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HOME 役立つコンテンツ 相続手続に協力してくれたお礼や謝礼金は必要?謝礼が考えられるケースや謝礼ととともに渡す手紙例文を現役司法書士がわかりやすく徹底解説。

相続手続に協力してくれたお礼や謝礼金は必要?謝礼が考えられるケースや謝礼ととともに渡す手紙例文を現役司法書士がわかりやすく徹底解説。

相続の相談を受けていると、「手続きに協力してくれた謝礼を渡したほうがいいのか」「ハンコ代っていくらくらいか」といった質問を受けることがあります。

しかし、謝礼金やハンコ代を渡すことは法律上の義務ではありません。したがって、謝礼金やハンコ代を渡す場合には、その趣旨や目的をしっかりと理解した上で行う必要があります。

また、謝礼金やハンコ代を渡すにあたっては、手紙を添えておくことが一般的ですが、内容によってはかえって失礼になってしまうこともあるでしょう。

このコラムでは、相続手続きに協力してくれた人に渡す謝礼金やお礼の手紙について、わかりやすく解説していきます。

どのような場合に謝礼金やハンコ代が発生するのか

相続手続において、謝礼金やハンコ代を渡す法律上の義務はありません。しかし、以下のようなケースでは謝礼金やハンコ代を渡すこともあります。

遺産分割協議書に署名捺印してくれた場合

法定相続人(法律により相続人となるべき人)が複数いる場合には「遺産分割協議」といって、故人の遺産を誰が、どの割合で相続するのか話し合って決める必要があります。

話し合いの結果、法定相続分(法律で決まっている各相続人の取り分)で分ける場合もあれば、故人の面倒を見ていたなど個別の事情により特定の相続人の取り分を多くすることもあるでしょう。

そして、遺産分割協議成立後は「遺産部活協議書」という相続人全員の話し合いの結果をまとめた書面を作成する必要があります。

この遺産分割協議書には相続人全員が実印で捺印をし、印鑑証明書を添付する必要があります。

印鑑証明書を用意するために少なからず時間と費用をかけていることや実印を押してもらうということから、謝礼金やハンコ代を渡すことがあります。

この謝礼金は、手続に協力してくれた感謝の気持ちなので、特別に高い金額を渡す必要はありませんが、印鑑証明書の取得費用と手間を考えて1~2万円は渡しておくのが一般的でしょう。

相続放棄をした相続人がいる場合

相続放棄とは、家庭裁判所に申立てることで、その人が最初から相続人ではなかったとみなされる制度です。
相続に関する一切の権利を放棄するため、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ必要はありませんが、預金や不動産などプラスの財産も相続することができなくなります。

したがって、相続放棄をしていない相続人が取得できる遺産が増えることになります。

そのため、相続放棄という不利な手続きに協力をしてくれたお礼として、謝礼金を渡すことがあります。

この場合の謝礼金は元々の法定相続分の1割程度が一般的ですが、相続放棄をした理由も様々でしょうからお互いに納得の上、何も渡さないということでもよいでしょう。

お礼の手紙の例文

相続手続に協力してくれた謝礼金やハンコ代を渡すにあたって、さらには無償で協力してもらった場合でも、相続手続完了後にその旨の報告とお礼の手紙を送ることがあります。

この手紙にはどんなことを書けばよいのでしょうか。
相続人の中には普段交流のない人がいることもあるでしょう。そういった場合にはとりわけ何を書いてよいのか迷ってしまうと思います。

このコラムでは、以下の通り遺産分割協議書に捺印してもらった場合と相続放棄を行った場合に分けて、手紙の例文を掲載します。

遺産分割協議書に署名捺印してもらった場合

相続手続完了のご報告

令和  年  月  日

〇〇様

(住所)
(名前)

この度は故 △△の相続手続にご協力をいただきありがとうございました。

おかげさまで滞りなく手続を完了させることができましたのでご報告となります。
これも〇〇様が迅速に遺産分割協議書のご署名・ご捺印や印鑑証明書の取得をしてくださったおかげでございます。
改めて感謝の気持ちを申し上げます。

今後ともご高配を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
お体にはご自愛くださいませ。

相続放棄の場合

相続手続完了のご報告

令和  年  月  日

〇〇様

(住所)
(名前)

この度は故 △△の相続手続にご協力をいただきありがとうございました。

おかげさまで滞りなく手続を完了させることができましたのでご報告となります。
本来であれば〇〇様にも法定相続人としての権利があるところ、私共の事情をご考慮いただき相続放棄の手続にご協力いただき、感謝申し上げます。

今後ともご高配を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 お体にはご自愛くださいませ。

謝礼金に税金はかかる?

謝礼金として金銭を渡す場合、贈与税や相続税は課税されるのでしょうか。
こちらも遺産分割協議書に捺印してもらった場合と相続放棄の場合に分けて考えていきましょう。

遺産分割協議書に署名捺印してもらった場合

遺産分割協議に協力をしてくれた相続人に対してお礼や謝礼金を支払う場合には、相続財産から支払うのか、相続人個人の資産から支払うのかによって異なります。

相続財産から支払う場合には、「代償金」という形式となるため、課税されるのは相続税となります。

相続税の場合は「基礎控除」といって、遺産総額が一定の金額内であれば非課税とされています。

逆に相続人個人の資産から支払う場合は、「贈与税」の対象となります。
贈与税の場合は基礎控除枠が相続税よりも狭く、110万円となっております。
したがって、個人資産から謝礼金を支払う場合は、高くても110万円に収まるようにすることをおすすめします。

相続放棄の場合

前述のとおり、相続放棄をすると相続人としての一切の権利義務を放棄するため、謝礼金は相続財産から受け取ることはできません。

したがって、謝礼金の支払は必然的に相続人個人の資産から行うことになります。

この場合は既に説明のとおり贈与税の課税対象となります。

終わりに

ここまで、相続手続にあたって協力してもらった相続人に対して支払う謝礼金やハンコ代について説明しましたが、実際に支払うべきかどうか、支払うとしていくらが妥当なのか、手紙の内容はどうすればよいか、個々のケースによって変わってくる部分もあります。

一人で悩まずに、まずは専門家へご相談されることも検討されてみてはいかがでしょうか。

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