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【全銀協・CIC・JICC】至急亡くなった人に借金があるか調べたい!信用情報の開示手続を解説

「相続」という言葉を聞いた時、亡くなった人の土地やお金といった資産をもらうことができるとイメージする方は多いのではないでしょうか。

しかし、故人に借金などがあった場合、その財産を相続する相続人は、借金といったマイナスの財産も引き継ぐことになります。

相続した財産全体でお金や不動産といった資産の金額の方が多ければ問題はありませんが、借金といった負債の方が多いと相続するメリットがありません。

今回のコラムでは、相続が発生した場合に、故人に借金があったか調べる方法である「信用情報の開示手続」について解説していきます。

そもそも故人の借金を調べることはできる?

自分に借金があった場合、そのことを他人に話す人は多くありません。それでは、故人に借金がいくらあったかを調べることは本当にできるのでしょうか。

故人に借金があったかを調査するには、大きくわけて次の2つの方法があります。

① 故人の郵便物や書類を探し、確認する
② 故人の信用情報について信用情報機関に開示請求し、調査する

まず①は最も単純で簡単な方法です。故人が借金をしていたり、税金を納めていなかった場合は、契約書、法律事務所・国からの郵便物を確認することで、故人の借金をみつけることができる場合があります。

次に②信用情報機関に開示請求するという方法があります。
信用情報の調査と言われてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。

信用情報機関に開示請求し、故人の借金を調査する方法では、銀行やクレジットカードの使用履歴、さらには消費者金融といった各種金融機関からどれくらいお金を借りているのかといった情報を手にいれることができます。

信用情報機関には次の3つがあります。

① 全銀協(一般社団法人全国銀行協会:いわゆる銀行系信用情報機関)
② CIC(株式会社シー・アイ・シー:いわゆるクレジット・信販会社系信用情報機関)
③ JICC(株式会社日本信用情報機構:いわゆる消費者金融系信用情報機関)

①〜③の信用情報機関は、加盟している業者から情報を得て、個人ごとの借入の記録やクレジットカードの利用履歴を記録しています。

相続人も信用情報機関に開示請求することが可能なため、故人に借金があるかどうかといったことを調べることが可能です。

※信用情報機関に記録せれている記録で故人の借金などがすべて分かるわけではないので注意が必要です!

信用情報の開示はどのように行う?

それでは、信用情報の開示にはどのような物を用意する必要があり、開示するまでにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

①〜③の信用情報機関で必要な手続や準備しなければいけない物は基本的には共通しています。しかし、それぞれの機関で若干の違いがあるため注意が必要です。

また、信用情報の開示請求は、漏れをなくすために3つのすべての機関に対してする必要があります。

※今回のコラムでは大まかな手続の全体像を解説していきます。新型コロナウイルス以降、各機関の対応が変動しているため、最新の情報は信用情報機関のホームページ等で確認しましょう。

Ⅰ 準備する必要があるもの

信用情報の開示をするために事前に用意する必要がある基本的なものは次の通りです。

① 信用情報開示申込書
② 戸籍謄本
③ 手数料
④ 開示請求をする人(相続人)の本人確認書類(マイナンバーカードのコピーなどを2種類)
⑤ 故人の死亡を証明する書類(戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなど)
⑥ 故人の電話番号または運転免許証番号
それでは、①〜⑥について詳しく解説していきます。

(1)信用情報開示申込書

①の信用情報開示申込書ですが、これはそれぞれの信用情報機関のホームページからダウンロードすることができます。

それぞれのホームページから申込書をダウンロードし、記入例に沿って必要事項を記入しましょう。

(2)戸籍謄本

戸籍謄本を確認することによって、故人の情報を開示しようとしている人が相続人であることが分かるため、信用情報開示では必須の書類となっています。

※親や兄弟姉妹が相続人になる場合は注意が必要です。親や兄弟姉妹が相続人になる場合は、故人に子供がいないことを意味するため、そのことを証明する必要があります。故人に子供がいなかったことを証明するためには、故人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍を用意する必要があります。

(3)手数料

郵送の場合は3つの機関で1件につき約1000円前後の開示手数料がかかります。
開示手数料はコンビニで郵送開示利用券や本人開示・申告手続利用券を購入することで支払います。

(4)開示請求をする人(相続人)の本人確認書類

開示請求をしようとしている相続人の本人確認書類を2種類用意しましょう。
全銀協は1種類で大丈夫ですが、CICとJICCでは2種類必要です。

本人確認書類として利用できるものは次の通りです(各機関のホームページで最新の情報を確認しましょう)

① 運転免許証または運転経歴証明書(裏面に記載がある場合は両面コピー)
② パスポート(写真記載のページ・住所記載のページ)
③ 在留カードまたは特別永住者証明書(裏面に記載がある場合は両面コピー)
④ マイナンバーカード(表面のみコピー)
⑤ 写真付きの住民基本台帳カード(表面のみコピー)
⑥ 障がい者手帳(氏名・生年月日・住所欄をコピー)
⑦ 保険証(氏名・生年月日・住所欄をコピー)
⑧ 発行日から3ヶ月以内の住民票(原本またはコピー)
⑨ 発行日から3ヶ月以内の印鑑登録証明書(原本またはコピー)
⑩ 年金手帳(氏名・生年月日・住所欄をコピー)
⑪ 戸籍謄本・戸籍抄本(除籍・附票不可)

