相続手続きを自分で行うことは可能?専門家に任せた方が良いケースや流れ・必要書類も解説
相続が発生すると、様々な手続が発生します。本来なら専門家に全て任せたいけれども、費用面が気になり自分でやろうかな…と考える人も少なくありません。
今回は、相続手続を自分でやることは可能なのかどうか、専門家に任せたほうがよいのはどのようなケースなのか、といった内容を解説します。
目次
1 結論、相続手続を自分で行うことは可能
相続手続を自分で行うことは可能です。
ただし、内容によって自分で行うことについてメリット・デメリットが存在します。
2 相続手続を自分で行うメリット・デメリット
(1)相続手続を自分で行うメリットは費用を節約できること
相続手続を自分で行う一番のメリットは「費用の節約」です。
相続手続の内容は多岐に渡り、不動産の名義変更や預貯金の相続手続であれば司法書士、相続税の申告や税務相談であれば税理士など、手続の内容によって相談・依頼をする専門家が異なります。
必要な手続全てを専門家に依頼するとなると、数十万円~数百万単位で費用が発生することもあります。
自分で手続を行うことができれば、資料収集費用や郵送費、印紙代などの実費部分のみの負担になるため、費用を大きく節約することができます。
しかし、相続手続は専門的な知識が必要な場面もあり、自分で行うことでかえって時間と手間がかかってしまう場合もあります。
(2)時間や手間がかかるデメリットとリスク
①複雑な遺産分割協議の対応
相続人が複数人いる場合に、遺産をどのように配分するか話し合うことを「遺産分割協議」といいます。
この遺産分割協議が複雑になる場合は、自分で行うことについてリスクがあるといえます。
まずリスクが出てくる場面としては、遺産分割協議をする相続人の複雑性です。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人が単純に、故人と同居していた配偶者と子供、であれば話し合いもスムーズにできることが多いでしょう。
しかし、長年疎遠だった兄弟や、面識の無い異母兄弟が相続人となる場合は、話し合いそのものが困難になることも多いでしょう。
このような遺産分割協議を専門家の関与なしに行うと遺産分割協議が調うまでに膨大な時間がかかってしまったり、戸籍の読み間違いにより相続人を漏らして協議をしてしまうリスクもあります。
次に、遺産分割協議の内容の複雑性です。
例えば、故人の所有していた不動産を、長男が相続する代わりに二男と三男には代償金として現金を支払う、という遺産分割協議であった場合、不動産を金額で評価する必要があります。
この不動産の評価方法はいくつかあり、正しく、そして相続人が納得するように評価するには専門的知識が必要になります。
自分で不動産の評価を行い、後で正しく評価できていなかったことが発覚すると、トラブルの原因となります。
このように、遺産分割協議の内容によっては自分で行うことはリスクが発生する場面もあります。
②相続税申告が必要な場合の負担
遺産が一定金額以上存在すると、相続税の申告が必要となります。
この相続税の申告は、相続開始から10ヶ月以内と決められています。
「10ヶ月」と聞くと比較的余裕があるように感じるかもしれませんが、申告手続に必要な資料は多岐に渡り、収集作業だけでも時間がかかります。
また、自分で手続をするのであれば、納税すべき相続税の計算も自分で行わなければならず、仮に計算ミスや申告漏れが発覚した場合、後日追徴されることもあります。
特に不動産など自分で評価をしなければならない財産がある場合は要注意です。
③登記漏れなどのミスが生じる可能性が高い
不動産の名義変更をする場合、自分で名義変更する不動産を指定して手続を行う必要があります。
したがって、指定から漏れてしまった不動産は名義変更が完了しません。
不動産の特定は毎年役所から送られてくる固定資産税の納税通知書や故人の権利証で行うことになるのが一般的ですが、内容によっては見方もややこしく、知識が無いと難しいこともあります。
このように、自分で手続を行うことで、ミスが発生するリスクもあります。
3 相続手続を自分でできるケースと難しいケース
(1)自分で相続手続を始めてもよいケース
①相続人が少ない、又は全員と日常的に連絡が取りあえる状態にある
