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株式を相続した場合の手続き方法や、流れについて解説

近年、政府も「貯蓄から投資へ」と株式投資をすすめていることもあり、株式投資をしている人も多いかと思います。
ただ、ご家族が亡くなって株式を相続した場合の手続きなどについて、わからない人もいるのではないでしょうか。
今回は、ご家族が亡くなって株式を相続した場合の手続きなどについて解説します。なお、今回の解説では未上場株の相続手続きについては割愛します。

株式を持っているか調査する

亡くなったご家族が株式を所有しているかどうかを調査する方法ですが、2009年1月以降、株券は電子化されています。そのため家族が株式を所有しているかどうかは、「家族から株式を所有していることを聞いている」「家族が所有している株式の配当金や株主総会のお知らせが自宅に届いている」などによって知っている場合かと思います。
なお、家族と別々に住んでいる場合は、家族が株券を所有していることを知らない人も多いのではないでしょうか。そうなると、家族が亡くなり遺品整理をしてる時に株主総会のお知らせの文書を見つけて、家族が株式を所有していたと知る場合もあるかと思います。
さて、亡くなったご家族が株式を所有していた場合、所有していた株式銘柄と株数を把握する必要があります。所有していた株式銘柄と株数を把握することを株式調査といいます。
株式調査の方法ですが、取引していた証券会社から残高証明書を取り寄せすると、どの証券銘柄と株数を把握することができます。
ただ、株式を所有していたことは知っていても、取引していた証券会社がわからないという場合もあります。その時は、証券保管振替機構(ほふり)に対して情報開示請求を行うことで、どこの証券会社と取引していたのかがわかります。

株式を所有していることがわかったら遺産分割協議

亡くなったご家族が株式を所有していることがわかったら、相続人全員で株式の分け方について話し合い(遺産分割協議)をします。
遺産分割協議は必ず相続人全員で行う必要がありますので、相続人が1人でも欠けた状態で実施すると無効になります。なお、必ず相続人全員が顔を合わせる必要はなく、例えば、遠方に住んでいるため参加できないといった場合は電話やメールなどを使用して話し合うことも可能です。重要なことは、相続人全員が遺産分割協議に合意(賛成)しているかどうかということです。
遺産分割協議で相続人全員が合意したら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の作成方法に決まりはなく、パソコンで作成しても手書きでも問題ありません。作成する時のポイントは以下の通りです。

・財産の内容と相続人を特定しておく
・相続人全員の名前を記載する
・印鑑証明を受けた実印を押す

遺産分割協議の後は名義変更をする

遺産分割協議で相続人の誰がその株式を取得するかが決まったら、亡くなったご家族が取引していた証券会社に名義変更の申し出をします。
証券会社ごとに所定用紙があり、遺産分割協議書や相続者全員の印鑑証明書など必要書類も異なりますので、手続きミスがないように取引していた証券会社に確認しましょう。
なお、株式を取得する相続人が亡くなったご家族と同じ証券会社の証券口座を持っていれば名義変更するだけですが、証券口座を持っていない場合は新たに証券口座を開設してから名義変更する必要があります。

名義変更後の株式の分割方法

名義変更した後、相続人が複数人いる場合は遺産分割する必要があります。それでは株式の分割方法について解説します。

①現物分割

株式を現金に交換しないで株式のまま取得することを現物分割といいます。株式を相続人1人だけが相続する場合も現物分割で、複数の相続人で分ける場合も現物分割となります。
なお、現物分割は株式を売却する時に、相続税以外に譲渡所得税や証券会社の手数料などが必要になりますので、相続した時の額面金額より少なくなることがあります。

②代償分割

相続人1人が株式を取得して、他の相続人に代わりに現金を支払うことを代償分割といいます。なお、現物分割と同様に売却する時に、相続税以外に譲渡所得税や証券会社の手数料などが必要になりますので、相続した時の額面金額より少なくなることがあります。代償分割される相続人からすると、譲渡所得税や証券会社の手数料などが不要になる点はメリットになります。

③換価分割

株式を売却して売却代金を相続人間で分けることを換価分割といいます。法定相続分を分けることも、遺産分割協議によって分け方を決めることも可能です。相続人が株式に興味なかったり、相続人同士で「今は売り時なので早く売却したい」など、早めに売却したいなどの理由がある時は換価分割が適しています。

株式の相続評価方法

株式の価格は毎日変わりますので、相続評価をする時は以下の方法で行います。

・ご家族が亡くなった日の終値
・ご家族が亡くなった月の毎日の終値の平均額
・ご家族が亡くなった前月の毎日の終値の平均額
・ご家族が亡くなった前々月の毎日の終値の平均額

