相続無料相談の活用法|手続きで困ったときの解決策

遺言書の内容に不満があったり、相続人の一人が遺産を使い込んでいるケースなど、相続の場面では対応方法につき悩むケースも多いです。多額の遺産や家族間の感情面が関わる相続の場合、当事者同士で話し合いをしても問題が解決しないケースも多いでしょう。
弁護士や司法書士など相続に関して相談できる窓口は多いですが、無料相談を実施している事務所も多くあります。相談するだけで今後の道が開けることもあるため、問題が複雑になる前に早めに相談してみることをおすすめします。
この記事では、相続に関して無料相談できる窓口や無料相談を有効活用するためのコツについて解説していきます。
目次
1 相続の無料相談の概要とその目的
相続について問題が発生した場合、まずは相続人同士の話し合いで問題を解決しようと試みるでしょう。しかし、相続に関する基本的な法的知識なしで話し合いをしても、建設的な話し合いができない恐れがあります。
相談が遅く問題が激化してからでは、専門家が対応できないケースも出てきてしまうでしょう。もし相続に関して不安や悩みがあるなら、早めに相談内容に適した専門家に相談しましょう。
(1)相続の無料相談とは?
弁護士や司法書士に相談する場合、基本的に法律相談料がかかるケースが多いです。相場は30分5,000円(税別)程度ですが、相談先によって費用は異なります。
一方で、事務所によっては無料で法律相談を受け付けていることも多いです。時間制限は設けられているものの、30分〜1時間程度の枠で悩みに対して適切な法的アドバイスをもらえます。
相談したからといって必ず依頼しなければいけないわけではありませんし、有料相談と比べて相談の質が劣ることもありません。弁護士であれば相続に関する一般的な相談から個別具体的な相談までできますし、司法書士であれば、遺産に不動産が含まれていた場合の相続登記などについて相談できるでしょう。
相談時に余計な費用が発生することもないので、安心して気軽に無料相談を活用しましょう。
(2)無料相談で解決可能な相続問題とは?
相続問題にはさまざまなケースがあり、人によって解決方法が異なります。相続問題で多い悩みとしては、以下のようなものが挙げられます。
・遺言書の作成方法がわからない
・相続人が誰かわからない
・遺産分割協議がまとまらない
・遺言書の内容が不平等だった
・相続人の一人が遺産を使い込んでいる
・特定の相続人に対して多額の生前贈与が行われていた
・権力のある親族が遺産を横取りした
・遺産の中に不動産が含まれていて、どう処理すればいいかわからない
・義務化された相続登記の方法がわからない
・相続放棄をしたいが、申請方法がわからない など
本来であれば、法定相続分や遺言書の内容通りに遺産を分配することで、余計な争いは避けられるはずです。しかし、少しでも多くの遺産を受け取りたい場合や遺言書の内容に不平等な点がある場合には、相続人間で揉める可能性が高いです。
話し合いで解決できない場合には、裁判所を通した調停や裁判などの法的手段での解決を目指すことになるでしょう。相続税申告や相続放棄には申請期限があるので、なるべく早めに専門家に相談することをおすすめします。
(3)相談可能な内容と注意すべきポイント
相談する専門家の種類によって、対応できる内容が異なります。弁護士・司法書士・税理士に相談できる主な内容は、以下の通りです。
【弁護士】 一般的な相談から個別的・複雑な事案まで幅広く対応できる
・相続人の調査
・相続財産の調査
・遺産分割協議の仲裁
・遺産分割協議書の作成
・相続手続きの円滑な進行(預貯金の解約払戻し など)
・遺産分割調停や各種訴訟対応
・遺留分侵害額請求
・遺言書の作成や検認申立
・遺言執行者への就任
・相続放棄の申述
【司法書士】 相続登記や遺産の中に不動産が含まれている場合の対処法について相談できる
・相続人の調査
・相続財産の調査
・相続手続きの円滑な進行(預貯金の解約払戻し など)
・不動産の名義変更手続き(相続登記の申請など)
・遺産分割協議書の作成(法務局・地方法務局に提出する書類としての作成に限る)
・相続放棄の申述書作成
【税理士】 相続税や確定申告等の税務関係についてアドバイスをもらえる
・相続人の調査
・相続財産の調査
・相続税、贈与税の申告
・準確定申告
・生前の相続税対策(タックスプランニング)
・税務調査への対応