(5)故人の死亡を証明する書類

故人の死亡が確認できる戸籍謄本、抄本、除籍謄本、法定相続情報一覧図の原本またはコピーを用意しましょう。

(6)故人の電話番号または運転免許証番号

CICの手続をする場合は、故人の電話番号等を記載する場所があります。電話番号は自宅や携帯電話など複数ある場合があるため、なるべく全ての電話番号をおさえておきましょう。

電話番号か運転免許証番号のいずれかがCICに登録されている情報と異なる場合、情報が開示されないため注意が必要です。

※速達を希望する場合のみ、別途で切手代がかかります。詳細は各機関のホームページを確認しましょう。

具体的な情報開示手続はどのように行う?

それでは、必要な書類等を用意したらいよいよ情報開示の手続を行なっていきます。

情報開示の手続は3機関とも郵送で行うことが効率的です。上記必要書類等を準備したら、それぞれの情報機関に郵送しましょう。具体的には次の通りです。

Step1:必要書類を用意する。
Step2:信用情報開示申込書に必要事項を記入し、必要書類とともにそれぞれの機関に郵送する。
Step3:書類に不備がない場合、概ね10日以内に開示報告書が届く

書類に不備がなければ、1週間から10日程度で開示報告書が自宅に届くはずです。書類に不備があった場合や、記載された情報に誤り・不備があると、自分が送った書類が返却され、再度の提出が必要になるので注意が必要です。

仮に故人に多額の借金が見つかり相続放棄をしようと思った場合、相続放棄の期限は3ヶ月ですので、書類に不備がないかは必ずそれぞれの機関のホームページを確認してチェックしてから送りましょう。

開示報告書は簡易書留か本人限定受取郵便で郵送されるはずです。
JICCとCICは基本的に簡易書留で送られてきます。全銀協は簡易書留か本人限定受取郵便を選択できるため、簡易書留を選択することをおすすめします。

なぜなら、本人限定受取郵便は本人不在の際の手続が煩雑ですので、相続放棄まで時間が限られている状況下では簡易書留を選択した方が便利だからです。

情報開示の結果が届いても解読が難しいって本当?

情報開示の結果は、書類の形式がそれぞれの機関で異なります。機関ごとに書類の見方そのものは説明されているため、まずはそれを確認しましょう。

しかし、それぞれの機関で詳細な見方が説明されているとはいえ、いまいちピンとこないという相談が多いのも事実です。

故人のAという借金が、それぞれの機関の開示情報に含まれていた場合、まるで別の借金のように記載されていることがあるため、具体的な借金の総額を把握することが難しいこともあります。

そこで、まずは開示される情報の3つの特徴だけは押さえておきましょう。

まず1つ目は残高の数字です。信用情報機関で開示される借金などの数字は、1000円未満の端数は省略されます。

具体的には、例えば金額が55000円の場合、58千円や5.8万円といった形で記載されています。

次に2つ目は、情報開示で返ってくる結果に記載されている借入残高は、開示されたときから1〜2ヶ月くらい前のタイムラグのある情報であるということです。

そのため、故人が他界した後の直近のデータが反映されていないため、正確な借入残高が記載されているとは限らないことに注意が必要です。

信用情報の開示手続は正確な借金を把握するというよりも、大雑把にどこの銀行等の金融機関にどれくらいの借金があるのかといったことを調べるために行うというイメージを持っておいた方が良いでしょう。

最後に3つ目は、同じ借金でも、借入契約と保証契約が別々に登録されていることがあるという点です。これだけ聞くと何のことかさっぱり分からないですよね。具体例を挙げましょう。分かりやすいのは銀行カードローンです。

銀行カードローンの場合、主となる借入の契約とは別に、保証会社と保証委託契約を結ぶケースがあります。

主となる借入自体は全銀協の開示情報に記載されるのですが、保証会社との保証委託契約はCICやJICCに記載される場合があることに注意が必要になります。

なぜ注意が必要かというと、CICやJICCに記載される保証会社との契約は、主となる契約の支払いが滞らない限り返済義務はありません。そのため、これら2つの契約は別のものと考えるのではなく、事実上は主となる借入の契約1つだけと考えた方が良いからです。

情報開示の結果を読み間違い、お金などの資産よりも借入などの借金の方が多いと勘違いしてしまうと、相続放棄をするかどうかの判断を間違ってしまいます。

故人の借金の調査は非常に難しいため、まずは自分で大雑把に借金の全体像を把握し、その後の詳細は司法書士や弁護士といった専門家に協力してもらいながら相続の手続をすすめていくことをおすすめします

おわりに

今回のコラムでは、急に相続が発生した場合に、故人に借金があったか調べる方法である「信用情報の開示手続」の大まかな全体像について解説しました。

信用情報を利用することで故人の借金などを調査することは可能です。しかし、開示手続はやや複雑で、開示結果を正確に読むことも簡単ではありません。

相続人個人で借金の調査を行う場合は、まずは概算としての故人の借金を把握するくらいの気持ちの方が良いでしょう。最終的に詳細な調査を行いたい場合は専門家に相談すると確実です。

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