原則として、ご家族が亡くなった日の終値を相続評価にしますが、株式は相場の急変などで評価額が一時的に高くなる場合がありますので、上記の方法の中で一番低い額で相続評価します。

さて、上記で解説した相続評価は通常の株式(新NISA以外)を相続した場合の話です。
2024年1月1日から新NISA(少額投資非課税制度)で株式投資し、株式を売却した場合は無期限で非課税となりました。なお、非課税保有限度額は1,800万円(そのうち成長投資枠は1,200万円)となります。
なお、NISAは2024年12月31日までに株式投資をした場合の旧NISA、2024年1月1日以降に株式投資した場合の新NISAに分かれますが、以下では、2024年1月1日以降に新NISAで株式投資した場合を想定して新NISAの話のみ解説します。

新NISA制度の詳細は以下URLを参照してください
金融庁「NISAを知る」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/

政府も「貯蓄から投資へ」と株式投資をすすめているので、新NISAで株式投資を始めた人も多いのではないでしょうか。ただ、新NISAは先ほど解説した通常の株式の相続手続きと方法が異なりますので、ご家族が亡くなった時、新NISAを相続する場合の方法について解説します。

新NISA口座を開設していたご家族が亡くなった場合、相続人は継続して自分の新NISA口座で亡くなったご家族の株式を保有するはできません。相続人はご家族が亡くなったことを知った日以後遅滞なく、非課税口座開設者死亡届出書を金融機関に提出しなければいけません。

<非課税口座開設者死亡届出書とは>
新NISA口座を開設している人が亡くなったことを金融機関に知らせる書類です。書類は新NISA口座を保有している金融機関に連絡すると送ってもらえます。
なお、相続人全員の戸籍謄本や遺産分割協議書などが必要になりますので、金融機関に連絡した時に忘れずに必要書類を確認しましょう。

新NISA口座を開設しているご家族が亡くなられた場合は、新NISA口座で保有していた株式は新NISA口座から払い出されます。
そして、亡くなった日の終値の金額で株式を売却したものとみなします。なお、新NISA口座を開設していたご家族が亡くなった時までの含み益については非課税になります。

<ワンポイントアドバイス>
最近は外国株を保有している方もいるかと思いますが、外国株を相続する場合も先ほど解説した株式の相続評価と同様ですが、注意しないといけないは外国株を相続評価する時は為替レートも含めて評価します。
それでは、いつの為替レートを使うかというと、取引している金融機関が公表する相続が発生した日時点の為替レートを使います。そして、為替レートのでも「対顧客直物電信買相場」(金融機関が顧客から外貨を買い取る時のレート:TTB)を使用します。

少し難しい解説になりましたが、簡単にいうと「外国株を保有している時は為替レートで相続評価が変わる」ということです。
外国株を保有していた場合は、自分で相続手続きするのは手間がかかると思いますので、専門家に相談することをおすすめします。

相続税の申告と納付

先ほど、株式の相続評価について解説しましたが、相続税の申告期限はご家族が亡くなった日の翌日から10カ月です。申告書は亡くなったご家族の住所地の所轄税務署に提出します。そして、相続税の納付期限もご家族が亡くなった日の翌日から10カ月です。また、相続税は原則として現金で一括納付します。

株の相続放棄

相続人が株に興味がなく、ご家族が保有していた株式を相続放棄したいという場合もあるかと思います。 ただ、相続放棄はプラスの財産(株式、預貯金など)も、マイナスの財産(ローンや借金など)も一切受け継がないことです。相続放棄すれば株式の相続を免れることができますが、株式以外の財産も相続できなくなりますので注意が必要です。

まとめ

ご家族が亡くなって、株式を相続した場合の手続の流れ、新NISAの相続評価、株の相続放棄などについて解説してきました。
初めて株式の相続手続きをする人は難しく感じられるかもしれません。手間と労力を考えると、専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では、相続に関する不動産、預貯金、有価証券、自動車、保険金などのあらゆる相続手続を一括でお引き受けします。必要に応じて税理士、社会保険労務士、弁護士などをご紹介し、各専門家と連携して手続きを行います。

ご相談お待ちしております。ご相談ご希望の方は、電話メールフォームなどからご連絡ください。

《参考文献》
・国税庁HP「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A(Q24)」:
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/nisa_qa01.pdf
・国税庁HP「外国の証券取引所に上場されている株式の評価」:
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/14/01.htm

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