相続人が少ない、又は全員と連絡がすぐに取れる状態であれば、戸籍の収集作業や遺産分割協議がそれほど困難ではないので、自分で手続を始めてみてもよいでしょう。
②相続財産が少ない
相続財産が少なければ、遺産分割協議や手続が複雑になることはないので、自分で手続を始めてみてもよいでしょう。
③時間と手間をかけても問題が無い場合
相続税申告の必要もなく、財産が預貯金のみ、相続手続が完了しなくても遺族は生活に支障が出ないような状態であれば、ある程度時間をかけてもリスクが少ないため、自分で手続を始めてもよいでしょう。
④遺産に不動産が含まれない
不動産の名義変更は、先ほど解説したように登記漏れの可能性があったり、法務局提出用の登記申請書の書き方が細かかったりと、手続としてやや難しいため、遺産に不動産が含まれない場合も自分で手続を始めてもリスクは少ないでしょう。
(2)相続手続を専門家に依頼したほうが良いケース
①連絡が取りづらい、もしくは面識の無い相続人がいる
連絡が取りづらい相続人がいる場合、自分で進めようとしても連絡を無視されてしまったり、揉めてしまったりすることもあります。
また、異母兄弟などで面識が無い相続人がいる場合も同様です。そもそも連絡手段がないため、住民票の住所を調べて手紙を出すことになりますが、手紙の書き方によってはトラブルに発展してしまいます。
②借金その他の負債がある
故人の借金その他の負債を引き継ぎたくない場合、相続開始から3ヶ月以内に相続放棄をする必要があります。
自分で進めていたら、いつの間にか期限が過ぎてしまうケースもあります。
また、家庭裁判所での手続となるため、間違えたりしてしまうと相続放棄ができなくなってしまう可能性もあります。
③相続税が発生する場合
相続税が発生する場合、申告期限内に財産額や納税額を計算して税務署に申告する必要があります。
申告に必要な資料は多岐に渡り、自分で進めていくことで準備だけで期限が過ぎてしまうケースもあります。
また、相続税の計算は専門的知識が必要となるため、計算ミスが起こりやすいです。
4 相続手続きを自分で行うための基本的なステップ
(1)故人の財産調査の進め方
まずは相続手続が必要になる財産を確定させる必要があります。
財産の種類に応じて調査方法が異なります。
不動産であれば役所で名寄帳を取得したり、法務局で登記事項証明書を取り寄せたりすることで調査することができます。故人の権利証を探してみるのも方法の一つです。
預貯金であれば該当の金融機関に残高証明書や取引履歴を依頼したりすることで調査できます。
株式であれば証券会社に残高証明書やほふりの請求をかけることで調査が可能です。
各種資料を取り寄せたら財産目録を作成しましょう。
①財産目録の作成方法
財産目録とは、故人の財産の内容が一目でわかるよう一覧にしたものです。
預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても記載する必要があります。
財産目録には、「不動産」「預貯金」など相続財産の名称だけでなく、種類、数量、所在、価額などその内容や金額まで特定できるような情報まで記載します。
財産目録は、特に決まった書式というものがありません。
ただ、財産目録はその後の遺産分割協議をスムーズに行うためのものであるため、以下のポイントがあります。
・財産の特定ができるように詳細に記載する
財産が特定できないと意味が無いため、具体的な情報を記載しましょう。
不動産であれば所在、地番(家屋番号)、地積(床面積)、預貯金であれば銀行名、支店名、口座の種別、口座番号などです。
・価額はいつの時点で何を基準とした評価額かを明確にする
株式など、随時価額が変動する財産もあるため、財産目録にはいつの時点で評価した金額なのか明記しておくのが良いでしょう。
②隠れた財産や負債の確認方法
相続人が把握していなかった財産や負債があるかどうか、確認する方法はあるのでしょうか。
この点、以下のような方法により確認することができます。
・不動産
役所にて名寄帳を取得することで、当該市区町村に故人が所有していた不動産が一覧で確認することができます。
固定資産税が非課税であったり、第三者と共有になっていたりすると納税通知書には表れないことがあるので、名寄帳の取得は有効です。
