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遺産相続で起きたトラブル体験談|実際の事例とその解決策

家族が亡くなり相続が発生すると、相続人間で誰がその遺産を相続するかで揉める場合があります。

生前、相続について合意ができている場合や遺言書がある場合には、相続開始後にトラブルに発展する可能性は低いでしょう。一方で、親族間で仲が悪かったり遺言書の内容に不満がある場合には、遺産分割協議でうまく合意形成が図れないこともあるでしょう。

仲が良い家族でもお金の問題が絡むと複雑な相続トラブルに発展する可能性があります。具体的にどのような問題が起きどのように解決を図るかを知っておけば、いざというときに適切な対処を取れるようになるでしょう。

この記事では、遺産相続で実際に起きたトラブルに関する体験談やその解決方法について解説していきます。

1 遺産相続トラブルの原因や背景

遺産相続で揉める主な原因は以下の3つです。

・遺言書の不備や誤解によって起こるトラブル

・不公平な分割への不満によって起こるトラブル

・生前贈与によって起こるトラブル

(1)遺言書の不備や誤解によって起こるトラブル

遺言書の内容が一部の相続人とって不公平なものとなっていた場合、遺言書の内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。

たとえば、父が亡くなり相続人が妻と3人の子どもだった場合に、「遺産の全てを長男に相続させる」などと記載されていた場合です。この場合、他の相続人は自身の取り分である遺留分を含めて公平な相続を主張する可能性が高いです。

また、日付や署名・押印がない遺言書など形式的に不備がある場合や、被相続人が誤解したまま遺言書を作成していた場合には、遺言書の有効性について裁判などで争われる可能性もあるでしょう。

(2)不公平な分割への不満によって起こるトラブル

法定相続分ではなく話し合いで遺産の分配方法を決定する場合、不公平な相続により不満が生じる可能性があります。

たとえば、親族で発言力のある親族が分配方法を勝手に決めてしまったり、長男だからという理由で相続財産を独り占めするようなケースが挙げられます。

また、あきらかに評価額の高い不動産を長男が相続して、数十万円しかない預貯金を他の相続人で分け合うよう指示されたケースでも揉める可能性が高いでしょう。

亡くなった方を長年世話してきたことを理由に取り分の増額を主張した場合には、増額を認めない他の相続人とトラブルになる恐れがあります。

(3)生前贈与によって起こるトラブル

亡くなった方が生前多額の財産を贈与していたことで揉める場合もあります。

たとえば、生前仲のよかった長女に土地と建物を贈与していたようなケースです。このケースでは、「本来であれば相続人全員で分配する必要のある財産を独り占めしているのだから、その分、遺産の取り分も少なくしろ」と他の相続人から主張される可能性があります。

生前贈与が法律上の「特別受益」にあたる場合には、遺産分割において考慮して相続人間の公平を図ることになります。

「特別受益」にあたるかどうかの判断は専門的知識が必要になるので、自身の取り分を侵害されていると感じたら早めに専門家に相談することをおすすめします。


2 体験談①:遺言書がなく、兄弟間で争いに

相続トラブルでよくある体験談を3つご紹介します。まずは、遺言書がない場合の相続トラブルです。

(1)背景:父親が遺言書を残さず亡くなったケース

父が多額の遺産を残して亡くなったケースです。相続人は子ども3人(長男・次男・三男)だったものの、遺言書がなく誰がどの財産をどの程度相続するのかを巡り、揉めてしまいました。

本来であれば法定相続分通りに分配するのが原則ですが、単純に分割できない土地や建物が遺産に含まれていたために、それらをどのように分配するかで言い争いになっています。

また、生前住んでいた自宅も父名義になっていたため、その自宅を処分するのか、誰かが代わりに住むのかでも意見が対立しています。

さらに、父の自宅近くに住んでいた長男は、生前身の回りのお世話を積極的に行っていたことから法律上の寄与分を主張しました。

一方、次男は生前父からマンションを贈与されていたことから、長男や三男は特別受益を主張し遺産取り分の減額を主張しています。

(2)解決方法:家庭裁判所で調停を経て解決

当事者それぞれに言い分があり、話し合いで合意形成を図るのは難しい状態でした。相続人それぞれの配偶者も意見するなど建設的な話し合いができない状態だったため、家庭裁判所に調停を申し立てて第三を挟んでの解決を目指すことになりました。

