安心して相続手続きを進めるためのコツ- 相続手続きの流れと、司法書士のサポートについて
身近な方が亡くなってしまった際の手続きの一つに相続手続きがあります。
相続手続きは法的な手続きを行うため、必要書類の準備や書き方に専門の知識が必要になるため、煩雑になりがちです。この記事では相続を行う際の注意点や、必要な書類などについて解説をします。
また、相続に関する専門家である司法書士のサポートを受けるメリットやおおよその費用についても解説します。相続でお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
相続手続きの流れ
被相続人が亡くなった後、一般的には3ヶ月以内に相続手続きを開始する必要があります。この期間内に相続手続きを完了させないと、単純承認とみなされ場合によっては被相続人の負債も引き継ぐことになる可能性があるため、注意が必要です。
まずは、何から手をつけるべきなのか整理していきましょう。
遺言書の確認
相続手続きを始めるにあたって、まずは遺言書の確認を行いましょう。
遺言書が存在する場合は、その内容に従って財産分与が行われます。
遺言書には『公正証書遺言』と呼ばれるものがあり、被相続人が証人と共に作成した遺言書のため、記載されている内容は改変のおそれが無いものとして扱われます。
なお、公正証書遺言以外にも、自筆で書かれた『自筆証書遺言』が存在します。自筆遺言が見つかった場合、相続人全員が揃っている状態で裁判所での開封が必要です。
万が一裁判所を通さず勝手に開封した場合、5万円以下の過料が科せられる可能性がありますので、注意してください。
相続人の確認
相続人とは故人の財産を引き継ぐ権利がある人のことをいいます。相続人には順位があり第一順位から第三順位まで決められています。
第一順位の相続人は故人の子供ですが、子供が既に亡くなっている場合は孫が相続人となります。第二順位は親、親が亡くなっている場合は祖父母。第三順位の相続人は故人の兄弟姉妹です。
第一順位の相続人が全員亡くなっているか存在しない場合、相続権は次の順位に移ります。
なお、故人の配偶者については存命の場合は必ず相続人となるため、順位に関係なく遺産を受け取る権利が発生します。
相続財産の調査
続いて相続する財産がどれだけあるのかを調べる必要があります。主な相続財産には以下のようなものがあります。
● 現金や預貯金
● 不動産
● 株式や債券などの有価証券
● 自動車や貴金属の動産
● 著作物などの知的財産
相続に際しては、プラスの財産だけでなく、故人が残した負債についても確認が必要です。相続を行う場合、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債)も同時に行う必要があるため、もしも故人の財産よりも負債の方が多い場合は相続放棄を行う必要があります。
主なマイナスの財産(負債)は以下のものが挙げられます。
● ローンや借金(キャッシング)
● 故人が負っている連帯保証債務
● 損害賠償債務
● 未納の税金
● その他支払いが済んでいない買掛金や未払い債務など(携帯電話料金など)
上記の他にも生命保険や死亡退職金、未支給年金などがみなし財産として相続税や所得税の算出の際に計上されますが、生命保険は受取人の固有財産として扱われているため、財産分与を行う際には計上されません。
相続放棄(限定承認)手続き
冒頭でも述べたとおり、相続手続きは基本的に3ヶ月以内に完了させる必要があります。3ヶ月以内に何の行動も取らない場合、自動的に『単純承認』したと見なされ、負債も含めた全ての財産を引き継ぐことになります。
プラスの財産>負債であれば問題ありませんが、負債の方が大きかった場合、自分が作ってもいない借金を負わなければなりません。
財産調査の結果、負債が財産を上回ることが明らかな場合、相続放棄を行うことで、財産と負債の双方を引き継ぐことを拒否することができます。
しかし、調査した結果プラスの財産は判明したが、負債についてはわからなかった場合『限定承認』と呼ばれる手続きを行うことで引き継いだ財産を限度に負債も負う条件で相続することが可能です。
限定承認を行うことで、相続した財産以上の負債を負うことはありませんので、安心して相続手続きを進めることができます。
相続放棄と限定承認では手続きにやや違いがあり、相続放棄は相続人一人一人で申請が可能ですが、限定承認は相続人全員の同意が必要となります。
相続税や所得税の申告
相続財産を単純承認、または限定承認で引き継ぐことを決めた場合、相続した金額によっては相続税の申告が必要です。
相続財産の基礎控除額は、3,000万円プラス相続人一人当たり600万円となります。したがって、配偶者と子供2人が相続人である場合、控除額は合計4,800万円となり、この金額までは相続税が非課税となります。仮に相続人が1人であっても最低でも3,600万円の非課税枠があるため、相続税が発生するケースはそれほど多くありません。(おおよそ92%の方が相続税非課税)
自身が相続する分の財産を計算した結果、相続税が発生する場合は10ヶ月以内に税務署への申告が必要となるため、忘れずに手続きを行いましょう。また、『相続財産の調査』の項で最後に述べたような未支給年金については受け取った方の所得税として計上する必要があり、こちらは確定申告での手続きが必要となります。
相続の際の注意点
相続手続きは法的な手続きになるため慣れない書類集めや書類作成が多く、今まで行ったことがない方が進めるのはとても骨の折れる作業になります。相続人が複数存在する場合、遺産をどのように分割するかを定めた遺産分割協議書の作成が必要です。遺産分割協議書は、相続人間で財産の分割方法や割合について合意し、その内容を文書化したものです。
この協議書を作成する際には、相続人同士の話し合いが必要になりますが、万が一相続人の中に所在不明の方がいた場合などは手続きに非常に時間がかかります。また、お金の話が絡むため、時には当事者だけでは話がまとまらないケースもあります。
この場合は司法書士や時には弁護士など法律の専門家へ依頼して、生前の個人との関係性なども加味して遺産分割協議書を作成することもあります。
相続税の申告についても専用の書式に沿って申請を行う必要があるため、ミスがないように注意が必要となります。自分で頑張って調べて申請したけれども、間違いがあったため結果的に司法書士や税理士に書類作成を手伝ってもらうケースもあります。
普段はあまり経験することのない作業が多いため、専門家への事前相談を通じて相続手続きを進めることが推奨されます。
相続手続きを司法書士へ依頼するメリットや費用について
相続手続きは一つ一つ行えば個人でも対応可能ですが、多くの方は普段の仕事や生活を行いながら手続きを進めることになるため、大変な負担となります。
相続の専門家である司法書士に依頼することで安心して相続手続きを進めることができる上に、プロのアドバイスをもらいながら親族との話し合いもできるため、余計なトラブルを回避することが可能です。
また、気になる依頼費用についてですが、実費を除き、おおよそ5〜8万円程度で司法書士に相続手続きを依頼することが可能です。遺産分割協議書の作成や、相続人の戸籍収集まで依頼した場合は7〜15万円程度が相場となっています。
困ったら司法書士に依頼するのがおすすめ
司法書士への依頼であればそれほど高額にはならないケースがほとんどですので、無理に自分で相続を進めようとせず、相続人同士で費用を分担するなどして安心して司法書士に相続手続きを行ってもらう方がよいでしょう。
特に不動産の名義変更(登記)手続きに関しては書類集めが非常に大変になるため、トラブルが起きてから依頼するよりも事前に司法書士に相談してから進めることがおすすめです!
まとめ
今回は相続手続きについてのポイントや注意点についてまとめました。故人が亡くなってから3ヶ月以内に行うことや、10ヶ月以内に行う相続税申告について解説しましたが、状況に応じて専門家である司法書士への相談もおすすめです。
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まずは状況の整理や、お見積もりも行うことができますので、ご予算に合わせたお手伝いも可能です。