相談先を選ぶ際は、自分の悩みに合った専門家を探すようにしてください。例えば、遺産の中に不動産が含まれている場合であれば、相続登記まで見据えて初めから司法書士に相談しておくのがおすすめです。
また、同じ専門家でもそれぞれ注力している分野が異なります。相続について相談したいのであれば、ホームページや書籍などから相続に力を入れている専門家を選びましょう。
2 無料相談を提供する専門家と窓口
相続について無料相談を実施している主な相談窓口は、以下のとおりです。
・弁護士による相続相談
・税理士による相続税関連のサポート
・司法書士や行政書士による手続き支援
・自治体・市区町村役場での相談窓口
・税務署|相続税の基本ルール相談
・信託銀行
相談先を間違えると、再度同じ話を別の専門家に話すなど二度手間になる恐れがあります。それぞれの特徴をしっかり理解して、自分に合った相談窓口を選択しましょう。
(1)弁護士による相続相談
相続トラブル全般に対応できる弁護士なら、相続について悩んでいることをまとめて相談できます。相続人・相続財産の調査、遺言書・遺産分割協議書の作成から、遺産分割協議の仲裁や遺産の使い込みに対する対応など、それぞれの状況に合わせて適切なアドバイスをもらえます。
どの専門家に相談すればいいかわからないのであれば、とりあえず弁護士に相談してみるのがよいでしょう。
ただし、弁護士によっては相続に力を入れていない弁護士もいるため注意が必要です。相談前にホームページなどで解決事例などを確認しておくとよいでしょう。
また、事務所によっては無料相談をやっていない場合もあります。相談だけなら無料なのか、どのタイミングで費用が発生するのかを事前に確認しておきましょう。
①トラブル対応や総合的なサポート
弁護士に相談する1番のメリットは、遺言書の作成や家族信託などの生前対策から、相続発生後の手続きの進行、相続人間で揉めた場合の仲裁などにつき、総合的なサポートを受けられる点です。
話がこじれて調停や裁判にまで発展した場合でも、代理人として全ての手続きを任せられます。自分一人でなんとかしようと考えると、精神的に疲れてしまい話し合いで妥協してしまいがちです。
弁護士に依頼すれば、相続人間での話し合いについても任せられます。精神的ストレスを大きく軽減できるのが、依頼者の代理人として行動できる弁護士ならではといえるでしょう。
②弁護士会や法テラスの活用方法
各都道府県に設置されている弁護士会や法テラスでも、無料相談を実施していることがあります。もし相談先を絞れない場合には、信頼できる弁護士会や居住地・勤務先近くの法テラスに相談するのもよいでしょう。
特に法テラスでは、経済的困難な人であれば弁護士への依頼費用を立て替えてもらえる場合があります。法テラスを利用する場合でも、提携弁護士の中から自分で相談先を選ぶことが可能です。
法テラスの利用には収入や資産の基準をクリアする必要があるものの、要件を満たせば費用負担を少なく法律相談から依頼まですることが可能です。
出張相談を利用できる場合もあるので、あらかじめ利用条件を確認してみましょう。
(2)税理士による相続税関連のサポート
相続に関連する税務について相談したい場合には、税理士に相談するのがおすすめです。遺産に不動産が複数含まれている場合や多額の預貯金がある場合には、相続税について税理士にアドバイスをもらっておくメリットは大きいです。
相続税申告手続きの方法や申告期限、計算方法や節税対策などにつき相談できるのは税理士だけです。相続開始後に相続税が発生しそうであれば、生前から適切な対策を施しておく必要があるでしょう。
なお、相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」です。申告期限を過ぎると延滞税や加算税などの罰金が課されることもあるため、忘れずに申告を行うようにしましょう。
(3)司法書士や行政書士による手続き支援
相続登記の相談や相続に関連する書類作成を依頼したい場合には、司法書士や行政書士に相談するのもおすすめです。
司法書士であれば、遺産に含まれている不動産につき名義変更(相続登記)のやり方を教えてもらうことができます。申請に必要な書類や注意点などにつきアドバイスをもらえるので、申請準備にかかる時間を減らすことができます。
相続登記の申請期限は「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内」なので、一人での対応が難しいと感じたら早めに司法書士に相談しましょう。