遺産分割調停では、裁判所の調停委員が公正・中立的な立場で解決策を提示してくれます。直接顔を合わせることなく話ができたため、冷静に話し合いを進めることができました。最終的には相続人全員が納得する形で相続手続きを終了させることができています。


3 体験談②:生前贈与を巡る兄弟間の争い

生前贈与に関して揉めるケースをご紹介します。

(1)背景:親が一部の兄弟に生前贈与を行っていた

亡くなった父親が長男に多額のお金を贈与していたことが、相続開始後に発覚しました。父の手帳などからわかる範囲で約300万円が仲の良かった長男に贈与されていましたが、正確な金額はわかりません。

相続人である長女は「本来であれば300万円は相続の対象になるはずだったのだから、その分、長男の取り分を減らしてくれないと不公平」だと主張しましたが、長男は「そんなお金をもらった証拠はない」との一点張りで話になりませんでした。

数ヵ月に渡り交渉を行いましたが話し合いがまとまる目処がたたなかったため、家庭裁判所に調停を申し立てて第三者を挟んでの解決を目指すことになりました。

(2)解決方法:調停を通じて公正な分割が決定

調停では裁判所の調停委員が贈与額や贈与時期などを慎重に判断し、相続財産に贈与額を追加した金額を遺産分割の対象とするのはどうかと提案しました。長男は納得できなかったものの、これ以上解決を長引かせるのは得策ではないと考え提案通りの分割に応じることになりました。


4 体験談③:遺言書の内容に不満があり争いに

遺言書の作成は遺産相続トラブルを回避するためには有効ですが、内容に偏りがあると争いの火種となる場合があります。

(1)背景:遺言書の遺産割合に偏りがあり、反発した兄弟が出た

亡くなった父が遺言書を作成していたものの、遺言書の内容が不公平で争いになったケースです。遺言書に記載されていた主な内容は、以下のとおりです。

妻:預貯金の半額を相続させる(約100万円)

長男:所有する不動産(評価額1億円相当)およびマンションの経営権を相続させる

次男:預貯金の半額を相続させる(約100万円)、保有株式を相続させる(非公開会社の株式)

長女:相続分なし

生前父と疎遠になっていた長女に相続させる旨の記載はありませんでしたが、長女としては少なくとも法律上の取り分は認められるべきだと主張しました。

他の相続人も取り分の不公平があることに不満を抱いていたため、話し合いでの合意形成は困難な状態となっていました。

(3)解決方法:調停での合意形成

遺産分割調停では、遺言書に基づく相続を原則としつつ、長女の遺留分も含めて公平な相続を実現できるようさまざまな提案を調停委員が行いました。

複数ある不動産のうち一部を売却して相続人間で分配したり、依頼した司法書士に未公開株式を適切な形で算定してもらうなど柔軟に対応した結果、無事全員が納得した形で相続することに成功しています。


5 相続トラブルを防ぐためにできること

相続トラブルを未然に防ぎ、相続人間の関係が悪くなるのを防ぐためには、以下の3つのことを心がけるとよいでしょう。

・相続トラブルや争いが発生したらすぐに弁護士や司法書士に相談する

・法的効力を持った遺言書を用意しておく

・遺産や相続物が多い場合には、生前から家族観で共有・相談を行っておく

(1)相続トラブルや争いが発生したらすぐに弁護士や司法書士に相談する

遺産分割協議で話し合いがまとまらない場合や遺言書の内容に不満がある場合には、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

親族間で特にお金が絡む問題の場合、当事者同士で話し合っても問題の解決に至らないケースも多いです。法的知識が不十分なままお互いの感情のままに話し合うと、建設的な話し合いは期待できません

交渉が長引くと遺産の有効活用ができなくなってしまったり、時効などの関係で特別受益や寄与分を主張できなくなったりするリスクもあります。

遺産相続の経験豊富な専門家であれば、依頼者の状況に合わせて柔軟に解決方法を提示してもらえます。遺言書の作成や家族信託を利用した生前対策で相続トラブルを未然に防いだり、法的知識に基づいた主張で冷静に相続人の間を取り持ったりすることができます。

