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HOME 役立つコンテンツ 亡くなった夫は生命保険に入っていたのかわからない!生命保険照会制度を現役司法書士が徹底解説。

亡くなった夫は生命保険に入っていたのかわからない!生命保険照会制度を現役司法書士が徹底解説。

相続の相談を受ける場合、故人の財産にどんなものがあるのか確認するのですが、「生命保険に入っていたかどうかよくわからない」という声をよく聞きます。

生命保険は預金や自宅不動産と異なり、普段から使用するものではないため、存在を把握する方法が乏しいことが理由として挙げられるのではないでしょうか。

本コラムでは相続の手続をする必要があるけれども、生命保険に入っていたのかわからない場合にどうすればよいのか、その方法について詳しく解説していきます。

生命保険照会制度とは

故人が生命保険に入っていたのかどうかわからない場合、保険証券など、契約関係の書類を探してもかまいませんが、より確実な方法として「生命保険照会制度」というものがあります。

これは故人が生命保険に加入していたかどうか、加入していたとしてどの保険会社と契約をしていたのかを調べる制度で、2021年7月1日から始まった比較的新しい制度です。

制度の運営元は「一般社団法人生命保険協会」となります。

一般社団法人生命保険協会に故人の保険契約の有無を問い合わせると、照会制度事務局から全国の生命保険会社に一斉に該当の契約があるかどうか、照会がされます。

保険契約があってもなくても、照会制度事務局から必ず回答が来るため、「回答が来ないけど、生命保険はやっぱりなかったのかな…」と不安になることもありません。

照会制度利用の手続の流れ

手続方法は書面を郵送する方法と、オンライン上で行う方法の2つがあります。

まずは2つの手続きに共通するものから説明していきます。

申請ができる方

①照会対象者(生命保険への加入の有無を確認する対象者のこと)の法定相続人
※配偶者は常に法定相続人となりますが、内縁は含まれません。また、相続放棄した方は初めから相続人ではなかったことになるため、申請できません。

②照会対象者の法定相続人の法定代理人(親権者や成年後見人など)

③照会対象者の法定相続人の任意代理人(弁護士や司法書士など)
※行政書士や税理士、相続財産管理人、破産管財人からの申請はできません。

④照会対象者の遺言執行者(故人に遺言書があり、かつ遺言執行者が選任されている場合)

上記以外の人は申請をすることができません。
この記事を読んでいる方の多くは照会対象者の法定相続人に該当していると思いますので、次の必要書類は、法定相続人から申請をする場合を前提に説明していきます。

必要書類

法定相続人から申請する場合の必要書類は下記のとおりです。

①照会申請する方の本人確認書類(運転免許証・健康保険証・マイナンバーカード・住民票など)
②戸籍謄本等(相続人と被相続人の関係性がわかるもの・法定相続情報一覧図でも代用可能)
③死亡診断書
④申請書兼同意書(照会制度のマイページ登録後にダウンロードして記入)

オンライン上で手続する場合の流れ

オンライン上で手続をする場合の流れは以下の通りです。

①契約照会システムに新規ユーザー登録をしてマイページを作成する。
②(2)に基づいて必要書類を揃えて契約照会システムのマイページへアップロードする。
③審査を待つ(書類の不備がある場合はマイページへ連絡がある)。
④利用料金を支払う。
⑤契約照会結果を受け取る。

必要書類のアップロードはマイページから行います。スキャンしてPDFで行うことが通常ですが、スキャンができない場合はスマートフォンなどで撮影した画像をそのままアップデートすることも可能です。

オンラインによる手続を選択する場合、すべてマイページ上で手続を行います。照会の進捗状況や、利用料の支払い、回答結果もマイページから確認できるため便利ではありますが、照会事務局に電話をして手続きがどこまで進んでいるかなどの質問には応じてもらえない不都合さもあります。

書面を郵送する場合の手続きの流れ

書面を郵送する方法による場合の流れは以下の通りです。

①照会制度事務局の入力フォームに書類の送付先などを登録。
②照会制度事務局から照会申請書類が郵送される。
③照会申請書類に必要事項を記入し、必要書類を揃えて返送。
④利用料金を支払う。
⑤契約照会結果を受け取る。

郵送による場合のデメリットとしては、書面申請もできますが、書面の発送・到着に日数がかかるため、オンラインよりも時間がかかる点です。相続税の申告があるなど、お急ぎの事情がある方はオンラインによる手続を検討するのがよいでしょう。

照会制度の注意点

生命保険に入っていたかどうかわからない場合に有効な照会制度ですが、以下のような注意点もあります。

制度を利用できる場面が限定されている

制度を利用できるのは以下の3つに限られます。

①照会対象者が死亡した場合
②照会対象者が認知症などにより判断能力が低下している場合
③災害などにより照会対象者が行方不明になっている場合

つまり、「自分は元気だけど、どこの生命保険に入っているのかわからなくなってしまった」という場合にはこの制度の利用ができません。

すべての保険が照会対象となるわけではない

照会対象となるのは、「照会時点で有効な個人の生命保険契約」に限られます。

下記のような保険契約は照会対象外です。
①財形保険契約
②財形年金保険契約
③既に支払いが開始した年金保険契約
④保険金等が据え置きとなっている保険契約

調査でわかるのはあくまで「保険会社と保険の有無」のみ

調査でわかるのは、「どこの保険会社と契約をしているか」「保険があるかどうか」のみで
生命保険の種類や金額、内容まではわかりません。
また、生命保険の受取手続について照会事務局を通して行うことはできません。

調査の後はどうすればよいか

調査の結果、生命保険に加入していることが分かった場合は、保険会社のコールセンターなどに連絡をして、契約者が亡くなったことを伝えて、生命保険の受取について、手続の流れを確認しましょう。

連絡の際は、照会制度を利用した旨を申出ます。

場合によっては電話での対応はしてもらえない可能性もありますが、保険会社の指示にしたがって、手続を勧めましょう。

終わりに

生命保険は相続税の計算上、財産評価がされるものでありますし、相続発生後の遺族の生活資金となることもあります。
生命保険に加入しているかどうかわかないからといって諦めずに、この照会制度をうまく利用しましょう。
手続について詳しく知りたい方は一度専門家へご相談ください。

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