また、すでに遺産分割協議がまとまっていて、協議内容を記載した遺産分割協議書を作りたいだけであれば、公文書作成の専門家である行政書士に依頼するのもおすすめです。
依頼費用も、弁護士より安くなるケースがほとんどです。相続手続き全般を依頼するのではなくピンポイントで書類作成業務のみを依頼したい場合には、行政書士への依頼も検討してみましょう。
(4)自治体・市区町村役場での相談窓口
各自治体や市区町村役場で、専門家への無料相談会が実施されている場合があります。相談日時や相談時間などは窓口ごとに異なりますが、事前予約をすることで相談内容に応じた専門家に相談できるケースが多いです。
相続手続き全般についての相談なら弁護士、不動産を含む相続手続きや相続登記に関する相談なら司法書士、相続に関連する税務相談なら税理士に相談できるケースが多いです。
市区町村への居住・通勤・通学を条件としているケースが多いですが、条件を満たせば誰でも気軽に相談できるのが魅力です。専門家に相談したいもののどこに相談したらいいのかわからない場合には、まずは各自治体の無料相談を活用してみるとよいでしょう。
(5)税務署|相続税の基本ルール相談
各自治体にある税務署では、相続税に関する基本ルールや申告方法について教えてもらうことができます。相続税が発生する場面や申告書の書き方など、税金に関する基本的なルールを知りたい場合は、お近くの税務署に問い合わせてみましょう。
予約は必要な対面相談だけでなく、電話相談を受けつけている窓口も多いです。依頼するのではなく税金に関する一般的な質問だけしたい場合には、税務署に問い合わせるだけで問題が解決するケースもあるでしょう。
ただし、税務署はあくまでも税金に関する一般的な質問にしか回答してもらえません。相続手続きに関する相談や具体的な節税対策などのアドバイスはもらえないため、注意してください。
(6)信託銀行|遺産管理や運用方法提案
遺言信託や家族信託などを検討している場合には、信託銀行に相談することも考えられます。「自分が死んだあとに子ども同士で争って欲しくない」と考える場合には、生前から適切な対策を施しておく必要があります。遺言信託や家族信託を利用すれば、争いのないスマートな相続を実現することも可能です。
また、遺産管理や遺産の運用方法についても相談できるのが信託銀行に相談するメリットです。多額の資産や複数の不動産を有効活用する方法についてアドバイスをもらえるので、相続した財産を無駄にすることを避けることができます。
連携している司法書士や税理士に相続登記や相続税申告の対応を依頼することもできるので、ワンストップで悩みを解決してもらうこともできるでしょう。
ただし、専門家に対応を依頼する場合には別途費用が発生する場合があります。この場合、それぞれの専門家に直接依頼するよりも高額になるケースがほとんどです。
話を聞きたいだけでなく依頼まで検討しているのであれば、初めから各専門家に直接相談しましょう。
3 相続の無料相談を受ける準備と流れ
相続について無料相談をする流れや事前準備について解説していきます。
(1)相談窓口の選定と予約方法
まずは、インターネットやSNSなどを活用して、自分と相性の良さそうな専門家を探しましょう。事前予約が必要になるケースがほとんどなので、あらかじめ電話やメールで相談予約をしてください。
事務所によっては、電話やオンラインでの面談に対応している場合もあります。遠方で事務所にいけない場合には、対面以外での相談にも応じているか確認してみましょう。
(2)無料相談に必要な書類や情報の収集
無料相談の予約をしたら、当日までに相談に関係する資料を集めておきましょう。無料相談では相談時間が限られていることが多いです。特に相続の場合には相続人が複数登場すると、話がわかりにくくなりがちです。
関係資料があれば、専門家に事実を正確に伝えることができます。相続人関係図や遺産分割協議書、遺言書や不動産の登記簿謄本など、関係資料は全て持参するようにしましょう。
また、時系列順にまとめた事案の概要や、専門家に依頼したいことを書いたメモを相談の際に持っていくと、相談をスムーズに進められるでしょう。
(3)相談当日の進め方とポイント
無料相談当日は、あらかじめ準備したメモを基に事実を正確に伝えてください。そのうえで、何を専門家に依頼したいのかを明確にすることが重要です。
