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田や畑を相続するときの注意点

実家に田畑があるという方は珍しくありません。

ご兄弟等が実家の田畑を管理していれば、相続で田畑が問題になることはあまりありません。しかし、実家にはご両親しか住んでおらず、ご両親が亡くなった際に田畑を管理する人がいなくなるような場合は注意が必要です。

今回のコラムでは、田や畑を相続する時の注意点について解説していきます。

田や畑(農地)を相続する手続

まずは農地を相続する手続についてみていきましょう。

農地を相続する際には、Ⅰ法務局で相続登記をし、その後、Ⅱ農業委員会への届出をする必要があります。

法務局での相続登記

農地の相続登記は、農地の名義を変更するための手続で、その農地がある場所を管轄している法務局で行うことができます。

相続登記の際に必要な主な書類は、次の通りです。

①登記申請書
②被相続人の戸籍謄本(生まれた時から亡くなった時まで)
③被相続人の住民票の除票
④相続人全員の戸籍謄本
⑤農地を相続する人の住民票
⑥遺産分割協議書
⑦相続人全員の印鑑証明書
⑧農地の固定資産評価証明書

※上記書類⑥⑦は、遺産分割協議を行った場合のみ、必要になります。

農業委員会への届出

農地の相続登記が終わった後は、次に市町村の農業委員会へ届出を行う必要があります。

農業委員会は、農地に関する事務を担当している組織で、農地の乱開発や宅地転用などを監視・抑制しています。

農業委員会は基本的に、各市町村に1つずつ置かれていることが多いですが、そもそも農業委員会が無い市町村などもあるため、自分の相続した農地がどの農業委員会の管轄かわからない場合は市町村役場に問い合わせましょう。

農業委員会への届出に必要な主な書類は、次の通りです。

①所定の届出書
②登記事項証明書(相続登記後発行のもの)

①所定の届出書のイメージは次の通りです。

(南信州豊丘村ホームページ(https://www.vill.nagano-toyooka.lg.jp/10sangyou/01nougyou/02nouchi/03souzoku/)より抜粋し、一部加工した)

また、相続で農地を取得した場合は、被相続人(故人)が亡くなったことを知った時から10ヶ月以内</b >に農業委員会に届け出る必要があります。

届出をするのを忘れないように注意しましょう。

田や畑(農地)を相続するメリットとデメリット

それでは、農地を相続するメリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。メリットから順に考えてみましょう。

農地を相続するメリット

農地を相続する一番のメリットは、農地を活用して作物を栽培することによって利益が得られることでしょう。

自分が上京していまっていて実家の農地で自分自身が作物の栽培ができないとしても、他人に貸すことによって、そこから利益を得ることもできます。

また、農地を一旦相続した上で、売却して利益を得るという方法もあります。

※農地は宅地と異なり需要が限定されるため、売却することができるかどうかを事前に不動産会社などに問い合わせることをおすすめします。

農地を相続するデメリット

農地を相続する際のデメリットとして頻繁に挙げられるのが、農地の管理に関する問題です。

東京23区に慣れてしまうとついつい忘れがちですが、田舎の田んぼや畑の周辺では、鳥獣が多く出没します。

畑を相続したものの後で利用方法を考えようと思い、つい放置してしまったりすると、鳥獣に畑を荒らされたり、近隣の方に迷惑をかけることがあります。

また、鳥獣のほかにも害虫や雑草の駆除も定期的に行わなければなりません。

このように、定期的なメンテナンスを必要とすることは必ず覚えておく必要があります。

また、相続の前に農地を貸す相手が決まっている場合は良いのですが、後から農地の利用者を探そうとすると、そもそも農地を利用したいという人が見つからない可能性があります。

万が一農地の利用者がいなくなってしまうと、せっかく相続した農地も、利益を生み出すどころか負の財産(いわゆる負動産)になってしまう可能性があります。

田や畑(農地)を相続するときの注意点

田や畑を相続するときの注意点についてまとめていきましょう。

農地の管理に関する問題

まずは、農地の管理に関する問題です。

管理に維持費がかかる

農地を相続した場合、管理にはそれ相応の費用がかかります。

他人に貸し出さずに自分で利用しようとした場合、定期的に農地まで足を運び、害虫駆除、建物の維持管理などを行う必要があります。

管理を代行してくれる業者もありますが、その場合でも費用の発生を避けることはできません。

利用者を見つけることが困難

2つ目の注意点は、農地の利用者を見つけることの難しさです。

自分が上京していて農地を利用しない場合、農地を誰かに貸し出したいと思ったとしてもそもそも農地の利用者を見つけることができないケースが多々あります。

農地の売却に関する問題

次に、農地の売却に関する問題です。

農地を売却する場合、その相手には制限が課されています。

具体的には、農地を売却する相手は、農家あるいは農地を所有できる法人であることや、営農計画を持っていること等の複数の条件があります。

仮に農業をする意思があったとしても、売却時点で農業を行っていない人には簡単に農地を売却できない点には注意が必要です。

また、売却する際には市町村の農業委員会に許可を申請する</b >必要があります。

この際に、農地の買主の営農計画書も必要になるため、買主が決まった後でしか申請できない点に注意しましょう。

なお、農地の種類によっては農業委員会から買主の斡旋をしてもらえることもあります。

まずは農業委員会に相談してみるのも一案です。

遺産分割に関する問題

最後に、よく発生する問題として、遺産分割協議がまとまらないという点があります。

遺産分割を行う際に相続人の中で農地に関する考え方が違うと、遺産分割協議がまとまらず、遺産分割協議書がそもそも作成できない可能性があることに注意が必要です。

おわりに

今回のコラムでは、田や畑といった農地を相続するときの注意点について解説しました。

農地を相続する際にトラブルが発生することはよくあります。

トラブルの1つの解決策としては、農地を宅地等に転用してしまうという方法があります。

しかし、農地を宅地等に転用する場合は、原則として農業委員会の許可を申請する必要があったり、駐車場やアパートにしようとした場合はその需要があるかどうかを判断したりと、手続が煩雑で慎重な判断が求められることが多々あります。

そのような場合、相続放棄をするという方法も考えられますが、相続放棄をしてしまうと全ての財産を放棄する必要があります。

故人が多くの資産を遺していた場合は安易に相続放棄を選択することはできません。

このように、田や畑といった農地を相続する際は多くの考慮要素があるため、自分で判断できない場合は、司法書士や弁護士、税理士といったそれぞれの分野の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

後々トラブルが発生することと比較すると、最初から専門家からアドバイスをもらって手続を進めた方が良いケースは非常に多いです。

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