長男に自宅を譲る」として将来の相続争いを未然に防ぐことができます。

(3)遺産や相続物が多い場合には、生前から家族間で共有・相談を行っておく

多額の遺産を相続する場合や、預貯金・不動産・株式・高価な美術品など遺産が多い場合には、生前から相続人となる人たちで話し合いを行っておくとよいでしょう。

被相続人が生きているうちであれば、お互いに本音を言い合って遺産の分け方を決めることができます。被相続人および相続人全員が納得した上での相続であれば、相続開始後に揉める可能性は低くなるでしょう。特に、預貯金以外に不動産や株式などの資産がある場合には、あらかじめ財産を整理して誰に相続させるかを決めておくメリットが大きいです。

ただし、亡くなる前の話し合いに法的効力は認められません。たとえ、生前に遺産の分け方を話し合っていたとしても、相続開始後に話し合いとは異なる主張をされて揉める可能性はあることを頭に入れておきましょう。


5 まとめ

生前どんなに仲が良くても、被相続人の死亡を契機に家族仲が悪くなるケースは非常に多いです。特に、多額の遺産がある場合や遺産に不動産がある場合には、相続人間でどのように遺産を分配するかについて揉める可能性が高いといえるでしょう。

相続争いが激化・長期化すると、遺産を有効に活用できなくなったり、相続税を抑えられる特例を受けられないリスクも高まります。最悪の場合、訴訟にまで発展して話し合いがまとまるまでに数年かかってしまうケースもあるでしょう。

相続争いで精神的ストレスを溜めないためにも、遺言書や家族信託などの生前対策をしっかり行いましょう。また、もし相続について不安があるなら、早めに弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。

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