・預貯金
預貯金の場合は「全店照会」という制度があります。
銀行の窓口で全店照会を依頼すると、同じ銀行内の異なる支店の口座についても調査をしてもらうことができ、当該銀行に保有する全ての口座を洗い出すことが可能となります。
(2)遺産分割協議の進め方と書類の作成
遺産分割協議は、相続人全員の参加が必須です。もし一人でも参加しなかった相続人がいる場合、その遺産分割協議は無効となります。
ただし、家庭裁判所で相続放棄をした人は、遺産分割協議に参加する必要はありません。
全員の参加と言っても、必ずしも全員が一堂に会して話し合いをしなければいけないわけではありません。
遠方に住んでいたり、忙しくて直接会えない場合は手紙やメール、LINEでのやり取りでもかまいません。
相続人全員の合意をもって、遺産の分配方法が決まっていれば問題ありません。
実際の遺産分割協議の方法ですが、「どの財産を」「誰が」「どの割合で」相続するのか、具体的に決めましょう。
不動産は配偶者、預金は長男と次男で半分ずつ、など遺産ごとに割合を決めることが可能です。
なお、民法には「法定相続分」が定められていますが、遺産分割協議により法定相続分とは異なる分配方法を定めることは全く問題ありません。
遺産の分配方法が定まったら、「遺産分割協議書」を作成しましょう。
口頭での遺産分割協議も法律上は有効ですが、実際に相続手続を行う場合は必ずと言ってよいほど遺産分割協議書の提出が求められますし、後々のトラブルを避けるためにも書面は作成しておきましょう。
書式は特に決まったものはありません。手書きでもWord作成したものでもかまいません。
とはいっても、内容や記載方法に不備があれば、遺産分割協議書が無効なものと判断され、相続手続に支障が出てしまうこともあります。
作成にあたってはある程度のポイントはおさえておきましょう。
・故人の情報を入れる
故人の最後の住所や本籍、名前、死亡年月日などの記載をして、誰に関する遺産分割協議なのか明確にしましょう。
・誰が、どの財産を相続するのか明確にする
遺産を正しく表示することが大切です。
不動産であれば住所ではなく、登記簿謄本の記載通りに書きましょう。「自宅」といった記載も無効になりやすいです。
預貯金であれば銀行名、支店名、口座の種別、口座番号など、どの口座なのか特定できるような情報を盛り込みましょう。
・作成日付を入れる
遺産分割協議書を作成した日付を必ず入れましょう。相続人間で持ち回りで署名捺印を行う場合は、最後に署名捺印した相続人が日付を記入するのがよいでしょう。
・相続人全員が署名捺印をする
捺印は実印となります。印鑑証明書の用意もしておきましょう。
・後日見つかった財産の分配方法についても記載しておく
遺産分割協議を行ったタイミングでは把握できなかった財産が後日見つかる場合もあります。
そんなときのために、遺産分割協議書に記載のない財産についても、分配方法を定めておけば、後日遺産分割協議をやり直す必要がなくなります。
(3)遺産分割協議がまとまらない場合の解決方法
遺産分割協議がまとまらない場合の解決方法は大きく以下の2つがあります。
・弁護士に遺産分割協議の仲介を依頼する
相続人同士で話がまとまらないのであれば、弁護士に間に入ってもらい、話し合いを進めていく方法もあります。法律の専門家である弁護士が仲介することで、納得のいく分割案が生まれたり、話し合いが進んでいくケースもあります。
・家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
遺産分割調停では、調停委員が相続人同士の話し合いに加わり、相続人全員が納得できる分割案を模索します。
それでもなお合意が成立しない場合には、裁判所が審判により遺産分割方法を決定します。
遺産分割調停は数か月から半年、それ以上かかることも多く、時間や費用の負担は大きくなるでしょう。
(4)不動産や預貯金の名義変更手続きの方法
①相続登記の基本手順と注意点
不動産名義変更(相続登記)の基本的な手順は以下の通りです。
・相続する不動産の確認
・遺産分割協議により誰が相続するか確定させる
・相続登記に必要な書類を収集、作成する
・管轄の法務局にて登記の申請を行う
相続登記には、一般的に以下のものが必要です。