相続人・財産調査や主張の裏付けとなる証拠収集のサポートなども行ってくれるので、自分1人で対応しなければならない精神的負担から解放されるでしょう。

相談するタイミングが早ければ早いほど対応できる幅も広がります。相談したからといって必ずしも依頼しなければいけないわけではないので、トラブルが悪化する前に、一度専門家に相談してみましょう。

(2)法的効力を持った遺言書を用意しておく

相続人間で争いになるのを未然に防ぐには、法的効力を持った遺言書を作成しておくのがよいでしょう。

亡くなった方の意向を示す遺言書があれば、その通りに分配することで相続人間の不満を減らすことができます。遺言書の内容が不公平だと揉める可能性もありますが、公平な相続内容であればスムーズに話し合いが進むでしょう。

遺言書の形式に不備があると遺言書自体が無効になってしまうリスクがあるため、法的に有効な遺言書を作成するためにも弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談するのがおすすめです。

法律の専門家であれば、遺言書の形式だけでなくその内容についても精査できます。法定相続分とは異なる割合で相続させたい場合には、その理由を付言事項として遺言書に記載した方がいいなどのアドバイスをもらえます。

公正証書遺言にしておけば方式不備で無効になる恐れもなく、遺言書の内容を偽造される恐れもありません。弁護士や司法書士に依頼すれば証人になってもらえるだけでなく、相続発生後に遺言執行者としてスムーズな相続を実現してもらうことも可能です。

(3)遺産や相続物が多い場合には、生前から家族間で共有・相談を行っておく

土地や建物などの不動産や多額の預貯金、評価の難しい株式などが遺産に含まれている場合には、相続が発生する前から家族間で意識の共有を図っておくことが重要です。

被相続人がまだ亡くなる前であれば、お互いに意見を言い合って納得いく形で遺産を相続できます。不動産や未公開株式などは評価が難しいケースも多いので、あらかじめ相続の関係者全員で対応方法を話し合っておくメリットは大きいです。抽象的に話し合うのではなく、誰がどの財産をどれくらい相続するのか具体的に話し合っておくことをおすすめします。

ただし、相続が発生する前の話し合いには法的効力がありません。被相続人も交えて話し合いをしたとしても相続開始後にそれとは異なる主張をされる場合や、遺言書に異なる内容が記載されるケースもあることを頭に入れておきましょう。


6 まとめ

どんなに仲の良い家族でも、相続の発生を機に相続トラブルが激化するケースも珍しくありません。多額の遺産を相続した場合や遺言書の内容が不公平だった場合には、遺産分割協議がスムーズに進まない可能性が高いです。

遺産相続で揉める可能性がある場合には、被相続人がまだ生きている段階で話し合いを行っておくのがよいでしょう。話し合いに法的な効力はありませんが、生前贈与や遺産の相続先についてのわだかまりをなくすことができます。

交渉が長引けば精神的ストレスが増大し、相続税を抑えられる特例なども利用できなくなる可能性があります。相続人間での解決が図れないと裁判にまで発展し、解決までに数年単位での時間がかかるケースもあるでしょう。

(1)遺産相続でのトラブルを避けるための事前準備が大切

相続人間で無用なトラブルを避けるためには、遺言書の作成や家族信託など生前から遺産を整理しておくことが重要です。

相続が発生してから初めて遺産の分配方法を考え始めると、「私は長い間父の世話をしてきたのだからその分多めに遺産をもらう」「生前、大学の入学祝いで100万円もらっているのだからその分遺産の取り分を減らしてもらう」などとお互いの主張を言い合い交渉が激化する恐れがあります。

遺産相続が発生してから対処することも大切ですが、それ以上に事前準備をしっかり行い相続トラブルを起こさないことを心がけましょう。

(2)遺言書と専門家のサポートを活用し、家族間の争いを未然に防ぐ

遺言書の作成を検討しているのであれば、弁護士や司法書士などのアドバイスを受けることをおすすめします。

法律の専門家であれば、遺言書の正しい形式や不満が出ない遺言書の内容について的確なアドバイスをもらえます。公正証書遺言を作成する際の証人や遺言執行者についても依頼できるので、安心して相続手続きを進めることができます。

遺産相続トラブルは誰にでも起こり得る問題です。「家族間の問題は家族で解決する」と考えている方も多いですが、対応が遅くなると取り返しがつかないことにもなりかねません。

生前対策や相続発生後のトラブルに悩んでいる場合には、SAKURA司法書士法人までぜひお気軽にご相談ください。

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