【公正証書遺言とは?】必要書類・費用・作成のポイントを簡単解説
目次
はじめに
一般的に用いられる遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
自筆証書遺言は読んで字のごとく、自分自身で書く遺言を指します。
テレビドラマなどでよく目にする遺言はこのような形式のものが多いのではないでしょうか。
それでは、公正証書遺言とはいったいどういう遺言でしょうか。
今回のコラムでは、公正証書遺言とは何か?どのように作成すれば良い?費用はかかる?といった身近な疑問について解説していきます。
公正証書遺言とは何?
公正証書遺言とはどのような遺言を指すのでしょうか。
公正証書遺言は、遺言者本人が公証人に対して遺言の内容を口頭で伝え、公正証書として作成する遺言です。
なお、ここでいう公正証書とは、個人や法人からの依頼によって公務員である公証人が作成する公文書です。つまり、公正証書遺言とは遺言する人(遺言者)の依頼を受けた公証人が作成しているため、内容の証拠力が高いことがメリットとしてあげられます。
公正証書遺言の手続きの流れ
民法上は、公正証書遺言を作成するために以下の方式を守ることが必要です (民法969条)。
① | 証人2名以上が立ち会う。 |
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② | 遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で伝える。 |
③ | 公証人が伝えられた遺言の内容を筆記し、遺言者と証人2名に読み聞かせるor閲覧させる。 |
④ | 遺言者と証人が、筆記内容が正確か確認し、各自で署名及び押印する。 |
⑤ | 公証人が①~④の方式に遺言を作成したことを付記し、署名及び押印する。 |
公正証書遺言の作成のポイント
公正証書遺言を作成するためのポイントは3つあります。
(1)遺言の内容・目的をはっきりさせる。
まず、遺言者は「何を」「誰に」「なぜ」与えようとしているのかを決め、それに必要な資料(メモ)を用意します。
(2)専門家に相談するか決めましょう。
公正証書遺言を作成するためには、遺言者が直接公正証書役場に電話やメールなどを送ることも可能ですが、手続を迅速・確実に行うために弁護士・司法書士といった相続の専門家に相談することが多いです。
(3)遺言作成に必要な書類をそろえましょう。
公正証書遺言を作成するためには、(1)のメモ以外に、次のような書類が必要です。
① | 遺言者本人の本人確認資料。 |
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② | 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本。 |
③ | 相続人以外に財産を相続させる場合は、その人の住民票。 |
④ | 不動産が含まれる場合は、その登記簿謄本と固定資産評価書等。 |
公正証書遺言作成に必要な費用
最後に、費用面について説明します。
(1)公証人の手数料
公正証書遺言の作成費用は、公証人手数料令で決められています。具体的には次の通りです。
100万円以下 | 5000円 |
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100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
(2)専門家に相談した場合の費用
司法書士のような専門家に相談する場合、(1)の手数料とは別途で費用がかかります。
当事務所では、12万円から承っております。
気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
おわりに
今回のコラムでは、公正証書遺言とは?必要書類・費用・作成のポイントについて解説してきました。
公正証書遺言を作成するにあたっては、手続に一定の時間や費用がかかるため、時間に余裕をもって事前準備をしましょう。
参考文献
・山川一陽ほか編『実務から見た遺産分割と遺言・遺留分』(青林書院、2022)
・日本公証人連合会ホームページ(https://www.koshonin.gr.jp)