・故人の出生から逝去までの連続した戸籍、除籍、改製原戸籍
・相続人全員の戸籍
・故人の住民票除票
・不動産を相続する人の住民票
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・不動産の固定資産税評価証明書
これらの書類を集めたら、「登記申請書」を作成します。
この登記申請書は手書き・Word何でもよいですが、書き方が決まっており、異なる書き方をしてしまうと、やり直しになってしまうこともあります。
作成にあたっては法務局に相談することも検討しましょう。
名義変更が無事に完了すると、不動産を相続した人に新たな権利証が発行されます。
②銀行口座の解約・名義変更手続の進め方
銀行口座の解約手続の一般的な進め方は以下の通りです。
・銀行に口座名義人が亡くなったことを通知、口座の凍結
・必要書類の収集
・銀行へ必要書類の持参・送付
口座の名義人が亡くなったことを通知すると、その時点で口座が凍結になります。
対象の口座から何か引き落しがされている場合は事前に引き落し先を変更しておくなどの対応が必要です。
必要書類は相続登記とほとんど同じになりますが、銀行によっても異なるため、銀行担当者によく確認をしましょう。
必要書類に問題が無ければ、後日銀行口座が解約されて、相続人の口座に送金されます。
5 相続税の申告が必要な場合の対応
(1)相続税申告の概要と必要書類
相続税は、相続が発生したら必ず納税義務があるとは限りません。
「基礎控除」といって、遺産の総額が一定額までであれば相続税の申告及び納税は不要です。
その基礎控除ですが、以下の計算式によって算出した金額となります。
3000万円 + (600万円 × 相続人の人数)
相続人の人数には相続放棄した人も含みます。
遺産の総額がこの計算式によって計算した金額を超える場合は、管轄の税務署へ相続税の申告及び納税が必要となります。
相続税の申告に一般的に必要となる書類は以下の通りです。
実際には遺産の種類・内容や遺産分割協議の内容により必要書類が異なる場合もあります。
なお、2018年4月から相続税申告に必要な書類のほとんどはコピーでも可能となりました。
必ず原本が必要になるのは印鑑証明書のみです。
・必ず必要になるもの
□ 故人の出生から逝去までの戸籍、除籍、改製原戸籍
□ 故人の住民票除票
□ 相続人全員の戸籍謄本(相続開始後10日以上経過したもの)
□ 相続人全員の住民票
□ 相続人全員の印鑑証明書
□ 法定相続情報一覧図
□ 遺産分割協議書
□ 葬儀費用の領収書
□ お布施のメモ
・遺産に不動産が含まれる場合に必要になるもの
□ 固定資産税評価証明書
□ 名寄帳
□ 登記事項証明書
□ 公図・地積測量図
□ 住宅地図
・遺産に預貯金が含まれる場合に必要になるもの
□ 残高証明書
□ 預金通帳
□ 取引履歴
□ 既経過利息計算書
・遺産に株式が含まれる場合に必要になるもの
□ 取引残高証明書
□ 配当金支払通知書
□ 非上場株式の関連書類
・生命保険がある場合に必要になるもの
□ 生命保険支払通知書
□ 保険証書
・負債がある場合に必要になるもの
□ 借入残高証明書
□ 金銭消費貸借契約書
(2)申告期限と納税方法
①申告期限
相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月以内となります。
申告先は、故人の最終住所地の税務署です。
②納税方法
納税方法は、以下の4つがあります。
・銀行など金融機関での納付
・コンビニでの納付
・クレジットカードでの納付
・税務署の窓口での直接納付
相続税は原則として一括納付となります。
(3)相続税を自分で申告する際の注意点
相続税申告の手続を自分で行う場合の一番の注意点は「財産の申告漏れ」です。
財産調査が不十分であったために申告から漏れてしまっていた財産があることが発覚した場合、過少申告となり追徴課税がされる可能性もあります。
他には、不動産がある場合にその評価が適切にできていないことにより税金を納めすぎてしまったり、反対に不足していたりすることもあります。
自分で相続税申告を行う場合は、このようなリスクがあることを考慮し、よく検討されることをおすすめします。
6 相続手続を自分で行うことで見落としがちな点や注意点
(1)期限