相談する際のポイントは、感情的になって自分の意見ばかりを言わないことです。自分の感情を伝えることばかりに時間を使ってしまうと、時間内に適切なアドバイスをもらえなくなってしまう可能性があります。
また、自分に不利な事情も隠さず専門家に伝えてください。一部の情報を伝えずに相談すると、専門家が正確な見通しを立てられず相談する意味がなくなってしまう恐れがあります。相談者に不利な事情も含めて対応方法を検討するのが専門家です。相談する際は全ての事情を正確に伝えることを心がけてください。
なお、無料相談をしたからといって、その場で依頼するかどうかを判断する必要はありません。まだ依頼を迷っている場合には、一度持ち帰って検討してみるのがよいでしょう。
(4)無料相談の利点と限界
無料相談のメリットは、無料で専門家のアドバイスをもらえることです。有料相談と比べて相談の質が劣るということもないので、法的な悩みがあればまずは無料で専門家の意見を聞くのが良いでしょう。専門家にもらった法的見解を他の相続人に伝えるだけで、遺産分割協議が前に進むケースもあります。
一方で、無料相談には基本的に制限時間が設けられています。事案が複雑な場合、1回の相談だけでは適切なアドバイスをもらえない場合があるでしょう。同じ案件について2回目の相談となった場合、その後の相談については有料相談になるケースも多いです。
相談料についてトラブルにならないためにも、あらかじめ相談料についてはしっかり確認しておくようにしましょう。
4 相続の無料相談を効果的に活用するための方法
相続に関する無料相談を有効活用するためには、以下の4つのポイントを意識しておくことが重要です。
・事前準備が重要な理由
・信頼できる専門家を見極めるコツ
・複数の窓口での相談と比較検討の効果
・正式な専門家依頼のタイミングと追加費用の確認
(1)事前準備が重要な理由
前述したように、無料相談を有効活用するためには事前準備をしっかりしておくことが重要です。相続人関係図や遺言書・遺産分割協議書、不動産の登記簿など相続に関連する資料をしっかり準備しておきましょう。
30分〜1時間しかない相談時間内で専門家から適切なアドバイスをもらうには、関係資料を交えながら話すことが重要です。
また、話が脱線して時間を使ってしまったり、聞き漏れで後悔したりすることがないように、事前に相談の概要と専門家に依頼したい内容もまとめておきましょう。
(2)信頼できる専門家を見極めるコツ
専門家に相談・依頼する際は、その専門家が自分に合っているか、信頼関係を築けるかを基準に選ぶことをおすすめします。
人によって選ぶ基準は異なりますが、以下のようなポイントを意識して無料相談に臨むとよいでしょう。
・親身になって話を聞いてくれるか
・説明がわかりやすいか(専門用語を噛み砕いて説明してくれる)
・料金体系が明瞭か
・相続に関して経験・実績が豊富かどうか
・他の士業と提携してワンストップで悩みを解決できるかどうか など
経験や実績の豊富さは重要ですが、相性の悪い専門家に依頼するとトラブルになる恐れがあります。相談の際には、「信頼を置くことができる専門家がどうか」を1番に考えることをおすすめします。
(3)複数の窓口での相談と比較検討の効果
一つの相談先だけではなく、複数の専門家に相談して相性を確かめてみるのがよいでしょう。さまざまな専門家に相談すれば、自分と相性が良いかどうかを比較検討することができます。
また、依頼した場合の費用感も確かめるために相見積もりをとることもできます。相談先ごとに見通しや対応方法も異なるため、時間の許す限り多くの専門家に相談してみましょう。
(4)正式な専門家依頼のタイミングと追加費用の確認
無料相談の際には、正式に依頼する(費用が発生する)タイミングや追加費用が発生するタイミングについても確認しておきましょう。例えば、事務所によっては調停や裁判になった場合には別途費用がかかると規定しているケースもあります。
費用についてはパンフレットやホームページに記載されていることも多いですが、あとあと金銭トラブルにならないように事前に費用については確認しておくのがベストです。費用を聞かれたところで、嫌な顔をする専門家はいません。もし費用を濁されたら、その専門家には依頼しないことをおすすめします。
5 よくある相続相談のケーススタディ
ここでは、よくある相続に関する相談内容について解説していきます。
(1)遺産分割や相続放棄に関するトラブル対応
相続に関する相談で多いのは、遺産分割協議がまとまらない場合や、亡くなった方に多額の負債があるために相続放棄を検討しているケースです。