相続手続には、期限が特段設けられていないものもありますが、「期限がしっかり決まっているもの」もあります。
例えば相続放棄は「相続開始から3ヶ月以内」、相続税の申告は「相続開始から10ヶ月以内」などです。
自分で手続を進めていて、必要書類の収集や資料の作成に時間がかかっている間に気が付いたら期限が過ぎてしまった、という可能性もあります。
期限は常に意識しながら進めてくことが大切です。
(2)財産調査不足
財産調査が不足していることで、手続から漏れてしまう財産が出てきてしまうこともあります。
不動産であれば家屋が建っている土地の他、私道部分の持分を所有していることもありますが、
この私道部分の名義変更が漏れてしまうケースが多いです。
また、預貯金の場合は、遺品から見つかった通帳しか所有していないと思ったら実際は他にも口座を持っていた、という可能性もあります。
このようなことがあると、後日改めて手続をしないといけない手間がかかりますし、相続税申告が必要な場合は修正申告が必要となります。
(3)知識不足によるリスク
相続税は、どの相続人がどの財産を取得するかによって、納税すべき税金が大きく変わることもあります。
知識がないまま遺産分割内容を決めてしまい、本来節税できたはずができなかったケースもあります。
また、知識がないために自身に一方的に不利な遺産分割内容に応じてしまうことも考えられます。
7 自分で手続を行う場合に注意すべき法的リスク
(1)相続放棄や限定承認の手続が複雑化する場合
相続放棄や限定承認は相続開始から3ヶ月以内と決まっています。
はじめから相続放棄や限定承認することを決めている場合は良いですが、財産調査をしてからどうするか決めたい場合に、調査に時間がかかるようなら、期間延長の手続をとることも検討すべきです。
3ヶ月の期間が過ぎてから「財産調査に時間がかかってしまったんです」と家庭裁判所に申し出てもそれは認められません。
また、相続放棄や限定承認を検討する場合、遺産の処分行為や故人の債務弁済などは原則として認められません。
これらに該当すると判断されてしまうような行為は避けましょう。
(2)遺留分侵害額請求などのトラブルに巻き込まれるリスク
故人が遺言書を遺していた場合、内容によっては「遺留分侵害額請求」といって他の相続人から金銭の支払いを請求されることもあります。
請求された金額が適切かどうかも含めて、知識が無いと判断が難しいこともあります。
請求されてしまった場合に、自分で対応するとリスクがあると言えるでしょう。
8 専門家に依頼する場合の判断基準
(1)相続が複雑な場合に司法書士や税理士に依頼すべき理由
相続人の中に疎遠な人や面識が無い相続人がいる、財産が多岐に渡る、など複雑な場合こそ、正しく進めいかないと後々のトラブルに発展しやすいものとなります。
このような場合は司法書士や税理士に依頼を検討すべきと言えます。
①どのタイミングで専門家に依頼するのが適切か
トラブルのもとになりそうなことが発覚した時点で専門家に相談・依頼をするのがよいでしょう。
例えば戸籍収集は自分で行ったが、知らない相続人がいる可能性がある、自分の把握していない借金の契約書が見つかった、などです。
早い段階から専門家に関与してもらうことで、トラブルを未然に防ぐこともできますが、時間が経ってからでは遅いこともあります。
②依頼費用と時間短縮のバランスを考慮するポイント
専門家へ依頼する範囲が広いほど、依頼費用も高額になることが多いです。
費用を少しでも抑えたい場合は、「何を」「いつまでに」行うか決めておき、自分で進めていく中で期限までに間に合いそうにない場合は依頼を検討するのもアリでしょう。
また、相続放棄などそもそも期限が決まってしまっている手続がある場合は、まずは専門家に相談し、手続の全体像を把握したうえで自分でできそうな部分はやってみる、という姿勢もよいでしょう。
9 まとめ
相続手続は自分で行うことも可能です。
しかし、手続によってはリスクやデメリットも存在するため、それらを考慮しながら自分でやるのか、専門家に依頼するのか検討の必要があります。
自分で進めることを考えている場合でも、一度専門家に相談して、本当にリスクがないか確認することも大切です。
故人の大切な財産を引き継ぐ手続です。トラブルなく、慎重に進めていきましょう。