生前から家族仲が悪かった場合、相続発生後に揉めて遺産分割協議が難航することも多いです。遺言書がない場合には法定相続分に従い遺産を分けることになりますが、生前亡くなった方を介護していた場合などのケースでは、介護していた分、多くの遺産を要求してくることもあるでしょう。
もし当事者間で話し合いがまとまらない場合、専門家を介入させることで円滑な協議が可能になります。それでも妥協点を見出せない場合には、調停や裁判などの法的手段で解決を目指すことになるでしょう。
また、突然亡くなった方の債権者から「相続人として借金を返済しろ」と連絡が来ることで、相続放棄を検討せざるを得なくなるケースも多いです。
相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産だけではなく、預貯金などのプラスの財産までを放棄することになってしまいます。損をしないためにも、相続放棄を検討するのであれば正確な財産調査を行う必要があるでしょう。
また、相続放棄には申述期限があります。ただし、場合によっては亡くなってから3ヵ月以上経過していても相続放棄が認められるケースもあるため、亡くなった方の不在に困っているなら一度専門家に相談してみましょう。
(2)相続税の申告や節税対策の流れ
相続後で覚えておくべき主な申告期限は、以下のとおりです。
・自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内:相続の放棄・限定承認
・相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内:準確定申告
・被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内:相続税の申告・納付
・不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内:相続登記
相続税の申告期限を過ぎると延滞税や加算税を課される場合もあります。単に「遺産分割協議がまとまらないから」という理由では期限の延長は認められないので、くれぐれも注意してください。
また、節税対策を考える場合には、以下の3つの対策を状況に合わせて適切に行う必要があります。
・生前贈与の活用(贈与税の基礎控除額、相続時精算課税制度、各種特例)
・相続税評価額を圧縮する(更地に賃貸用建物を建築、生命保険金の非課税限度額)
・財産の分割方法を工夫する(配偶者の税額の軽減制度、小規模宅地等の特例)
税金関係は内容が複雑なケースが多いです。無申告や過少申告になった場合、税務調査に入られてペナルティを課される恐れもあります。
税金に関して不安があれば早めに税理士に相談しましょう。
(3)相続書類作成や財産分配に関する相談内容
遺言書や遺産分割協議書などの作成方法に関する相談も多いです。遺産分割協議がまとまっていても、協議書の正しい作成方法がわからない場合、手続きがそこで進まなくなってしまいます。
遺言書には、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言などの方式があります。遺言書に不正がないよう、方式は法律で厳格に定められているため、誤った認識で遺言書を作成すると遺言書の内容が無効になってしまうため注意が必要です。
また、遺産をどのように分配するかで揉めるケースも多いです。たとえ法定相続分に従い遺産を分ける場合でも、単純に分けることができない不動産が遺産に含まれている場合には、売却するのか代償金を支払うのかなどで争いになるケースも少なくありません。
相続手続きに精通した専門家であれば、このようなケースでも相続人それぞれで不満が出ないような適切な解決策を提案することが可能です。
6 まとめ|相続の無料相談を賢く利用しよう
最近では、相続に関して無料相談を実施している事務所も多いです。相談先に迷うかもしれませんが、基本的には以下のように考えておくのがよいでしょう。
・相続全般について相談したいなら弁護士
・相続登記など遺産の中に不動産が含まれている場合の相談なら司法書士
・相続税の申告や節税対策について聞きたいなら税理士
無料相談でも適切な法的アドバイスをもらうことは可能ですし、相談したからといって必ず依頼しなければいけないわけでもありません。
相続について悩みがあるなら、早めに専門家に相談してみましょう。